NZドル/円、『8月末買い、12月末売り』が奏功するか

著者:津田隆光
投稿:2025/08/29 10:12

遅行スパンの“好転”となるか

NZドル/円・週足・複合チャート
NZドル/円・週足・複合チャート出所:トラリピFX/CFDチャート

【注目ポイント】「86.240円」で下値サポートされるか否か
【シナリオ①-1】同レートでの下値サポートなら、「90.000円」付近までの上昇
【シナリオ①-2】さらに「90.000円」超えなら、「92.400円」付近までの上昇も視野に
【シナリオ②】「86.240円」割れなら、「83.180円」付近までの下落を想定
【1~2カ月程度の“主戦場”(コアレンジ)】「83.180~90.000円」
【投資戦略アイデア】『8月末買い、12月末売り』


先週20日に行われたRBNZ(NZ中銀)会合において、ハト寄りの利下げが実施されたこともあり、NZドルが主要通貨に対して下落。20日以降のNZドル/円についても、下押し主体の相場付きとなっています。

上図(週足チャート)をそれぞれ見ていくと、1) 26週MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態(上図黄色丸印)になっていること、3) ローソク足が赤色雲(=抵抗帯、先行スパン)の上辺付近で推移していること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして5) DMI(方向性指数)で僅かながら+DI>-DIとなり、ADXが緩やかな右肩上がりとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、現在のNZドル/円・週足チャートは上下圧力が拮抗するレンジ相場を示すチャート形状であると判断します。


足もとで注目すべきポイントは・・・約半年間における市場参加者の平均コストを示す26週MAをメドとする「86.240円」(上図黄色矢印および黒色線)で下値サポートされるか否か。同水準は、約4年間における市場参加者の平均コストを示す200週MAと近似値であることから、今後のNZドル/円にとって重要な“分水嶺(ぶんすいれい)”と捉えるべきでしょう。

筆者が想定する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①-1]
この先、「86.240円」で下値サポートされた場合は、「下値固め完了」→「上値切り上げ」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの“好転”」や「SARの買いサイン継続」、また「+DI>-DIの乖離拡大」なども伴いながら、BB(ボリンジャーバンド)・+2σラインのやや上方をメドとする「90.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇を想定すべきでしょう。特に、「遅行スパンの“好転”」が示現した場合は、NZドル/円の上昇モメンタムが強まるトリガーとなりそうです。

[シナリオ①-2]
さらに、「90.000円」超えとなった場合は、「上値抵抗線突破」→「もう一段の上値追い」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンの上放れ」や「上昇バンドウォークの示現」、また「+DI>-DIのさらなる乖離拡大」なども伴いながら、昨年11月7日に付けた高値水準である「92.400円」(上図Ⓐ’桃色線)付近までの上昇も視野に入れるべきでしょう。

[シナリオ②]
一方で、「86.240円」を終値ベースで割り込んだ場合は、「下値基準線割れ」→「下値切り下げ」となる可能性も。当該ケースでは、「遅行スパンの“好転フェイク(ダマし)”」や「(心理的な節目である)85.000円割れ」、また「+DI>-DIの乖離縮小ないしは収斂」なども伴いながら、BB・-2σラインをメドとする「83.180円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下落を想定すべきでしょう。


上記シナリオ①(1、2)および②を概括すると、現下のNZドル/円は下値固めを模索する相場付きとなる中、当面※は「83.180~90.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。(※ここでの「当面」は、1~2カ月程度のスパンを想定しています。)

[シナリオ①-2]で記載した「92.400円」までの上値切り上げについては、NZドル/円の上昇モメンタムが強まったケースでの次なる上値目標値として捉えるべきと考えます。

NZドル/円・『8月末買い、12月末売り』戦略の勝敗・勝率は?

NZドル/円 過去10年および過去20年における『8月末買い、12月末売り』勝敗表
NZドル/円 過去10年および過去20年における『8月末買い、12月末売り』勝敗表出所:筆者作成

そんな中、季節的な相場動向を示すシーズナル・サイクルをベースに考察すると、NZドル/円については『8月末買い、12月末売り』の投資戦略におけるプラスリターン確率が比較的高くなっています。

過去10年(2015年~)および過去20年(2005年~)における、NZドル/円の『8月末買い、12月末売り』の勝敗表(上記)をご覧ください。(※各年とも、当該トレードでのプラスリターンを「勝ち/〇」、マイナスリターンを「負け/×」としています。スワップ等は考慮していません。)

上記表より、過去10年(2015年~)の勝敗は8勝2敗(.800)、過去20年(2005年~)の勝敗は16勝4敗(.800)となっています。


当該トレードの勝敗・勝率についてはあくまで過去の実績(結果)であり、今回も必ずワークするという帰結には至りませんが、今後のNZドル/円のトレードアイデアの一つとしてご参考にしていただければ幸いです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想