クラボウ Research Memo(6):注力事業へ経営資源を集中し、事業ポートフォリオ改革をさらに加速する方針(1)

配信元:フィスコ
投稿:2026/01/16 11:06
*11:06JST クラボウ Research Memo(6):注力事業へ経営資源を集中し、事業ポートフォリオ改革をさらに加速する方針(1) ■クラボウ<3106>の中期経営計画「Accelerate’27」の概要

新たにスタートした中期経営計画「Accelerate’27」(2026年3月期~2028年3月期)は、「長期ビジョン2030」(イノベーションと高収益を生み出す事業体制への変革)の実現に向けた第3ステージに位置付けられる。事業ポートフォリオ改革をさらに加速し、最終ステージでの仕上げにつなぐ期間となる。

1. 基本方針
「高収益事業の成長加速と経営資源の効率的な活用による企業価値の向上」を基本方針に掲げ、1) 成長市場に向けた注力事業の展開・加速と基盤事業の収益力強化、2) R&D活動の強化と新規事業の創出・収益化、3) サステナブル社会の実現への貢献、4) エンゲージメントの高い組織の構築という4つの重点施策を推進していく。とりわけ前中期経営計画で手応えをつかんだ注力事業(半導体製造関連等)のさらなる成長加速、並びに基盤事業の構造改革推進等により、事業ポートフォリオ改革に拍車をかける考えだ。

2. 数値目標
最終年度(2028年3月期)の連結売上高1,650億円(3年間の平均成長率3.1%)、営業利益130億円(同8.0%)を目標に掲げ、営業利益率は7.9%(2025年3月期比1.1ポイント上昇)に改善を図る。さらに資本収益性の向上や適正な財務・資本政策により、ROICを7.9%(同2.4ポイント上昇)、ROEを10.0%(同2.4ポイント上昇)に高める計画となっている。

3. 事業ポートフォリオ戦略
事業ポートフォリオを「注力事業」と「基盤事業」の2つに分けたうえで、成長性・収益性の高い「注力事業」へ経営資源を集中し、事業ポートフォリオ改革をさらに加速する戦略である。一方、社会課題の解決に資する「基盤事業」については、資源循環型/環境配慮型ビジネスの推進、事業パートナーとの連携強化、低採算事業の再構築などに取り組む。「注力事業」については、半導体製造関連領域※1(高機能樹脂製品や機能フィルム、液体成分濃度計、薬液供給装置、ウエハー等洗浄装置など)のほか、ライフサイエンス・テクノロジー関連領域※2(撹拌脱泡装置、遺伝子抽出装置・受託解析、ロボットビジョン、自動化装置、食品ほか)などに特定し、各セグメントや事業区分をまたいで製品・サービスを提供していく。

※1 市場拡大が続くウエハー/半導体製造工程(前工程・後工程)向けに幅広い製品を提供していく。2025年7月には熊本イノベーションセンターが本格稼働し、高機能樹脂製品の生産能力及び開発体制を強化した。2028年3月期の売上高313億円(2025年3月期比1.5倍)を目指す。
※2 バイオメディカル、ビジョンセンサーなど主要技術の組み合わせにより、健康増進や労働力不足を自動化ソリューションで補い、社会課題の解決を目指す。最近の取り組み事例として、ロボットビジョン(及び協働ロボット)と撹拌脱泡装置との組み合わせによる調剤作業の自動化(調剤薬局の課題解決)などが挙げられる。2028年3月期の売上高171億円(2025年3月期比1.2倍)を目指す。

4. 各事業セグメントの見通し
(1) 化成品事業
2028年3月期の売上高740億円(平均成長率3.9%)、セグメント利益60億円(同6.1%)を計画している。半導体やエネルギー関連市場へ向けた高機能プロダクツ事業(高機能樹脂製品、機能フィルム)への経営資源集中と事業拡大加速を進めるとともに、自動車や住宅関連市場向け産業マテリアル分野における新規ビジネスの展開と市場への深耕を図る。半導体製造関連向けは初年度である2026年3月期に調整局面を見込むものの、その後大きく伸長する見通しである。営業利益率は、高収益の高機能樹脂製品の伸びにより8.1%(2025年3月期比0.5ポイント上昇)に改善する想定だ。

(2) 繊維事業
2028年3月期の売上高490億円(平均成長率0.3%)、セグメント利益12億円(同152.0%)を計画している。厳しい事業環境(価格競争の激化等)が続くなか、独自技術の開発強化と付加価値向上を進めるともに、海外拠点への設備投資を通して競争力を高め、グローバルサプライチェーンの整備・拡大を進める。初年度である2026年3月期に構造改革費用を見込むものの、その後、構造改革効果や独自技術製品の強化、グローバルサプライチェーンの拡大等により収益の底上げを図る。営業利益率は、まずは2.4%(2025年3月期比2.2ポイント上昇)に改善させる想定だ。

(3) 環境メカトロニクス事業
2028年3月期の売上高270億円(平均成長率7.2%)、セグメント利益40億円(同6.2%)を計画している。注力領域である半導体製造関連事業、並びにライフサイエンス・テクノロジー事業の成長加速を進めるほか、社会課題の解決に資する環境(排水・排ガス処理、バイオマス等)やインフラ関連ビジネス(インフラ検査事業等)などの市場開拓と収益力強化を図る。ライフサイエンス・テクノロジー事業については、バイオ分野やラボオートメーションシステムが拡大するとともに、半導体関連分野への装置・機器の供給が業績の伸びをけん引する想定である。営業利益率は14.8%(2025年3月期比0.4ポイント下降)と高水準を維持する想定だ。

(4) 食品・サービス事業
2028年3月期の売上高112億円(平均成長率2.3%)、セグメント利益8億円(同3.4%)を計画している。「食品事業」は、既存商品の市場浸透と差別化商品の開発、販路開拓を進める。また、フリーズドライ食品を軸に注力事業であるライフサイエンス・テクノロジー事業の一端も担っていく。「サービス事業(ホテル事業)」は、観光及びインバウンド需要の取り込みや顧客満足度の向上により引き続き安定推移する見通しである。

(5) 不動産事業
2028年3月期の売上高38億円(平均成長率0.7%)、セグメント利益22億円(同-0.6%)を計画している。今後も繊維事業の工場跡地等の遊休資産の有効活用による長期安定収益源として重要な役割を担う。賃貸契約の大半が長期のため、引き続き安定的に推移する見通しである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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