ネオマーケ Research Memo(5):過去最高の売上高を更新するも、先行投資の影響で減益

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/18 11:05
*11:05JST ネオマーケ Research Memo(5):過去最高の売上高を更新するも、先行投資の影響で減益 ■ネオマーケティング<4196>の業績動向

1. 2025年9月期の業績概要
2025年9月期の連結業績は、売上高2,306百万円(前期比9.9%増)、営業利益10百万円(同30.0%減)、経常利益7百万円(同45.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益26百万円(同81.9%減)となり、売上高については過去最高を更新した。なお同社は、営業体制や営業活動の進捗が計画よりも遅れたことにより、2025年8月13日に通期連結業績予想の下方修正を行っている。修正予想に対して、売上高は6百万円増、営業利益は10百万円増、経常利益は7百万円増、親会社株主に帰属する当期純利益は43百万円減であった。売上高の増加は、主にインサイトドリブン及びカスタマードリブンの両サービスが堅調に拡大したことによる。

売上総利益は同13.1%増の1,078百万円となり、売上総利益率は前期の45.5%から46.8%へと上昇しており、事業品質の向上が収益構造に徐々に反映されてきている。一方、販管費が1,068百万円と同13.8%の増加となり、営業利益率は前期の0.7%から0.5%へとやや低下となった。販管費の増加については、前期同様に中期経営計画に従い、中長期的な成長基盤を構築するための先行投資を積極的に進めていることが主因である。特に、マーケティングコンサルタントの採用強化と育成に注力したことが、人件費関連費用の増加につながり収益を圧迫することとなった。また、2026年9月期に注力するデジタルマーケティング・PRの運用体制及び販売体制の整備に向けた費用も、先行投資として発生している。

2025年9月期の取り組みとしては、多くのパートナーとの協業による海外調査体制の大幅な強化が挙げられる。具体的には、(株)レアジョブとの提携により、フィリピン現地講師ネットワークを活用したオンライン・オフライン調査を可能とし、(株)マーケティングセンターとの連携では、中国や東南アジア諸国における会場調査や訪問調査、エスノグラフィーの実施体制も整備した。(株)ボーダーリンク社との協業により、在日外国人を対象としたオンラインアンケートやインタビューなどの調査体制も確立している。加えて、Make Opinion GmbHとの協業では、大規模パネルと多言語自動翻訳機能を活用し調査のスピードとコスト効率の向上も実現した。さらに、ONE-VALUE(ワンバリュー)(株)との連携では、ベトナムやタイなどの富裕層を対象としたリサーチから把握した訪日外国人の価値観を、商品開発や価格設定に活用するための支援も開始している。海外リサーチに対する顧客からの引き合いは増加しており、これらパートナーとの協業や連携は今後も同社の売上増に継続して貢献する見込みである。

2. サービス別業績概要
(1) インサイドドリブン
インサイトドリブンの売上高は551百万円となり、前期比11.2%の増収を達成した。インサイト起点によるマーケティング戦略立案に対する需要は引き続き高水準で推移し、提案活動及び受注状況、並びに高い顧客満足度に基づくリピート率が総じて堅調であったことが成長の背景にある。さらに、2024年6月に譲受した事業であるセルフインタビューツール「リサーチDEMO!」も業績の押し上げ要因となった。インサイトドリブンは成熟市場においても安定的な成長を維持する、同社業績の基盤を支えるサービスといえるだろう。

(2) カスタマードリブン
カスタマードリブンの売上高は998百万円となり、前期比18.0%増と大幅な増収を達成した。この伸長は、顧客企業への営業活動の強化に加え、積極的な自社マーケティング施策が奏功し、新規案件の獲得及び既存顧客からの継続受注が拡大したことに起因する。営業人員の増加に伴う新規開拓力の向上に加え、データの品質確保に向けた取り組みや、自社で発信する調査レポートの公開といった地道な活動が、顧客からの信頼を醸成し、インバウンドでの引き合い増加につながっている。リサーチ需要の広がりを確実に捉え、安定的かつ持続的な成長を継続するカスタマーサービスは、同社の屋台骨を支える重要なサービスである。

(3) デジタルマーケティング・PR
デジタルマーケティング・PRの売上高は417百万円となり、前期比3.3%増と小幅ながら増収となった。もっとも、期中のコンテンツマーケティングやPRに関する引き合いは増加していたが、サービス運用体制が十分に整備されておらず引き合いへの対応が難しかったという事情がある。現在では十分な品質のサービスを提供できる運用体制の整備と専門営業チーム組成が完了しており、2026年9月期は本格的な成長への取り組みに注力する計画だ。

(4) カスタマーサクセス・その他
カスタマーサクセス・その他の売上高は340百万円となり、前期比3.6%の減収となった。減収の主因は、2024年5月に連結対象外となった子会社の売上寄与が消失した点である。なお、カスタマーサクセスについては堅実な事業運営が重視されており、同社にとっては大幅な売上拡大を見込むものではい。しかしながら、神奈川県横浜市、沖縄県那覇市などの運営拠点における人員配置の調整などの業務運営・関連費用の最適化は継続的に実施されている。

3. 財務状況と経営指標
2025年9月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比112百万円増加の1,798百万円となった。そのうち流動資産の増加が320百万円となっており、現金及び預金の304百万円増加が主な要因である。これはM&Aを含めた戦略的な投資のため手元資金を増加させているためである。固定資産は投資その他の資産が178百万円減少しているが、これは主に差入保証金の211百万円減少による。

負債合計は前期末比131百万円増加の1,008百万円となった。これは主に1年内返済予定の長期借入金の61百万円増加などにより流動負債が80百万円増加したことに加え、長期借入金の51百万円増加に伴い固定負債が51百万円増加したことによる。純資産合計は同19百万円減少の790百万円となったが、これは主に自己株式が45百万円増加したことが主な要因である。

以上の結果、自己資本比率は前期末比4.1ポイント下がり43.9%となったが、2025年3月期東証プライム・スタンダード・グロース市場の全産業合計の34.1%を上回る高い安全性を達成している。一方、収益性指標のROAは0.4%、ROEも3.3%に低下した。今後は中長期的な成長戦略を推進することで、収益性指標を改善していく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 西村 健)

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