サンマルクHD Research Memo(3):「生麺専門鎌倉パスタ」「牛カツ京都勝牛」「サンマルクカフェ」が主力

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/25 11:33
*11:33JST サンマルクHD Research Memo(3):「生麺専門鎌倉パスタ」「牛カツ京都勝牛」「サンマルクカフェ」が主力 ■事業概要

2. 主力業態・ブランドと特徴・強み
(1) レストラン事業
サンマルクホールディングス<3395>の創業の業態である「ベーカリーレストラン・サンマルク」は、“焼き立てパン食べ放題”やホテル並みのホスピタリティといった付加価値を付けることで、競合するファミリーレストラン等との違いを明確にしている。「ベーカリーレストラン・バケット」は、フレンチカジュアルをベースにした料理と、店内の専用オーブンで焼き上げたこだわりの焼き立てパンを楽しめるベーカリーレストランである。「ベーカリーレストラン・サンマルク」は主にロードサイド・SC(ショッピングセンター)型立地、「ベーカリーレストラン・バケット」は主にSC型立地で展開している。

現在の主力業態となっている「生麺専門鎌倉パスタ」は、注文を受けてから生麺を茹で上げるスパゲッティ専門店である。来店客がゆっくりと食事を楽しめるように「和」を基調にした落ち着きあるシックな空間にしている。SC・駅ビル・駅前商店街・商業ビルのインショップなど幅広い立地で展開している。

また同社は「生麺専門鎌倉パスタ」をパスタ業態の展開におけるリーディングブランドと位置付けており、派生業態の開発・出店も強化している。派生業態である「おだしもん」は、店内で仕込む「お出汁」をベースとしたパスタと和スイーツをメインとして提供する“お出汁のパスタとあまいもん”という新しいコンセプトのカフェレストランである。「生麺専門鎌倉パスタ」と比較して女性顧客が多く、10〜15%程度高い客単価に加え、喫茶需要によりアイドルタイムである14時〜17時の売上構成比が相対的に高いことや、喫茶立地への出店が可能などの特徴もある。同じく派生業態の「てっぱんのスパゲッティ」は、並盛300gの“がっつり系スパゲッティ”や、名物となっている“1枚ベーコンスパ”など20種類以上のラインナップ、パンチの効いた味付けを特徴とするほか、小規模店舗(25坪程度)での出店が可能、早い提供時間と安い価格帯でフードホールタイプへの出店が可能、テイクアウトやデリバリーの比率が高く少席数をカバー可能という特徴も備えている。

「神戸元町ドリア」は“世界に1つしかないドリア専門店”として、30種類以上のドリア、焼きオムドリア、グラタンなどを提供している。毎朝店内で仕込むオリジナルドリアライスと各種ソースの相性にこだわり、火にかけたままの状態で商品を提供している。主にSC型立地で展開している。中華業態の「台湾小籠包」は店内で手包みした自家製小籠包をメインに、点心メニューが特徴の中華料理店である。「すし処函館市場」は北の国の新鮮なネタを、人肌握りで提供している。

牛カツ業態については「牛カツ京都勝牛」及び「牛かつもと村」を展開し、和の専門業態として新たな柱への育成を目指している。業態の特長として「牛カツ京都勝牛」は回転率が高く比較的小規模な店舗でも営業できるため、営業利益率は10%以上と高利益率である。「牛かつもと村」のメニューは1種類で、高級感あふれる店舗と和食風の接客サービスにより、手ごろな価格で牛かつ料理を楽しむことができる。牛かつ市場における市場シェアは「牛カツ京都勝牛」が1位、「牛かつもと村」が2位であり、同市場でチェーン展開しているのは実質的に「京都勝牛」と「牛かつもと村」だけである。同社は牛かつ市場のリーディングカンパニー2社を子会社化し、圧倒的な市場シェアを獲得したことになる。

(2) 喫茶事業
喫茶事業の主力の「サンマルクカフェ」は、レストラン業態で深めた品質を中心に据え、代表的なメニュー「チョコクロ」を主力とするベーカリーカフェである。2024年3月に山梨銘菓「桔梗信玄餅」とのコラボレーションで販売した「プレミアムチョコクロ 桔梗信玄餅~黒糖入り生地&黒みつきな粉もち~」など、高価格帯の「プレミアムチョコクロ」シリーズが大ヒット商品となっている。また「プレミアムチョコクロ」を通じた高付加価値商品の提供を継続するため、2025年7月25日の北海道フェアより「プレミアムチョコクロ」の入れ替え期間を見直して長期化した。これまでは期間限定商品が好評でも増産による対応ができなかったが、フェアの期間を長期化することによって需要を取り切ることが可能になり、売上増加につながる見込みだ。店舗展開はSC・駅ビル・駅前商店街・商業ビルのインショップなど幅広い立地で展開し、セルフレジ導入などにより店舗オペレーション効率化も推進している。不採算店舗の整理が2025年3月期までにおおむね完了したため、2026年3月期から新規出店を再開し、6年8ヶ月ぶりの直営路面店新規出店となる「サンマルクカフェ本町信濃橋店(大阪市)」を開業した。今後は店舗純増戦略に転換する。

「倉式珈琲店」は厳選したコーヒー豆をサイフォンで1杯ずつ抽出して提供するフルサービスの本格的珈琲店である。和のテイストを大切にしたスイーツやバラエティ豊富な軽食も提供している。なお「倉式珈琲店」イオンタウン周南久米店の女性サイフォニストが、2024年10月に行われたジャパンサイフォニストチャンピオンシップ決勝大会で3位に入賞した。2022年12月に子会社化したLa Madragueは、関西エリアにおいて「喫茶マドラグ」を直営店で展開している。食べログ百名店に選ばれるなど、京都を代表する喫茶店ブランドとなっている。なおLa Madragueは進行期より連結の範囲に含めている。

(3) 実験業態
今後の事業化に向けた実験業態としては、クロワッサン専門店「RISTRETTO&CROISSANT LABORATORIO」、パンにこだわったベーカリーカフェ「Petrichor Bakery and Cafe」、鉄板料理や焼き立てパンを提供するグリル&ベーカリー「THE SEASON」、素材の旨味を引き出す薄皮で提供する天ぷら専門店「天ぷら天清」、韓国料理と釜焚きごはん「韓と米」などがある。

(4) 特徴・強み
同社の特徴・強みとしては、創業以来の「私たちはお客様にとって最高のひとときを創造します。」という経営理念のもと、セントラルキッチンを持たずに、店内調理によって、できたて・焼き立てのおいしさを届ける「店内調理へのこだわり」が大きな強みとなっている。一般的に店内調理はコスト高になりがちだが、同社は店内調理を前提としながらも、スケールメリットを生かして様々な業務を仕組化して効率化を図り、効率化によって生まれた時間で高品質な接客・サービスの提供に注力している。また店舗展開は直営店を基本として、パート・アルバイトを含めた従業員と同社の経営理念を共有し、接客サービスや店舗オペレーションの質の向上につなげている。

なお同社のブランドポートフォリオ構築は、既存の成熟市場で高付加価値を求める来店客に対して高品質サービスをシステマチックに提供することで、高付加価値市場を開拓することを基本戦略としている。この戦略を実現するため、同社は独自メニュー開発によるメニューラインナップ充実や接客サービス向上に注力している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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