*11:01JST 三機工業 Research Memo(1):産業空調を得意とする建築設備会社で、施工管理の徹底で高利益率を維持
■要約
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年以上の実績から培われた高い技術力と信用力である。
1. 2026年3月期中間期の業績概要:営業利益は前年同期比10.4%増と好調
2026年3月期中間期(第2四半期)の業績は、売上高が101,970百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益が6,541百万円(同10.4%増)、経常利益が7,036百万円(同6.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が5,627百万円(同26.4%増)となり、営業利益は1983年の連結決算以降で最高であった。一部工事の進捗が期ずれしたことなどから減収となったが、損益面では施工における原価低減の取り組みによる建築設備での利益率改善が寄与し増益となった。売上総利益率は19.2%(前年同期16.2%)と改善し、売上総利益額は前年同期比14.0%増となった。一方、販管費は、100周年関連費用増や待遇改善等の人件費増により同16.0%増となったが、売上総利益増で吸収して営業利益は増益となった。受注高は建築設備で増加したものの、環境システムの減少により148,997百万円(同1.3%減)とほぼ前年並みにとどまったが高水準を維持した。期末の次期繰越高も257,757百万円(前年同期末比5.7%増)と、高水準を維持した。
2. 2026年3月期の業績見通し:営業利益は前期比25.6%増を見込み、各利益の期初予想を上方修正
2026年3月期の業績見通しは、受注高が270,000百万円(前期比1.9%増)、売上高が250,000百万円(同1.2%減)、営業利益が27,500百万円(同25.6%増)、経常利益が28,000百万円(同21.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が21,900百万円(同27.3%増)とし、各利益の期初予想を上方修正した(営業利益と経常利益が期初予想比3,000百万円増、親会社株主に帰属する当期純利益が同2,400百万円増)。売上総利益率は手持ち工事の内容や進捗状況などから前期比3.4ポイント上昇の22.2%、販管費は同9.4%増を見込んでいる。同社によれば、「2026年3月期中間期末の個別繰越工事高2,325億円のうち、約1,056億円は2026年3月期中に完成予定」とのことから、この業績予想は達成される可能性は高く、今後の期中受注や工事の進捗状況によってはさらなる上方修正の可能性もあると弊社では見ている。
3. 「中期経営計画2027」は順調に進捗し、2028年3月期に営業利益300億円を目指す
同社は2028年3月期を最終年度とする「中期経営計画2027」を発表している。「深化と共創」の重点テーマの下、戦略骨子として「事業戦略」「財務・資本戦略」「成長投資戦略」「R&D戦略」「人財戦略」「DX戦略」を定め、定量的目標として2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円、ROE16.0%以上などを掲げた。この新計画がスタートしてまだ半期であるが、各施策は順調に進んでいるようだ。今後、これらの「定量的目標」と「定性的目標」がどのように達成されていくか注目したい。
4. 株主還元にも積極的で2026年3月期も年間配当165円を予定
同社は株主還元にも積極的である。前中期経営計画“Century 2025”Phase3における株主還元方針に基づき安定的な還元を実施してきた。終了した2025年3月期も、好業績を背景に年間配当165円、141万株の自己株取得を行い、2025年3月期の配当性向は50.6%、総還元性向は73.6%となった。2026年3月期も年間配当165円(中間82.5円、期末82.5円、予想配当性向43.8%)を発表している。単に業績向上を目指すだけでなく、株主還元においても積極的な同社の姿勢は大いに評価できる。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率の上昇が進む
・2026年3月期は25.6%増の営業増益を見込み、各利益の予想を上方修正
・新中期経営計画を発表し、2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円を目指す
・株主還元に積極的で2026年3月期も年間165円配当(DOE7.8%)を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年以上の実績から培われた高い技術力と信用力である。
1. 2026年3月期中間期の業績概要:営業利益は前年同期比10.4%増と好調
2026年3月期中間期(第2四半期)の業績は、売上高が101,970百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益が6,541百万円(同10.4%増)、経常利益が7,036百万円(同6.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が5,627百万円(同26.4%増)となり、営業利益は1983年の連結決算以降で最高であった。一部工事の進捗が期ずれしたことなどから減収となったが、損益面では施工における原価低減の取り組みによる建築設備での利益率改善が寄与し増益となった。売上総利益率は19.2%(前年同期16.2%)と改善し、売上総利益額は前年同期比14.0%増となった。一方、販管費は、100周年関連費用増や待遇改善等の人件費増により同16.0%増となったが、売上総利益増で吸収して営業利益は増益となった。受注高は建築設備で増加したものの、環境システムの減少により148,997百万円(同1.3%減)とほぼ前年並みにとどまったが高水準を維持した。期末の次期繰越高も257,757百万円(前年同期末比5.7%増)と、高水準を維持した。
2. 2026年3月期の業績見通し:営業利益は前期比25.6%増を見込み、各利益の期初予想を上方修正
2026年3月期の業績見通しは、受注高が270,000百万円(前期比1.9%増)、売上高が250,000百万円(同1.2%減)、営業利益が27,500百万円(同25.6%増)、経常利益が28,000百万円(同21.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が21,900百万円(同27.3%増)とし、各利益の期初予想を上方修正した(営業利益と経常利益が期初予想比3,000百万円増、親会社株主に帰属する当期純利益が同2,400百万円増)。売上総利益率は手持ち工事の内容や進捗状況などから前期比3.4ポイント上昇の22.2%、販管費は同9.4%増を見込んでいる。同社によれば、「2026年3月期中間期末の個別繰越工事高2,325億円のうち、約1,056億円は2026年3月期中に完成予定」とのことから、この業績予想は達成される可能性は高く、今後の期中受注や工事の進捗状況によってはさらなる上方修正の可能性もあると弊社では見ている。
3. 「中期経営計画2027」は順調に進捗し、2028年3月期に営業利益300億円を目指す
同社は2028年3月期を最終年度とする「中期経営計画2027」を発表している。「深化と共創」の重点テーマの下、戦略骨子として「事業戦略」「財務・資本戦略」「成長投資戦略」「R&D戦略」「人財戦略」「DX戦略」を定め、定量的目標として2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円、ROE16.0%以上などを掲げた。この新計画がスタートしてまだ半期であるが、各施策は順調に進んでいるようだ。今後、これらの「定量的目標」と「定性的目標」がどのように達成されていくか注目したい。
4. 株主還元にも積極的で2026年3月期も年間配当165円を予定
同社は株主還元にも積極的である。前中期経営計画“Century 2025”Phase3における株主還元方針に基づき安定的な還元を実施してきた。終了した2025年3月期も、好業績を背景に年間配当165円、141万株の自己株取得を行い、2025年3月期の配当性向は50.6%、総還元性向は73.6%となった。2026年3月期も年間配当165円(中間82.5円、期末82.5円、予想配当性向43.8%)を発表している。単に業績向上を目指すだけでなく、株主還元においても積極的な同社の姿勢は大いに評価できる。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率の上昇が進む
・2026年3月期は25.6%増の営業増益を見込み、各利益の予想を上方修正
・新中期経営計画を発表し、2028年3月期に売上高3,000億円、営業利益300億円を目指す
・株主還元に積極的で2026年3月期も年間165円配当(DOE7.8%)を予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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