今週のポイント
市場は引き続きトランプ政権の関税をめぐる報道に敏感に反応しています。そして、世界的に貿易摩擦が激化するとの懸念が強まる場合、米ドルが軟調に推移する傾向がみられます。トランプ大統領は13日(日本時間14日午前)、「半導体の関税率を14日の週に発表する」、「半導体関税は遠くない将来に発動するが、一部の企業については柔軟に対応する」と述べました。関税についての追加報道によって貿易摩擦激化への懸念が一段と強まれば、米ドル/カナダドルは下値を試し、一方で豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは上値を試す展開になりそうです。
米国など主要国の株価動向にも注目です。主要国の株価が下落を続ける場合、リスクオフ(リスク回避)が強まるとともに、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円が軟調に推移する可能性があります。
16日にはBOC(カナダ中銀)の政策会合が開かれます。会合では政策金利の結果のほか、先行きの金融政策についてBOCの声明や総裁会見でどのようなヒントが示されるかが焦点になりそうです。
NZの1-3月期CPI(消費者物価指数)が17日に発表されます。14日時点のCPIの市場予想は前年比2.4%と、RBNZ(NZ中銀)の目標レンジ(1~3%)に引き続き収まるものの、24年10-12月期の2.2%から上昇率が高まるとみられています。CPIが市場予想を上回る結果になれば、NZドルのプラス材料になるかもしれません。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000NZドル~1.09500NZドル>
豪ドル/NZドルは4月11日に一時1.06935NZドルへと下落し、24年3月以来およそ1年1カ月ぶりの安値をつけました。
足もとの豪ドル/NZドル下落の主な要因として、米国と中国の貿易摩擦激化への懸念やRBA(豪中銀)の追加利下げ観測が挙げられます。豪州とNZはいずれも中国を最大の輸出先とするものの、主力輸出品は豪州が鉄鉱石や石炭、NZは乳製品です。中国の景気が悪化した場合、豪経済の方がその影響を受けやすいと市場は見なしたと考えられます。市場ではRBAの追加利下げ観測が高まっており、12月末までに合計1.00%か1.25%の利下げが行われるとの観測があります。2日時点では合計0.75%の利下げが行われるとの見方が優勢でした。
豪ドル/NZドルは引き続き、トランプ政権による関税をめぐる報道に影響を受けやすい状況になりそう。米中貿易摩擦が激化するとの懸念が一段と強まる、あるいはRBAの追加利下げ観測がさらに高まる場合、豪ドル/NZドルは下値を試す展開になる可能性があります。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.40500カナダドル>
米ドル/カナダドルは4月11日に一時1.38348カナダドルへと下落し、24年11月以来およそ5カ月ぶりの安値をつけました。足もとの米ドル/カナダドルの下落は、全般的な米ドル安によるものが大きいと考えられます。米国がスタグフレーション(景気の停滞あるいは後退とインフレ加速が同時に進行する状況)に陥る可能性が市場で意識されて、米ドルに対して下押し圧力が加わっているとみられます。
トランプ関税についての追加報道により、米スタグフレーションへの懸念が一段と強まる場合、米ドル/カナダドルはさらに下落する可能性があります。
16日にはBOC(カナダ中銀)の政策会合が開かれます。BOCは24年6月に利下げを開始し、前回25年3月の会合まで7回連続で利下げを実施しました(利下げ幅は合計2.25%)。
前回会合では政策金利を据え置くことも検討され、その時の声明では「政策金利のさらなる変更(追加利下げ)については慎重に進める」としました。また、カナダの2月CPI(消費者物価指数)は前年比2.6%と、上昇率は1月の1.9%から加速しました(3月のCPIは4月15日に発表)。市場では16日の会合で政策金利は現行の2.75%に据え置かれるとの見方が優勢です。その通りの結果になり、またBOCの声明や総会会見がタカ派的な内容になれば、カナダドルのプラス材料(米ドル/カナダドルの上値を抑える要因)になりそうです。
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