ハム・ソーセージの会社をご紹介します。
米久は静岡県に本社を置く食肉加工の大手です。2007年に三菱商事が筆頭株主となり最近の業績は順調でしたが、今年度は踊り場にあります。鶏肉価格低下などの影響を受けています。
主力のハム・ソーセージ加工では、業界内に過剰設備が存在し、メーカー各社は設備の低稼働率に悩んでいます。これに対する米久の戦略は、自社ブランドにこだわらず、業務用として各スーパーや外食チェーンなどに納入することです。単価は低いですが、大量に出荷できるので稼働率が上昇し、生産性も向上しています。加えて、広告宣伝も要りませんので価格競争力があります。
また、米久は三菱商事の販路を活かしているように見えます。三菱商事は国内の食品流通網で一大勢力を築いていますね。その三菱商事の食品戦略における一翼を担うという訳です。企業規模によっては、このような有力企業との提携もひとつの良い選択肢ではないかと思います。
ところで、地元静岡県では、米久のハム・ソーセージは贈答用としてもらって喜ばれる定番商品でもあるそうです。決して価格が安いだけではなく、おいしく造るための技術と評判を兼ね備えた会社であることが伺えます。
さて株価ですが、子会社であったチムニーを売却したことが株式市場では悪材料と捉えられた感があります。米久とチムニーの間にはシナジーが少なく、経営の集中と選択という点では筋の通った経営判断だと思いますが、株式市場から再評価されるためには、「表面上大幅に低下した営業利益」を回復させる必要がありそうです。
これまでの施策により、加工品・食肉事業だけでも(チムニーがなくても)利益を確保する企業体制が構築された感がありますが、結果はこれからです。また、チムニーの売却で得た資金を、三菱商事で食品業界に精通した経営陣が有効に使ってくれることも期待しています。
少し長い期間での投資になるかもしれませんが、今後の同社の加工品・食肉事業の成長を期待するには面白い時期だと応援しています。皆様のクリックがスケアクロウ投資経済研究所一同にとって何よりの励みになっています。「ブログランキング」のマークをクリックしていただけるとランキングのポイントになります。ご協力をよろしくお願いいたします。