～医薬・ヘルスケア、ファインケミカルへ事業変革が本格化～

【ポイント】
・今2025年11月期は減益計画を組んでいるが、1Qは好調なスタートとなった。ファインケミカル事業で、受託製造や自社品製造が好調であったこと、HBC・食品事業で輸入化粧品の販売が好調であったことなどによる。

・前2024年11月期の営業利益は28億円と急回復をみせ、過去最高となった。今期の会社計画は20億円であるが、これを上回る25億円は達成できよう。

・ファインケミカル事業で、準備してきた注射剤ビジネスが、当初に計画していた受注案件の遅延などにより、前期に40億円の大幅な減損を余儀なくされた。これによって、前期の純利益は赤字となった。引き合いはあるので、仕事量は徐々に確保できよう。

・3ヵ年の中期計画は毎年ローリングしていく。今回は3年後の2027年11月期で、営業利益35億円、ROE8.8％を目指す。スペラファーマをコアに、医薬品の開発製造受託（CDMO）では、塗り薬に加えて注射剤分野へ展開する。数年後には業績に貢献してこよう。

・中長期ビジョン Astena 2030“Diversify for Tomorrow.”では、①医薬品・ヘルスケアでのプラットフォーム戦略、②塗り薬や表面処理薬品でのニッチトップ戦略、③ファンドを活用したソーシャルインパクト戦略を推進する。これまでのM&Aを軸とした投資額は全体で約110億円、市場開拓による営業利益の拡大余地は大きい。

・抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体などAPI（有効成分）分野の強化、CMC研究開発受託事業の拡大、パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、製品の企画開発に強みを持つ化粧品分野の広がりなどをリード役に、営業活動が活発化している。一方で、採算の低い一般用医薬品の卸からは2年前に撤退した。これらを含めて、商社から研究開発型製造機能へのシフトを進めており、製造比率は7割を超えている。

・ビジネスモデルの変革に、新規需要が乗ってくれば、回復のピッチが早まろう。収益力は向上しているので、業績が今回の3ヵ年計画を上回ってくる公算は高い。PBR1.0倍が実現できる市場開拓の進展と業績の向上に注目したい。

目次
1．特色医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能が向上
2．強みスペラファーマのCDMO（開発製造受託）を強化中
3．中期経営計画10年ビジョンのもと収益力は向上へ
4．当面の業績先行投資の谷間を超えて、再浮上を図る
5．企業評価ビジネスモデルの変革が進展

（2025.2ベース）

企業レーティングの定義：当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A：良好である、B：一定の努力を要する、C：相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

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https://www.belletk.com/asutenaHD202505.pdf

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