明日の株式相場に向けて=AIDC、人工ダイヤ、国土強靱化の新星
きょう(12日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比10円安の5万7639円と小幅反落。朝方は先物に引っ張られて高く始まり、一時5万8000円台に乗せる場面はあったが、その後は買い疲れ感が垣間見える地合いで結局小安く引けた。もっともプライム市場の3分の2の銘柄が上昇しており、TOPIXは終始堅調な値動きで4連騰と強さを発揮した。半導体主力株に跛行色が見えているのはやや気になるところで、押し目があれば手当たり次第に買い下がるということではなく、セクターローテーションの流れもしっかりと見極めていく必要がありそうだ。日経平均の上値がこれから漸次伸びていくのかどうかは不確かな部分もある。繰り返しになるが、日経平均構成比で群を抜くアドバンテスト<6857.T>が暗示的な存在だ。アドテストが1月29日の上場来高値をつけた同日に引いた大陰線、これはアイランドトップと呼ばれる形状で、ここを短時日でクリアできるイメージが常識的にはなかなか湧いてこない。もし、未曽有のブル相場に東京市場が突入しているのであれば、日経平均は早晩6万円台での活躍も視野に入るはずだが、その場合はアドテストが、このモンスターボックス並みの高い位置にある大陰線を、上ヒゲではなく実体足でやすやすと越えていく状況を意味する。いずれは高値を更新するとしても、それなりに日柄が必要なところである。であれば、逆説的に日経平均もそろそろ上値が重くなってくるのではないかという読みが働く。きょうの日経平均に見られた逡巡は、気迷いモードに入っているアドテストの株価をテクニカルと投資家心理の両面から投影したといえるかもしれない。
しかし、そうした中も東京市場ではテーマ物色の流れが花盛りである。日経平均の上値の可能性を論じる前に、投資資金は個別株の「次」を探すことの方に躍起で、ピラニアのような貪欲さを帯びている。ともすれば食い散らかしになるパターンだが、高市政権下での国策をベースに資金が動いているという、まさに“錦の御旗効果”が発露しているためショート戦略に重心を置いている向きも大変である。ユニチカ<3103.T>は今から2週間ほど前に当欄で取り上げた時、株価はまだ400円台であった。ところが、きょうは1372円ストップ高カイ気配に張り付く展開だった。米クアルコム<QCOM>が訪問したという事実を会社側が否定しなかったというだけで、株価はここまで変貌を遂げる。ひと昔前のデフレマインドにどっぷりと浸かった状況からすれば信じられない光景である。
テーマ買いの対象としては、足もとでは人工ダイヤモンド関連が“急騰スポット”となっていて、イーディーピー<7794.T>、住石ホールディングス<1514.T>、マイポックス<5381.T>、旭ダイヤモンド工業<6140.T>、中村超硬<6166.T>などが一斉にストップ高人気となった。こういう環境で、新たな銘柄を発掘するというのもなかなか難しくなってきているが、ニューフェース銘柄では新明和工業<7224.T>に着目。ダイヤモンド研磨技術で定評があり、コーティング装置の開発でも実績が高い。また、言うに及ばず防衛関連の有力株でもある。
AIデータセンター(AIDC)周辺では、ニッカトー<5367.T>が大相場気配を漂わせている。同社が手掛けるセラミックス製品は電子部品向けが全体の6割程度とかなりのウェートを占めているが、AIサーバーに必要不可欠で需要急増傾向にある積層セラミックコンデンサ(MLCC)関連の特需が発生しており、足もとの業績だけでなく中期的な成長シナリオが鮮明となりつつある。主要顧客は太陽誘電<6976.T>や村田製作所<6981.T>などであるが、両社ともにAIサーバー向けを成長領域として製品開発を進め、これから回収期に突入する。ニッカトーはこの流れに労せずして乗ることになりそうだ。PBRは0.6倍台という超割安圏。株価は目先急動意しているが、近視眼的にならず2018年からの月足チャートをみれば、今が長期上昇トレンドの緒に就いた段階であることを窺わせる。
高市政権が推進を図る17の戦略分野では、防災・国土強靱化も掲げられている。下水道インフラの予防保全や再構築だけではない。老朽化した社会インフラの危険性が高度経済成長期から半世紀以上を経て浮き彫りとなっている。積極財政路線を打ち出す際に、まずは国民の安全を守ることに重点投資するというのが一丁目一番地である。大手ゼネコンなどの株価強調展開が目立つが、特殊土木の日特建設<1929.T>は麻生関連の切り口もあり、決算発表を受けた直近の商いを伴う上昇波は追撃妙味十分と言えそうだ。中低位株ではトンネルの補修で活躍機会が見込まれるジオスター<5282.T>に目を配っておきたい。投資有価証券の売却に伴い最終利益が下駄を履いているため、PER10倍は額面通りの割安さはないが、0.6倍のPBRは見直し余地の大きさを示唆している。
あすは株価指数オプション2月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほか、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示され、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、昼ごろに日銀の田村審議委員が神奈川県経済同友会で講演を行う予定。午後3時には1月の投信概況が公表される。この日はIPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にTOブックス<500A.T>が新規上場する。海外では1月の中国70都市の新築住宅価格、ロシア中銀の金融政策決定会合、12月のユーロ圏貿易収支、1月の米消費者物価指数(CPI)など。なお、台湾市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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