今週のポイント
トランプ米大統領の関税をめぐる発言やSNSへの投稿には注意が必要です。仮に米中貿易摩擦への懸念が高まる場合、リスクオフ(リスク回避)が強まるとともに、対円の通貨ペアが下押しする可能性があります。
16日には豪州の9月雇用統計が発表されます。OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、市場では次回11月3-4日のRBA会合について“政策金利の据え置き”と“0.25%の利下げ”で見方が分かれています。豪州の雇用統計の結果を受け、どちらの見方が強まるか注目されます。
原油の需給が緩むとの観測から原油価格が軟調に推移しています。原油安がさらに進む場合、カナダドルやメキシコペソには一段の下押し圧力が加わる可能性があります。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.12000NZドル~1.15000NZドル>
RBNZ(NZ中銀)は8日に政策会合で0.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を3.00%から2.50%へと引き下げました。RBNZが利下げしたのは24年8月以降8回目(利下げ幅は合計3.00%)です。
市場では利下げ幅について0.25%と0.50%で見方が分かれていました。また、RBNZは声明で「中期的にインフレ率が目標中間値の2%付近で持続的に安定するために必要な場合、政策金利のさらなる引き下げを検討する」とし、今後追加利下げを行う可能性を示しました。
RBNZ会合の結果を受けてNZドルが売られ、豪ドル/NZドルは8日に一時1.14384NZドルへと上昇して22年9月以来およそ3年ぶりの高値をつけました。
市場は今後の利下げ幅について、RBA(豪中銀)よりもRBNZの方が大きくなる可能性があるとみているようです。OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、RBAの利下げはあと1回(合計0.25%)、RBNZはあと1~2回(合計0.25%か0.50%)との見方が優勢です。市場のRBAとRBNZの金融政策見通しから考えれば、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそうです。
一方で、トランプ米大統領が10日に自身のSNSに「11月1日より、米国は中国に対して現在課している関税に加えて100%の追加関税を課す」と投稿すると、豪ドル/NZドルは下押ししました。豪州とNZのいずれも中国を最大の輸出先とするものの、主要輸出品は豪州が鉄鉱石なのに対し、NZは乳製品です。中国の景気が低迷すれば、豪州の方がより影響を受けやすいと市場はみなしたのかもしれません。対中関税についてのトランプ大統領の言動や、それへの中国政府の対応にも注目です。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.38000カナダドル~1.41000カナダドル>
米ドル/カナダドルは13日に一時1.40348カナダドルへと上昇し、4月上旬以来6カ月ぶりの高値をつけました。
足もとの米ドル/カナダドル上昇の主な要因として、軟調な原油価格が挙げられます。米WTI原油先物は10日に一時58.22ドルへと下落し、5月上旬以来5カ月ぶりの安値をつけました。カナダは原油を主力輸出品とするため、原油価格の下落はカナダドルにとってのマイナス材料です。
今週は、シャットダウン(米政府機能の一部停止)の影響によって米国の経済指標の発表は延期される可能性があります。カナダの経済指標は8月卸売売上高(15日)や9月住宅着工件数が発表されるものの、これまでの発表時の状況から考えれば、それらの結果は市場ではそれほど材料視されないかもしれません。
米ドル/カナダドルは引き続き原油価格の動向に影響を受けやすい地合いになりそう。原油価格が一段と下落する場合、米ドル/カナダドルは上値を試す可能性があります。
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