アドソル日進、AIの進化に伴う「電力爆需」を追い風に電力ビジネスが拡大 3期連続最高業績の更新、16期連続増配へ
登壇者紹介

篠﨑俊明氏(以下、篠﨑):みなさま、こんにちは、アドソル日進の篠﨑です。本日は、当社のビジネスの状況をみなさまにお伝えできればと思います。
私は大学を卒業後、新卒でアドソル日進にITエンジニアとして入社しました。入社以来、アドソル日進一筋で30年以上勤務しています。
入社当時からエンジニアとして多くのシステム開発に携わるとともに、営業やマネジメントなど、さまざまな立場で当社とともに歩んできました。2021年に社長に就任し、まもなく5年が経ちます。
当社は、人々の暮らしに欠かせない社会インフラのビジネスをITで支えている企業です。「人々の暮らしを支える会社」でありたいという思いを胸に、今日まで取り組んできました。今後もこの想いを中心に据え、みなさまの生活を支えていきたいと考えています。
話はビジネスから離れますが、プライベートでもさまざまなことに取り組んでいます。実はここ数年、野菜作りにハマっており、素人から始めてさまざまな栽培方法を試してきました。本や資料を参考にしながら、うまくいかないこともありますが、それでも家庭で食べる野菜のほとんどは自ら育てたものです。
みなさまが普段スーパーで購入するようなトマトやナス、ネギなどの野菜を育てています。果物では、メロンなども栽培しています。種から育てる場合や苗から始める場合もありますが、うまく育つのは半分程度です。形はあまりきれいではありませんが、農薬を一切使用せずに有機栽培で作っており、日々新鮮な野菜を味わっています。
しかし、今年の夏は非常に暑く、野菜が育たない状況が続きました。現在は春野菜の栽培に取り組んでいますが、水不足や乾燥のため、芽がなかなか成長せず苦戦しています。
また、出張先で地方のおいしい野菜や珍しい野菜に出会うと、それらを育てたくなり、新しい種を購入することもあります。ただし、土地の気候や土壌の性質、アルカリ性や酸性などの影響で、なかなか思うように育ちません。そのため、現在は土地改良の方法を模索しており、AIを活用した分析で解決策が見つけられないかと思案しています。
さらに、近所の大学と協力してデジタル技術を活用した農地改善など、野菜作りにITを取り入れられないか、という新たな挑戦も始めています。
荒井沙織氏(以下、荒井):社長の探究心の深さや、なかなか育たないものに向き合っていくといった姿勢は、ビジネスにも共通しているのでしょうか?
篠﨑:ビジネスにおいては、会社を守る責任もあるため、すべてにチャレンジできるわけではありません。ただ、昨今、AIをはじめ新しい技術や取り組みが急速に増えており、それらには積極的に挑戦しています。
社員に対しても、やりたいことに挑戦するように働きかけており、現場の社員が主体的に新しい技術や取り組みを取り入れて、新しいビジネスやサービスを生み出しています。今後も社員が積極的に挑戦できる環境づくりに努めていきたいと考えています。
会社概要

篠﨑:会社概要について簡単にご説明します。アドソル日進株式会社の「アドソル」は造語で、Advanced Solution(アドバンストソリューション)に由来しています。創立は1976年3月で、来月、3月13日に創立50周年を迎えます。従業員は676名です。2007年にJASDAQに上場し、その後東証プライム市場に移行しました。
当社は独立系のIT企業です。IT企業の中には、大手メーカーの情報子会社や、商社系の企業も多くありますが、当社は大手企業のグループ会社ではなく、独立して事業を展開しています。
現在、グループ会社は3社あります。詳細は後ほどご説明しますが、特に、ベトナムでの開発体制の強化に注力しており、アドソル・アジアという100パーセント子会社を有しています。
また、アメリカのサンノゼには、リサーチや研究開発を行うAdsol-Nissin San Jose R&D Center(アドソル日進サンノゼR&Dセンター)を設置しています。最近はAIに対するリサーチ活動に力を入れており、アメリカで収集した情報を日本に持ち帰り、AIビジネスのさらなる発展に役立てています。
グローバル・ネットワークで高品質なICTシステムを提供

篠﨑:当社は、東京都の品川駅近くに東京本社を構えています。また、大阪と福岡には東京と同じ組織形態の支社を設置しています。名古屋オフィスは名古屋駅近くにあり、営業拠点であると同時にシステム開発の拠点でもあります。仙台開発センターは、システム開発専門の拠点です。
ベトナムには、ハノイ、ダナン、ホーチミンの3拠点があります。特に力を入れているのは、ベトナム中部に位置するダナンです。
ダナンは観光名所が多く、リゾート地として知られていますが、近年ではベトナム政府からIT特区として認定されており、多くの日本のIT企業が進出しています。当社は長年ベトナムでビジネスを展開しており、ダナンにも2018年に開発拠点を開設し、高度IT人材の育成と開発体制の強化に取り組んでいます。
売上高・営業利益の推移

篠﨑:スライドは、売上高および営業利益の推移を示しています。今期は、3期連続で最高業績を更新する見込みです。スライドをご覧いただくと、業績が右肩上がりに伸びていることがわかると思いますが、その要因の1つに、エネルギー、特に電力関連ビジネスの好調が挙げられます。
また、今期は3ヶ年の中期経営計画の最終年度にあたります。中計で掲げる「スマートシティの実現」への貢献を目指したビジネスモデルの進化に取り組んでいます。
幅広い領域における事業展開

篠﨑:スライドは、当社の事業領域を示しています。電力やガス、鉄道、宇宙など、当社が特化しているのは「社会インフラ」領域です。
創業以来50年間、社会インフラ領域のシステム開発に取り組んできましたが、時代の変化とともに、この領域も大きく様変わりしています。現在、みなさまはスマートフォンを利用した決済、いわゆる「〇〇Pay」などのサービスを活用されていると思います。スマートフォンや決済サービスがなければ生活が非常に不便になるのではないでしょうか?
社会インフラといえばエネルギーや交通などをイメージされるかもしれませんが、決済サービスをはじめ、私たちの生活に必要なものは、広く社会インフラに含まれると考えています。
当社はこのように、人々の暮らしに欠かせない社会インフラ領域で、ITを活用し、みなさまの「安全」「安心」「環境」を支えていきたいと考えています。
増井麻里子氏(以下、増井):非常に広範囲にわたってITシステムなどを提供されていますが、御社は例えばIoTデバイスのようなハードウェアも製造されていますか?
篠﨑:当社は、ハードウェアは製造しておらず、ハードウェア上で動作するソフトウェアを開発しています。単に要件定義に沿ってソフトウェアを作るわけではなく、ハードウェアのOSやハードウェアに組み込まれている組込制御の知識・ノウハウを有しており、最適なソフトウェアを提案・構築できることが、当社の強みです。
社会インフラを支える各種ハードウェアの特性に合わせてソフトウェアを開発する際にも、ハードウェアと一体となったシステムを構築できることが当社の特徴です。
増井:メーカーと共同で事業を行うこともありますか?
篠﨑:メーカーと共同で行う場合もありますし、電力会社グループなど、直接エンドユーザーから発注いただく場合もあります。
アドソル日進の特徴・強み

篠﨑:さまざまなお話をしたいところですが、本日は、当社の特徴・強みを3つに絞ってご説明します。1つ目は、当社の安定成長を支えている電力関連のビジネス状況についてです。2つ目は、みなさまが関心をお持ちのAIについて、当社の認識をお話しします。3つ目は累進かつ連続増配についてご説明します。
エネルギー(電力・ガス)を中心に安定成長

篠﨑:まず、当社の安定成長を支える主力ビジネスである電力ビジネスについてご説明します。スライドは、2025年3月期の売上構成比を示しています。売上高154億円のうち、エネルギー(電力・ガス)が約50パーセントを占めており、エネルギーが当社の成長を支える主力事業であることがおわかりいただけます。
スライド右側には、当社の事業セグメントを示しています。
社会インフラ事業は、主力のエネルギー(電力・ガス)に加え、交通・運輸、公共(防災等)、通信・ネットワークの4部門で構成されています。
一方、先進インダストリー事業は、製造、サービス、エンタープライズの3部門で構成されています。製造領域は、製造業や工場、データセンター関連のビジネスが中心です。近年はサービス領域が非常に好調で、スマートフォン決済やクレジットカード決済など、決済・ペイメント関連のDX・モダナイゼーション案件が伸びています。
エンタープライズ領域では、電子カルテや医療システムなど、医療関係のビジネスを展開しています。
創業から50年にわたり培ってきたさまざまな技術やノウハウを活かし、これら7つのビジネス領域に取り組んでいます。これらの領域では、急速に進むDXやIoTの潮流にも対応し、スマート化・デジタル化案件にも取り組んでいます。
電力市場トレンドとITシステム投資の動向

篠﨑:少し難しい部分もあるかもしれませんが、電力市場のトレンドとITシステム投資の動向についてお話しします。
電力市場は、高度経済成長期以降、インターネットの発展などを背景に、電力需要が拡大し、それに伴ってシステム化も大きく進みました。近年ではAIの進化に伴うデータセンター需要の増加や、猛暑など天候の影響により、電力需要が逼迫する場面が見られます。こうした状況の中で、電力利用に関わる効率化やシステム化の取り組みが急速に進んでいます。
ポイントは3つあります。1つ目は、電力の安定供給です。家庭、職場、工場などに安定的に電力が供給されなければ、大きな支障が生じます。急な停電が話題になりますが、こうした事態を防ぐため、電力供給の安定化が非常に重要です。そのため、電力システムは常に更新され、新しい仕組みが次々と生まれています。
2つ目は、電力需要への対応です。電力を安定的に供給するためには、火力、水力、原子力などさまざまな発電方法で作られた電力を、正確かつ安定的に届けることが重要です。これはいわゆる「送配電」と呼ばれる部分であり、重要な役割を担っています。電力は電線を通じて供給されますが、その制御は非常に高度です。電力需要の拡大を背景に、送配電インフラ整備は今後さらに進むと考えられています。
3つ目は、脱炭素やサステナビリティなど、環境への配慮です。脱炭素の流れに沿い、太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電の取り組みが進められています。しかし、再生可能エネルギーで無制限に電力を生み出すことはできません。そのため、不足する電力を補いつつ、効率よく電力を消費する仕組みづくりへの関心が高まっています。
これらの3つのポイントに対し、当社は多様なビジネスを展開しています。その結果として、電力分野がビジネスの中心となっています。
増井:スライドでは電力の歴史についても記載されています。東日本大震災の際に安定供給に問題が生じたことで改革が進み、自由化も一気に進展したように感じます。現在は、どのような改革が必要とされているのでしょうか?
篠﨑:電力を効率的に作ることも課題ですが、電力を使用する側の仕組みも重要です。
増井:使用する側が消費を抑制していくということですか?
篠﨑:電力を使う側、いわゆる需要家が効率的に電力を使う仕組みとしてエネルギーマネジメントシステムが注目されています。特に、大量の電力を消費する工場、病院、データセンターなどが対象です。電力を効率よく使用するために、ITで電力の利用状況を監視し、分析し、コントロールするシステムです。
また、通常の電力会社が供給する電力だけでなく、「地産地消」と呼ばれる仕組みも広がるでしょう。例えば、大量に電力を消費するデータセンターでは、近隣の一般家庭などで太陽光発電などにより生み出された電力を一括管理し、効率的に利用する取り組みが、これから増えていくと考えられます。
これらの取り組みはすべてITを駆使してコントロールする必要があり、人の手作業で管理することは現実的ではありません。そのため、データセンターや工場で、設備の稼働状況などをリアルタイムで把握しつつ、電力を効率的に活用できるエネルギーマネジメントシステムの重要性は、今後ますます高まると見込まれています。
増井:広域の電力融通や周波数の調整など、さまざまな課題があると思いますが、こうした管理は御社のシステムで対応可能なのでしょうか?
篠﨑:周波数が異なる地域間の調整は、難しい部分があります。間接的にはさまざまな取り組みを行っていますが、直接的にその領域に関与しているわけではありません。私たちは「電力をいかに安心してみなさまに利用いただけるように届けるか」、また「どうすれば電力を効率的に使えるか」、といった点に注目しています。
POINT1 電力安定供給の確立・維持

篠﨑:先ほどご説明した3つのポイントの1つ目として、スライドでは電力の流れをお示ししています。電力を発電して、送配電で送り、家庭や職場などで使用するまでの一連の流れの中で、当社は創業以来50年間幅広い領域でシステムを提供してきました。
当社のほかに、電力の一連の流れ全体でシステム開発を担っている企業はないと自負しています。電力の流れや、送配電、それらに関わる仕組みについて、多岐にわたるシステム開発のノウハウを蓄積してきたことが大きな強みです。
増井:送配電関連銘柄として御社が取り上げられることも多いかと思いますが、競合の中で最も強みとしている点はどこでしょうか?
篠﨑:当社は創業当初から電力分野でビジネスを展開しており、その中で必要とされる多様なIT技術を培ってきました。こうした技術力は、当社の大きな強みであると考えています。例えば通信は電力を送電する際に欠かせない重要な要素の1つです。通信技術を知らなければ対応できない部分もあるといえます。
また、電力分野で使われるハードウェアの特性・OSなどについての知見も当社の強みの1つです。電力設備には細かなシステムが多く、ハードウェアも含めて、それらが複雑に連携し合っています。当社はそのようなシステムを適切に制御するソフトウェアを構築できる点に優位性があると考えています。実際に開発するのはソフトウェアですが、ハードウェアに近いレイヤーでビジネスを展開している点が当社の特徴です。
POINT2 電力爆需

篠﨑:2つ目の電力需要への対応についてご説明します。AIの普及やデータセンターの建設ラッシュ、猛暑などの影響により、電力逼迫への懸念が高まっている中で、電力をどのように安定的に供給するかが課題となっています。
電力の安定供給において特に重要なのが「送電」です。電力の供給量が多すぎたり、逆に少なすぎたりすると、設備を保護するために意図的に停電を発生させる必要があり、ブラックアウトと呼ばれる現象が発生することがあります。
こうした事態を防ぐためにも、微妙な需給バランスの調整が欠かせず、こうした調整にAI活用の必要性が高まっており、電力を「作る側」も「使う側」もAIをどのように活用するかが大きなテーマとなっています。当社はAI銘柄、電力銘柄と呼ばれることもありますが、実際に電力システム全体でAI活用が広がっており、今後ますます欠かせない要素になると考えています。
POINT3 脱炭素・サステナビリティ ー再生可能エネルギーを活用!需要家向け「エネルギーマネジメントシステム」ー

篠﨑:3つ目のポイントは、先ほどお伝えしたエネルギーマネジメントシステムについてです。これは需要家、すなわち電力を使う側が、電力をいかに効率的に使うかという取り組みです。サステナビリティの文脈でも注目されている領域ですし、電力使用の最適化によるコスト削減にもつながります。
エネルギーマネジメントシステムはソフトウェアによって実現しますが、場合によってはハードウェアが必要になることもあります。当社はハードウェアそのものを製造しているわけではありませんが、フランスの大手企業であるSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)と提携し、日本で初めてのSIパートナーとなりました。同社の製品を活用しながら、当社のITソフトウェアを組み合わせることで電力使用の最適化を実現しています。
エネルギーマネジメントは日本よりも欧米が先行しており、日本でも今後需要が大きく伸びていくと考えています。
増井:ここはおそらく成長分野としてこれから取り組んでいかれると思います。需要家をターゲットにするということですが、どのように顧客開拓を進めるご予定でしょうか?
篠﨑:これまで当社は電力会社向けにビジネスを展開してきたため、需要家向けの取り組みにはあまり力を入れていなかったのが実情です。そのため、現在はさまざまな企業とアライアンスを組み、共同で営業活動を行っています。特に、製造業やデータセンター事業者など、大口需要家をターゲットに共同で営業活動を行い、エネルギーマネジメントシステムの導入を支援しています。
これまでメーカーと行ってきた電力会社向けビジネスに加えて、アライアンス企業とタッグを組みながら、新しい領域で、新しいサービスを共創しています。
増井:アライアンスという手法が有効だということですね?
篠﨑:そのとおりです。自分たちが持っていないノウハウやビジネス要素をお互いに補完し合うことができます。アライアンスは、これからさらに重要になると考えています。
アドソル日進のあゆみ

篠﨑:次に、みなさまが注目しているAIに関する取り組みをご説明します。当社は、2019年頃から本格的にAIへの取り組みを進めてきました。2019年から、つくば市にある産業技術総合研究所(産総研)が進めるAIに関する研究活動に参画しています。
2022年には、社内にAI研究所を開設しました。AI研究所は、新しい技術を先取りし、それをどのようにビジネスへ展開するかを検討する研究開発拠点です。単なるコストセンターではなく、技術の実用化・活用に重点を置いて取り組んでおり、これまでに多くの成果を生み出してきました。
一例を挙げると、東京大学との共同研究では、宇宙衛星データをAIで分析し、その分析結果をビジネスへ応用しています。
また、当社は新しいサービスの創出に加え、AIの品質向上にも注力をしています。AIを活用する上で、「AIが出力した結果は本当に正しいのか?」という点に着目し、検証・品質確保に取り組むとともに、AI品質に関するコンサルティングも行っています。当社はIT企業として、AIの精度を、システムの品質に深く関わる重要な要素と捉え、重点的に取り組んでいます。
AIのアドソルへ

篠﨑:AIのビジネス状況については、お客さまから、AI関連システム開発の引き合いが非常に増えています。お客さまからの依頼に基づいてAIシステムの開発を進める一方で、社内でもAI活用を促進する体制づくりも進めています。
AIが広がり始めた当初から、「ChatGPT(チャットジーピーティー)」などの活用を進めてきましたが、当社独自の生成AI「AdsolChat(アドソルチャット)」も活用しています。「AdsolChat」は、約100名の社員がワーキンググループ活動を通じて作り上げたもので、社内のさまざまな業務で積極的に活用されています。
増井:最近よく聞かれると思いますが、「AIをシステム開発などで使うと、エンジニアは必要なくなってくるのではないか?」という懸念もある中で、御社は今後採用を抑制するご予定はありますか?
篠﨑:今春は新入社員が72名入社する予定です。昨年は約50名でしたので、採用人数は増やしています。
増井:増やしているのですね?
篠﨑:はい。これからも採用人数を増やしていく方針です。AIの普及に伴い採用を抑制する企業もあると聞きます。しかし、それは当社よりも規模が大きな企業、例えば数千人規模の大企業に当てはまる話であり、当社では人が担う領域がまだ多いと考えています。
AIの活用は進んでいますが、AIを導入しただけでその効果を最大限引き出せるわけではないと感じています。すべてのビジネスがAIで成り立つわけではありませんし、AIの導入により自動的に業務効率化が進むことはありません。AIの効果を最大限引き出すのは、やはり人です。人がいかにAIを活用できるかが重要です。
また、AIの品質を担保するのもやはり人です。したがって、お客さまへのコンサルティングや課題解決、さらには会社の成長につながる提案の場面において、AIを含めた価値提供を行うのは人だと考えています。 そのため、今後も新卒採用・キャリア採用のいずれも強化していく方針です。
増井:成長戦略には今後も人材が欠かせないということですね。
篠﨑:そのとおりです。
コンサルティング&エンジニアリングサービス 「+AIdea」

篠﨑:先ほどお話ししたとおり、当社はAIに非常に力を入れており、AI人材教育にも積極的に取り組んでいます。そうした取り組みの中で、当社社員が「+AIdea(プラスアイディア)」というAIサービスをつくり、昨年10月から提供を開始しました。
「+AIdea」は単なるAIサービスの提供ではなく、新しい付加価値を生みだし、プラスする、というコンセプトのもとで開発されました。「+AIdea」という名称やロゴも社員が考案しました。本日は、私も「+AIdea」のロゴが入ったTシャツを着ています。
増井:ロゴがすてきです。
篠﨑:このTシャツを着て、お客さまへの提案活動も強化していきます。「+AIdea」は非常に好評で、多くのお問い合わせをいただいています。
2026年3月期 第3四半期 業績ポイント(売上高)

篠﨑:最後に、累進・連続増配についてご説明します。まず、足元の業績からご説明しますが、2月5日に発表した2026年3月期第3四半期は、エネルギー(電力)が非常に好調に推移し、売上高は前年同期比11.2パーセント増の128億円となり、過去最高を更新しました。
2026年3月期 第3四半期 業績ポイント(営業利益)

篠﨑:営業利益も前年同期比30.6パーセント増の17億9,500万円と、大幅な増益を達成しました。売上高・営業利益ともに過去最高を更新しましたが、今後この成長をさらに加速させるためには、人材の採用が極めて重要だと考えています。また、採用した人材の育成・強化にも力を入れており、引き続き人材への投資は惜しむことなく進めていく方針です。
人材投資をしながら過去最高の営業利益を実現している背景には、社会インフラに特化したビジネスに集中している点があります。社会インフラに特化したIT企業は少なく、この独自のポジションが収益性の強化にもつながっています。
社会インフラ向けのシステム開発は、細やかな制御や高度な技術が求められる分野であり、その結果として利益率も大きく向上しています。当社が持つ技術やコンサルティングにより、お客さまからの信用・信頼もさらに高まっています。技術力をはじめ、人材を中心に積極的な成長投資を行っていることが収益率向上につながっています。
増井:コンサルティングとは、具体的にどのような場面で行っているのでしょうか?
篠﨑:さまざまなコンサルティング会社がありますが、いわゆるコンサルファームとは異なり、当社は社会インフラ領域に特化したITコンサルティングを行います。これまではお客さまが定義した要件に基づいてシステムを構築することが中心でしたが、現在はお客さまと一緒に、お客さまが将来目指すべき姿を描きながら、必要となるシステムをともに検討するスタイルへと進化しています。
また、システムは構築して終わりではありません。導入後には、運用、維持、保守といった工程が続き、実はこのフェーズこそ最もコストがかかります。そのため、当社はいかに効率良く運用し、コスト削減につなげられるかを重視し、提案していきます。
システム導入による効果や経営課題へのインパクトなども踏まえ、お客さまに総合的に説明しながら、お客さまと伴走してシステムを構築します。社会インフラに関わるさまざまなシステム開発で培ってきた50年の実績、テクニック、ノウハウがあるからこそ、そのようなコンサルティングができると考えています。
当社は、コンサルティングファームを目指しているわけではありません。社会インフラ領域に特化し、コンサルティングを行いながら、システム開発・保守・運用まで一気通貫で対応できる点が今後の強みとなると思います。
増井:上流の要件定義から始まり、システムを導入した際のライフタイムマネジメントまで、すべてをコンサルティングしているのですね。
篠﨑:おっしゃるとおりです。
増井:それがかなり利益率の向上につながっているのですね。
篠﨑:そのとおりです。コンサルティング案件は、さらに増やしていきたいと思っています。
2026年3月期 注力ポイント

篠﨑:今期の成長ポイントについてお話しします。中長期的な成長に向けて、次世代ビジネスモデルの確立を目指しています。現在、5つのポイントを挙げており、先ほどご説明した取り組みも含めて、これらをさらに強化していく予定です。
2026年3月期 業績予想

篠﨑:好調な事業環境を背景に、2026年3月期は3期連続の最高業績達成に向けて順調に進捗しています。
株主還元

篠﨑:当社は来月、創立50周年を迎えます。これを記念して、1株当たり5円の記念配当を実施する予定です。今期で16期連続増配達成する見込みですが、今後も配当性向50パーセント以上、DOE6パーセント以上、累進かつ連続増配(1円以上の増配)という方針のもと、中間・期末の年2回の配当を継続的に実施し、ビジネス成長に裏付けられた成果を株主へ還元していきます。
駆け足ではありましたが、本日は3つのポイントに絞ってご説明しました。安定成長を支える電力ビジネス、注目を集めるAI活用、そして累進かつ連続増配です。引き続き成長への積極的な投資を進めながら、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
質疑応答:DX需要が拡大すると予測している領域について
荒井:「電力以外の社会インフラ、すなわち公共、交通、防災などのうち、今後DX需要が拡大すると予測している領域があれば教えてください」というご質問です。
篠﨑:社会インフラ領域では、さまざまなデータを蓄積している企業が多く存在しますが、特に鉄道領域でそれらのデータを活用したDX、新たなサービス創出の動きに注目しています。
みなさまも電車や駅ナカの飲食店を利用されることがあると思いますが、鉄道領域では、人の流れ、人流データが蓄積されています。こうしたデータをビジネスで活用する動きが始まっており、当社にとっても大きなビジネスチャンスになると考えています。
質疑応答:既存領域と新規領域のバランスについて
荒井:「社会インフラ事業・電力領域の深耕と、新たな成長分野への展開のバランスは、どのように考えていますか?」というご質問です。
篠﨑:現在のビジネス領域については、これまで通り継続して対応します。ただし、それだけでは中長期的な成長は難しいと考えています。そこで、既存のビジネス領域で、新しい電力や鉄道、防災等のあり方をお客さまと共に考え、AIなどの先進技術を駆使して実現させていくことに取り組んでいきます。
また、ソフトウェアを開発するだけではなく、それを最大限活用するためのコンサルティング力をさらに高めることにも重点をおいています。IT企業という枠を超え、よりサービス業に近いビジネスモデルへの進化を目指しています。
質疑応答:成長率が高くなると想定している分野について
荒井:「既存の主力事業のうち、今後成長率が高くなると想定している分野はどこでしょうか?」というご質問です。
篠﨑:成長率では、サービス領域、特に決済分野に注目しています。当社が決済分野に強みを持つ背景は、決済アプリケーションそのものではなく、決済の基盤となるフレームワークを構築してきた点にあります。つまり、決済の基盤を支える仕組みを深く理解した上で、アプリケーションを提供することができます。
決済分野には、スマートフォン決済やクレジット決済に加え、電力会社や鉄道会社などが自ら提供する決済サービスなど、多様な領域があります。当社は、これまで培ってきた決済分野のノウハウと知見を活用し、これらの領域へもビジネスを展開できると考えています。
質疑応答:AI導入によるIT業界への影響について
増井:「『SaaSの死』という言葉に対するご意見をお聞かせください」というご質問です。
加えて、「Anthropic(アンソロピック)がリリースした新しいAI『Claude3.5(クロード3.5)』シリーズやその後のモデルにより、御社の売上が鈍化する可能性はありますか?」というご質問です。
篠﨑:この件については非常に話題になっていますし、IT業界への影響を懸念する声があがっていることは承知しています。しかし、現時点では、これが当社のビジネスや売上に影響を及ぼす可能性は低いと考えています。
その理由は、AIを導入しただけで急激に効率性が高まるわけではなく、最終的には人の活用が不可欠であると考えているためです。システムやソフトウェアの開発において、将来的にはAIが一定の割合を担う可能性は高いと思います。しかし、AIが生成した成果物の品質をどう担保するか、そしていかに効率的に実装するかといった部分では、人の判断とスキルが必要であり、そこにニーズがあると考えています。
質疑応答:スマートシティ構想に向けた取り組みについて

増井:「御社の売上の約半分はエネルギー分野ですが、中長期で目指しているポートフォリオを知りたいです」というご質問です。
篠﨑:中長期的には、現中期経営計画で掲げている、「スマートシティ」という大きな構想に向かって進んでいきたいと考えています。当社はIT企業であり、ビルや道路といったスマートシティそのものを建設することはできませんが、ITを通じて、新しいスマートシティのあり方に貢献したいと考えています。
当社が事業を展開している、エネルギー、交通、公共、通信、製造、サービス、エンタープライズ(医療)の7つの領域は、いずれもスマートシティの基盤として相互に連携していく分野です。これらをいかにITでつなぎ、最適に連携していけるかが重要になります。今後も大学や企業と協力しながら、スマートシティ構想、新しいまちづくりに取り組んでいきます。現在展開している事業はすべて、スマートシティという大きな構想につながっています。当社が掲げる「安全」「安心」「環境」の3つを軸に、新たな事業機会の創出に取り組んでいます。
質疑応答:売上構成比の変化について
増井:現在、エネルギー(電力・ガス)の売上構成比がやや高い状態ですが、将来的には少し下がる可能性はありますか?
篠﨑:エネルギー領域は引き続き成長を続けると思いますが、それ以上に他の領域が伸びていくと考えています。
増井:他のセクターが伸びていき、全体の規模が大きくなるイメージですね?
篠﨑:そのように考えています。
質疑応答:データセンタービジネスの現状と今後の展望について
増井:「データセンター増設による送配電インフラ案件は、すでに具体的な受注増として表れていますか? それとも中長期のテーマでしょうか?」というご質問です。
篠﨑:データセンターに関連するビジネスは、現在も進行しており、すでに複数のデータセンターで電力使用の効率化などに取り組んでいます。先ほどお伝えしたように、当社がアライアンスを組む企業と連携し、新たなデータセンター向けの提案活動も進めています。さらに、データセンターに限らず、製造工場などからもご相談をいただいており、今後需要が一段と拡大していくと見込んでいます。
ただし、ソフトウェアだけでは対応が難しい分野もあります。そのため、こうした分野に必要な製品を持つ企業、先ほどご紹介したフランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)をはじめとする企業と連携しながら提案活動に力を入れており、私も将来性を強く期待している領域です。
また、電力需要の増大に伴う、送配電インフラ関連案件についても、今後拡大していくものと考えています。現在は、送電線などハードウェア側の増設が先行して進められていますが、その後、当社が担うソフトウェア領域にも確実に広がっていく見込みです。
増井:今後も期待できるということですね。
篠﨑:そのとおりです。
篠﨑氏からのご挨拶
篠﨑:本日は誠にありがとうございました。当社は間もなく創立50周年を迎えますが、これまで成長を続けてこられたのは、ひとえにみなさまのご支援のおかげです。本日当社の軸として「安全」「安心」「環境」の3つを挙げましたが、これらを当社が持つ技術、ノウハウ、テクニック、ITの力で支えていきたいと考えています。
ITの世界にはまだ多くの課題が残されています。AIとの共存というテーマもありますが、重要なのは、AIと向き合い、どう活用していくのかだと考えています。
現在、当社の業績は非常に好調です。累進・連続増配についても今後も継続し、みなさまに還元していきたいと考えています。これからも当社へのご期待、ご支援を賜りますよう、よろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:株価が年初来高値となりましたが、現時点における市場の評価は適正とお考えでしょうか?
回答:株価については、市場における需給や投資家のみなさまの評価によって形成されるものと考えています。当社としては、中長期的な企業価値向上に向けた取り組みを着実に進めていくことで、引き続きみなさまのご期待にお応えしたいと考えています。
<質問2>
質問:株価がどこまで上昇した場合は分割を検討するなどの方針があれば教えてください。
回答:株式分割については、株価水準や市場環境、流動性の状況、株主構成などを総合的に勘案し、必要に応じて適宜検討していきます。
<質問3>
質問:記念増配だけでなく、記念品の贈呈などもあるのでしょうか?
回答:現時点で、記念増配以外に、記念品の贈呈などについて公表している内容はありません。いただいたご意見は今後の参考とさせていただきます。
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