ユニークな小売企業をご紹介します。
ユニバースは青森県八戸地方を地盤とするスーパーマーケットです。三浦現社長が衣料品(百貨店みまん)から視点を変え、約40年前に生鮮品に参入したことに始まります。地元スーパーとしては遅い参入でしたが、米国から実務にあったスーパーマーケット理論を取り入れるなど三浦社長の熱心な研究が奏功し、以後着実にシェアを伸ばして来ました。
理論の一例ですが、ユニバースでは大型店舗を主力としています。一見、地方での大店舗展開は非効率なようですが、実際に地方では店舗間の距離が遠くていくつもの店舗を回れないため、顧客には一度に必要なものを購入したいニーズがあります。それに応えるために大型店舗で品揃えを拡充する戦略は理にかなっています。
また、ユニバースではパート従業員をパートナー社員と呼んで大切にし、教育にも力を注いでいます。パート従業員が満足して長期間働き続けることにより業務経験と専門知識が高まり、鮮度管理の腕前が上達して良い顧客サービスが生まれます。また、複数の売り場をこなせるなど効率的な店舗運営にも貢献しています。
従業員を大切にして最も得をするのは会社であり、「社風」というバランスシートには現れない無形資産の価値を感じさせられます。
さて、地元八戸の地盤を磐石に固めたユニバースですが、今後の成長戦略として津軽地域への進出と岩手県へ南下の二面作戦をとっています。同じ青森県でも青森市や弘前は旧津軽領ですが、岩手県は八戸と同じ旧南部領なので地縁がありそうです。やや飛び地となっていたむつ市にも出店をしました。
地方の小売企業は、まるで戦国時代のように各地で領地拡大にしのぎを削っています。ユニバースもいずれ将来的には北東北地方の覇者として、東北地方全体の覇権を賭けて、南東北地方の覇者と雌雄を決する時期が来るかもしれません。その時までには、現在の割安なバリュエーションが見直されているものと期待しています。
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