山登りで新境地を得た著者初の紀行文。
著者は『阿弥陀(あみだ)堂だより』など人生を問い直す作品で知られる作家で医師。37歳で芥川賞を受賞した翌年、過労がたたってパニック障害を発症、そして鬱病に。リハビリのつもりで50歳から夫人と始めたのが山歩きだった。
「緑のなかの登山道を歩くと五感が刺激され、からだのよけいなこわばりがほぐれて気分が爽快になる…」
登山が心と体を癒やし、その体験を小説やエッセーに。浅間山などの山登りの体験を短編小説にした『草すべり その他の短篇(たんぺん)』で泉鏡花賞を受賞した。
本書は平成22年以降に登った北アルプスなどの体験を記した。