今週のポイント
5日に発表された米国の8月雇用統計の弱い結果を受け、市場ではFRBによる積極的な利下げ観測が高まりました。11日発表の米国の8月CPIが市場予想と比べて弱い結果になれば、積極的な利下げ観測は一段と高まると考えられます。その場合、米ドル安圧力はさらに強まり、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは堅調に推移しそうです。米ドル/カナダドルについては、BOC(カナダ中銀)による追加利下げ観測が高まっていることから下げ渋る可能性があります。
11日には、TCMB(トルコ中銀)の政策会合が開かれます。TCMBは前回7月の政策会合で3.00%の利下げを行うことを決定。主要政策金利の1週間物レポ金利を46.00%から43.00%へと引き下げました。
トルコの8月CPIは前年比32.95%と、上昇率は前月の33.52%から鈍化しました。上昇率が鈍化したのは15カ月連続です。市場では、TCMBは11日の会合で追加利下げを行うと予想されており、利下げ幅は2.00%になるとの見方が優勢です。利下げ幅が市場予想と異なる結果になれば、トルコリラが反応するかもしれません。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.10000NZドル~1.12000NZドル>
豪ドル/NZドルは9月4日に一時1.11512NZドルへと上昇し、2月中旬以来6カ月半ぶりの高値をつけました。
足もとの豪ドル/NZドル上昇の主な要因として、8月20日に開かれたRBNZ(NZ中銀)の政策会合が挙げられます。RBNZ会合では0.25%利下げすることが決定されました。そのことは市場予想どおりだったものの、市場にとってのサプライズがあり、それらがNZドル安圧力を生じさせました。
サプライズとは、(1)会合ではより大幅な0.50%利下げすることも検討されたこと、(2)政策メンバーの意見がまとまらずに投票が実施されて、4人が0.25%の利下げに賛成し、2人は0.50%の利下げを支持したこと、(3)RBNZによる政策金利見通しでは、今回の利下げサイクルの最終到達点が5月時点の2.85%から2.55%へと下方修正されたことです。
また、豪州の4-6月期GDP(国内総生産。9/3発表)は前期比0.6%、前年比1.6%と、いずれも市場予想(0.5%と1.6%)を上回りました。そのことも豪ドル/NZドルの支援材料となったと考えられます。
今週は、豪州とNZのいずれも主要な経済指標の発表はありません。RBNZ会合の結果などが引き続き市場で意識されれば、豪ドル/NZドルは底堅く推移する可能性があります。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.37000カナダドル~1.39500カナダドル>
9月5日に発表されたカナダの8月雇用統計は、失業率が7.1%、雇用者数が前月比6.55万人減となり、いずれも市場予想(7.0%と1.00万人増)と比べて弱い結果でした。
BOC(カナダ中銀)は前回7月の会合で政策金利を2.75%に据え置きました。マックレム総裁は会合後の会見で「景気の減速がインフレにさらなる下押し圧力を加え、貿易の混乱による物価上昇圧力が抑制される場合、政策金利の引き下げが必要になる可能性がある」と述べました。カナダの8月雇用統計の結果を受け、市場では次回9月17日のBOC会合での追加利下げ観測が高まりました。OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回会合での利下げ確率は8割強(9/5時点)。4日時点は6割強でした。
一方で、米国の8月雇用統計の弱い結果を受けて、市場ではFRBによる積極的な利下げ観測が高まりました。
米ドル/カナダドルは7月下旬以降、おおむね1.37000カナダドル~1.39200カナダドルのレンジで上下動を繰り返しており、短期的な方向感が失われているように見えます。FRBとBOCの金融政策面から考えれば、米ドルとカナダドルの双方にマイナス材料があり、米ドル/カナダドルは引き続き方向感の乏しい展開になるかもしれません。
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