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【QAあり】第一カッター興業、今期は公共および民間受注堅調で増収予想 営業利益・経常利益ともに増加見込み、増配を予定

投稿:2025/09/11 15:00

目次

安達昌史氏(以下、安達):みなさま、こんにちは。第一カッター興業株式会社代表取締役社長の安達です。本日はお忙しい中、決算説明会へご参加いただき、誠にありがとうございます。2025年6月期の決算についてご説明します。

本日は、スライドの項目に沿ってご説明します。

マネジメントサマリー

まず、2025年6月期決算の概略についてご説明します。当社グループ全体の業績は減収減益となりました。

減収の主な要因は、主力事業である切断・穿孔工事事業において、高速道路リニューアル工事の受注・施工が前期比で減少したためです。これがもっとも大きく影響しました。

加えて、前期第1四半期まで連結子会社であったムーバブルトレードネットワークスが連結から除外されたことにより、商品売上が今期から計上されなくなったことも、減収要因の1つとなっています。

減益については、切断・穿孔工事事業における売上減少に加え、一部の原価経費の増加も重なったことが要因です。

こうした業績の進捗を踏まえ、当社は6月16日付で2025年6月期の通期業績を下方修正しました。また8月14日に公表した2026年6月期の業績予想については、2025年6月期の実績を踏まえ、昨年12月に公表した中期経営計画で掲げた目標値を下回る数値としています。

高速道路リニューアル工事については昨年度並みの水準で推移する見通しですが、公共部門や民間部門が堅調に推移することが見込まれるため、営業損益ベースでは増収増益を見込んでいます。

株主還元について、2025年6月期は最終利益が減益となったものの、1株当たり配当を当初予想の38円から40円に増配したことで、配当性向は21.8パーセントから34パーセントに上昇しました。2026年6月期の配当性向も34.9パーセントを予定しており、安定的かつ持続的な株主還元を実施していきます。

I. 通期決算

通期決算実績についてご説明します。当社グループは、切断・穿孔工事事業を主力事業としており、今期も積極的な事業活動を行ってきました。しかしながら、切断・穿孔工事事業において高速道路リニューアル関連工事の減少が影響し、2025年6月期の連結グループ売上高は202億2,800万円となりました。

またこの減収に加え、一部の原価経費増加の影響もあり、営業利益は16億4,700万円となりました。

営業利益の減少および一部営業外収益の減少に伴い、経常利益は17億9,100万円、親会社株主に帰属する当期純利益は13億2,700万円となりました。

I. 四半期別業績推移(単期)

四半期別の業績推移についてご説明します。当社は従来、第1四半期および第4四半期に売上高と営業利益が低下する傾向がありました。しかし2024年6月期においては、高速道路リニューアル工事などの施行により、第1四半期の業績が年間を通じてもっとも好調に推移する結果となりました。

2025年6月期に関しては、主に高速道路リニューアル工事等の減少により、第4四半期の業績が低下しました。

I. セグメント状況

セグメント別の状況についてご説明します。切断・穿孔工事事業については、先ほどお伝えしたとおり、高速道路リニューアル関連工事が減少しています。しかし、高速道路以外の道路や橋梁を中心とする公共部門や、プラント施設の維持・補修といった民間部門の工事は堅調に推移しています。

ビルメンテナンス事業については、大手デベロッパー案件を確実に受注・施工したことにより、増収増益となっています。

リユース・リサイクル事業については、2024年6月期の第1四半期末時点で連結から除外し、2025年6月期においても報告セグメントから外しています。

I. 通期セグメント

各セグメントの状況は、スライドのとおりです。切断・穿孔工事事業では減収減益となっている一方、ビルメンテナンス事業では増収増益となっています。

スライドの表に示すとおり、切断・穿孔工事事業は当社グループの主力セグメントであり、業績全体に大きな影響を及ぼしています。

I. 通期増減分析

通期の売上高および利益の増減分析です。売上高はビルメンテナンス事業で増収となった一方で、切断・穿孔工事事業の売上減少、および連結除外に伴うリユース・リサイクル事業の売上減少により、前期比で減収となりました。

営業利益についても、切断・穿孔工事事業の売上減少に加え、一部原価経費の増加により、前期比で減益となりました。

I. 官民別売上高_切断・穿孔セグメント

官民別の売上高です。スライドのグラフのとおり、高速道路工事の売上が大きく減少しています。一方で、民間設備投資関連の工事は増加しています。

I. 今期の工事の施工実績-主な工事の紹介-

今期の主な工事施工実績についてご紹介します。スライド左側の写真は、床版補修のためのウォータージェットによる斫り工事の様子です。この工法は、劣化した床版コンクリートを効率的に除去し、補修箇所を整えることを目的としています。

画像中央の作業車は、ウォータージェットのホースを操作しています。ホースは大型のウォータージェット車両に接続されており、高圧の水流をコンクリートに噴射して斫り作業を行います。この高圧水流により、鉄筋を傷めることなくコンクリート部分だけを削り取ることが可能です。

スライド中央の写真は、建屋の解体に際し、ワイヤーソーを使用した切断工事の様子です。本工事では、高強度・大断面のコンクリート構造物に対して、高精度で周辺環境に最大限配慮した切断および撤去を行う必要がありました。そのため、低騒音・低振動・高精度で評判の高いワイヤーソー工法を採用しました。

画像のとおり、切断面は非常に滑らかであり、解体や切断の精度が高いことが示されています。分割後は削孔部にワイヤーを通し、クレーンで吊り上げて躯体を撤去します。

スライド右側の写真は、水道管布設工事の一環として、壁の開口や階段部分の一部をウォールソーで切断する工事の様子です。レールを設置し、ダイヤモンドブレード付きの機械をスライドさせながら切断を行っています。

この工法は、狭小な現場や既存建物を傷つけずに改修工事を進める際、必要な部分だけを正確に切断できることが特徴です。

I. 今期の工事の施工実績-主な工事の紹介-

物流倉庫での工事についてご説明します。スライド左側の写真は、物流倉庫の床面にある厚いコンクリートスラブにおいて、設備の設置や配管・配線を通すために開口工事を行っている様子です。この工事においては、先ほどと同様にウォールソーを使用して切断を行っています。

ウォールソーによる切断は他の部分にダメージを与えず、安全かつ確実に工事を進めることができ、品質と効率の両面を兼ね備えています。また切断された部分の撤去には、画像にある多点吊りのチェーンスリングを使用し、荷重のバランスを保ちながら安全に撤去を行います。

スライド右側の写真は、同じ物流倉庫で床面専用研磨機を使用して雨打たれ研磨施工を行っている様子です。雨打たれ研磨は、コンクリート表面の脆弱な部分を除去し、滑らかに整える工法です。

この作業により、物流倉庫などの床面に求められる平滑性、耐久性、安全性を確保します。このように、当社は建物の解体工事だけでなく、床面処理にも対応しています。

I. B/Sの状況

バランスシートの状況です。現金および預金が増加し、自己資本比率は前期末比で3.3ポイントほど上昇しているものの、全体の構成に大きな変化はありません。

II. 中期経営計画の検証(1/4)

中期経営計画の検証です。当社は2024年に「中期経営計画2027」を策定し、2025年から2027年までの3年間に向けた戦略を公表しています。

この戦略の骨子は、既存事業の優位性強化、既存事業の拡張、新規事業の開拓・拡張を目指す事業戦略と、それらを遂行するための人材育成・体制構築を目指す組織戦略で構成されています。

まず、「中期経営計画2027」の経営指標についてご説明します。初年度にあたる2025年6月期は、売上高・営業利益ともに計画を下回る結果となりました。売上高は210億円の計画に対し202億2,800万円、営業利益は25億円に対し16億4,700万円となり、いずれも未達です。

また8月に公表した2026年6月期の業績予想についても、当初の中期経営計画の数字を下回る見通しとしています。

もっとも、この乖離は主に高速道路リニューアル工事の減少や原価経費の増加といった外部環境要因の影響が大きく、中期的に掲げている方向性自体が変わったわけではありません。むしろ、この初年度の結果を踏まえて課題を明確化したことを契機に、事業戦略・組織戦略の双方で改善を加速していきます。

当社としては、2027年の目標達成に向けて取り組む姿勢に揺らぎはなく、今回の未達を軌道修正のための検証フェーズと捉えています。

II. 中期経営計画の検証(2/4)

次に、事業戦略の検証についてです。中期経営計画では「既存事業の優位性強化」として、「施工技術力の向上」と「施工供給体制の拡充」を掲げています。「施工技術力の向上」については後ほどご説明しますが、品質向上と工期短縮を両立する新工法の開発を推進しています。

「施工供給体制の拡充」については、各営業所を統括する部署を設置し、施工状況のスムーズな共有と施工班の円滑な融通を推進しました。

「既存事業の拡張」においては、営業と施工の両面で西日本エリアにおける人員増強を実施しました。

「新規事業の開拓・拡張」においては、レーザー工法における実用化フェーズに移行しています。これ以外の新領域についても、引き続き探索を進めていきます。

II. 中期経営計画の検証(2/4)

「既存事業の優位性強化」に関する取り組みです。当社は、流機エンジニアリングと共同で、ウォータージェット施工時に発生する濁水を現場内で自動的にろ過し、再利用できる「ウォータージェット濁水再生装置」を開発しました。

この装置は、最大毎時4立方メートルの濁水処理能力を有し、99.95パーセントという高い除去率を実現しています。これにより、使用済みの作業水を再び施工に循環利用でき、施工時に必要となる清水の使用量を大幅に削減することが可能となりました。再利用率は6割から7割程度に達する見込みです。

従来は、濁水を外部に搬出して処理する必要があり、その際のコストや環境負荷が課題となっていました。本装置を活用することで、処理費用を大幅に削減すると同時に、排水負荷の低減や規制への対応強化にもつながります。

すでに試験施工を実施して有効性を確認しており、今後はさらなる改良を加えたうえで、実際の現場に展開していく計画です。既存事業であるウォータージェット工法の競争力を高める取り組みの1つとして、今後の成長につなげていきます。

II. 中期経営計画の検証(2/4)

当社では、切断・穿孔工事における技術力をさらに高めるため、新たに無動力追従式切断工法「Quattro FX」を開発しました。

この工法は、老朽化した橋梁などの更新工事において、上部の床版を残したまま、桁との縁切りを高精度かつ安全に行えることが最大の特徴です。従来の工法では難しかった精度の確保や、作業時の安全性を改善することを目的としています。

切断機には特許取得済みの追従プーリーを搭載しており、不整形な構造物でも切断ラインの高さを一定に保ちながら施工が可能です。また、作業員が直接近づかずに遠隔カメラで操作できるため、安全性が大幅に向上しています。

さらに、集塵カバーの一体設計により粉塵の飛散を抑え、現場環境や周辺環境への負荷も軽減しました。これにより、工期の短縮、施工品質の安定、作業リスクの低減を同時に実現できる工法となっています。

「Quattro FX」は既存事業の競争優位性をさらに強化する技術として、今後、高速道路や橋梁リニューアル工事を中心に、幅広い現場での活用を想定しています。

II. 中期経営計画の検証(2/4)

「新規事業の開拓・拡張」の取り組みとして、レーザー塗膜除去装置「CoolLaser G19-6000」をご紹介します。

この装置は、当社が出資するトヨコーが開発したもので、インフラ構造物の下地処理における新たな可能性を持つ工法として、現在、導入・検証を進めています。

なお、トヨコーは本年、東証グロース市場に上場し、「CoolLaser」をはじめとする革新的な施工技術への社会的期待も高まっています。

従来、橋梁やトンネルなどの社会インフラの補修では、ブラストや高圧水を用いた工法が一般的でした。しかし、これらの工法には、粉塵の大量発生や産業廃棄物の処理負担、作業員への身体的な負荷、さらには母材への塩分や汚染物の残留といった課題がありました。

「CoolLaser」は、4.5キロワットの高出力レーザーを用いることで、塗膜や錆を非接触で高精度に除去します。この結果、粉塵や副生成物を大幅に削減し、作業環境の改善と環境負荷の低減に大きく貢献します。

さらに、塩分や油分の除去も可能であるため、再塗装時の密着性や耐久性を高める効果も期待されています。

また、レーザー施工は反力が少なく、作業員の負荷を軽減できるほか、可搬性や操作性に優れているため、従来は施工が難しかった狭隘部や複雑な構造物にも対応可能です。これにより、現場の生産性向上や安全性確保に寄与することが期待されています。

一方で、現段階では施工実績がまだ限られており、コスト面での優位性や事業としての収益性についても検証中です。今後は試験施工やデモを重ね、技術の最適化と採算性を見極めながら進めていく必要があります。

成長の柱の1つとして育つ可能性は十分にあると考えていますが、まだ探索的な取り組みの段階です。今後も慎重に検証を進めながら、社会インフラの維持・管理に革新をもたらす技術として育成していきます。

II. 中期経営計画の検証(3/4)

事業戦略を支える基盤となる、組織戦略についてご説明します。「中期経営計画2027」では、「『専門性』の伝承と進化」「『マネジメント』人材の育成・輩出」「『事業づくり』への挑戦機会」の3つを柱に取り組んでいます。

まず「『専門性』の伝承と進化」です。当社は、技術や経験の伝承、人材育成、研究開発やDXの推進を通じて、長期的に活躍できる人材基盤を整備しています。

その具体策として、人材が安心して働き続けられる環境を整えるためにベースアップを実施しました。またDXを推進する基盤としてERPシステムを導入し、現場で蓄積される知見やデータを全社的に共有・活用できる仕組みを整備しています。これにより、業務の効率化だけでなく、研究開発や施工技術の進化にもつながる環境を構築していきます。

「『マネジメント』人材の育成・輩出」についてです。マネジメント層の育成や適切な人材配置に取り組むとともに、グループ全体で「安全」「コンプライアンス」の強化に努めています。その一環として、関係会社管理部を設立し、グループ経営管理体制をより強化しました。

また「『事業づくり』への挑戦機会」については、新規領域に挑戦するため、組織体制を整え、事業づくりに取り組む人材を育成する仕組みを構築しています。その取り組みの一環として事業創造本部を新設し、新規事業開発を推進する体制を整えました。

このように、事業戦略の実行を支える人材と組織の基盤を着実に強化し、将来的な持続的成長につなげていきます。

II. 中期経営計画の検証(3/4)

「『専門性』の伝承と進化」に関わる人材採用、および処遇改善についてご説明します。スライドのグラフに示すとおり、当社の従業員数は年々着実に増加しており、とりわけ工事課(現場社員)は2020年6月期の323名から2025年6月期には401名に増加しています。全体では592名の体制となり、人材基盤は着実に拡大しています。

こうした採用拡大と並行して、当社は処遇改善にも継続的に取り組んでいます。昨年に続き、物価高に対応するため、3回目の基本給のベースアップを決定しました。2025年4月分の給与から、正社員には従来の定期昇給に加え、基本給に対して一律1万円を上乗せしています。また、パート・アルバイト・嘱託・契約社員についても同様に賃上げを実施しました。

この施策は、優秀なインフラエンジニアを育成・輩出するための基盤を整えるだけでなく、物価上昇局面でも安心して業務に取り組める環境を作る狙いがあります。さらに、経営が従業員の声を正面から受け止めていることの表れでもあります。

今後も働きやすさを高める取り組みを通じて、当社で働くことを希望する新たな仲間を増やしていきたいと考えています。

II. 中期経営計画の検証(4/4)

最後に、M&A戦略についてご説明します。中期経営計画では「既存事業の優位性強化」「既存事業の拡張」「新規事業の開拓・拡張」という事業戦略に沿ったM&Aを推進する方針です。

進捗について、まず「既存事業の優位性強化」に向けて、同業でシナジー創出が期待できる企業の調査を進めています。

「既存事業の拡張」においては、当社が担う施工工程の前後を補完できる企業との連携を検討し、実際に面談などのアプローチを行っています。現時点では具体的な案件化に至ってはいませんが、引き続き候補の検討を進めていきます。さらに、西日本における候補企業の探索も継続しています。

「新規事業の開拓・拡張」に向けては、レーザー工法の事業展開を加速させるべく、提携先となり得る企業を探索していきます。

このように、既存事業の進化と新規領域の育成を両立させるM&Aを通じて、当社の持続的な成長を支える体制を強化していきます。

III. 通期業績予想サマリー(連結)

2026年6月期の通期業績予想です。通期予想の各種数値については、スライドのとおりです。

III. 通期業績予想サマリー

2026年6月期の業績については、公共および民間部門の受注が順調に推移すると見込まれるため、増収を予想しています。利益動向については、売上の増加に伴い営業利益および経常利益は増益を見込んでいるものの、特別利益の減少が予想されるため、親会社株式に帰属する当期純利益は減益になると想定しています。

投資については、中期経営計画の概要説明でも触れたとおり、人への投資を積極的に続けることはもちろん、これまで以上に研究開発や事業領域拡張に向けた施策を進めていきたいと考えています。

また、これまで多くの投資家さまからいただいた声に真摯に向き合い、高水準の配当性向実現にも配慮していきます。

III. 株主還元の方針と配当予想

投資家のみなさまへの還元方針です。当社は過去3年間にわたり配当性向の引き上げを実施しており、2026年6月期の予想配当性向は34.9パーセントとなる予定です。

中期経営計画のご説明の際にもお伝えしましたとおり、今後も安定配当を最優先に考慮しながら、配当水準を検討していく所存です。

以上で、2025年6月期の決算報告に関するご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:高速道路リニューアル工事の減少要因について

司会者:「高速道路リニューアル工事は、上半期までは堅調だったはずだが、下半期に入って突然御社の売上が落ちたのはなぜだったのでしょうか? 御社側に固有の理由があったことによるものなのでしょうか? 施工上のミスなどはありませんでしたか? それとも、また何か別の要因があったのでしょうか?」というご質問です。

安達:高速道路リニューアル工事の減少については、当社の施工ミスなどの理由によるものではありません。ご安心ください。

主な要因としては、発注者側により近年の高速道路リニューアル工事全体の予算や規模感、工事の内容・仕様を含めた見直しが行われています。これに伴い、優先順位の高い工事が先に発注される状況となり、その影響で一部の工事にブレーキがかかっていると考えています。

したがって、当社側で施工ミスや事故があったわけではなく、市場全体で発注量が見直され、規模感も調整されて小さくなっていることが要因と考えています。

質疑応答:PBRが1倍を下回る状況について

司会者:「長らくPBRが1倍を下回る状況が続いています。この状況について社長はどのように認識しているか、お考えをお聞かせください」というご質問です。

安達:PBRが1倍を下回る状況が続いている点については、私自身も含めた経営陣にとって大きな課題であると捉えています。

株主や投資家のみなさまに対して十分な説明が行き届いておらず、当社の魅力を伝えきれていないことを真摯に受け止めています。その上で十分に情報を開示し、より魅力的な部分を伝えられる体制を整える必要があると、強く認識しています。

質疑応答:資本効率の改善策について

司会者:「業績が前期よりも低迷した一方で、キャッシュリッチな状況は変わらず、自己資本比率もより高まってきている状況にあるようです。この状況に関して社長のお考えを教えてください」というご質問です。 

安達:こちらについては今年に始まった話ではなく、以前から同様のご意見を何度かいただいており、私自身も認識しています。

やはり余剰資金が積み上がることは、資本効率の悪化につながることを十分承知しています。そのため、積極的な投資や株主還元などを通じて資本効率の改善を図る必要があると理解しています。

質疑応答:下水道の維持・補修の国家予算化の影響について

司会者:「先日、下水道関係の維持・補修について国の予算がついたとの新聞報道がありました。御社において下水道の補修に関する引き合いは増えていますか? また将来的には業績にどの程度影響を及ぼすか見通しを教えてください」というご質問です。

安達:今ご質問の中で「下水道」という言葉が出ましたが、確かに下水道に関してはいろいろと報道されていた部分もあり、注目度が高いところかと思います。それに限らず、ライフラインとして水道管や下水道管、さらにガス管など、耐用年数を超過している埋設物に対して、当社の持つ「道路を切る」という切断技術の必要性は高まっています。

道路を切断して調査を行う段階からお引き合いをいただくものもあり、実際に現在埋設されている管を回収する作業に携わる機会も増えてきています。

今後この需要がどの程度増加するかについては、国や各自治体が優先順位を設定しながら予算化していくものと認識しています。しかし切断に関する需要については、今後も多くのお引き合いをいただけると考えています。

質疑応答:高速道路リニューアル工事の発注量と今後の動向について

司会者:「高速道路リニューアル工事の今期の見込みはいかがでしょうか? 2025年6月期と同様、不振でしょうか?」というご質問です。

安達:不振という点については、2025年6月期とほぼ同じ発注量で推移しており、現在受託している案件と比べても、同水準で動いていくと考えています。

ただし今後の引き合いについては、予算の兼ね合いで仕様や規模感を見直している状況があり、今後一部の工事が動き出す見込みはあるものの、今期についてはやや鈍ると見込んでいます。現時点では、2025年6月期と同水準の工事量を確保できている状況です。

質疑応答:原価経費の増加要因について

司会者:「決算資料のご説明で、今期の利益が低迷した理由として原価経費の増加を挙げていらっしゃいました。具体的にどのような経費が増加したのか教えてください」というご質問です。 

安達:当社は、営業所とグループ会社も含めて全国に展開していますが、各営業所や拠点が所在するエリアに限らず、お引き合いをいただければ出張して工事を行っています。その中には工期が長期にわたるものもあれば短期間のものもあり、そのための旅費や出張に関わる費用が顕著に増加していると考えています。

また自社だけではなく、パートナーである協力会社と連携して業務を進めているため、外注先や協力会社にお支払いする原価も増加しています。

またネガティブな要因ではありませんが、ベースアップなども要因の1つとして考えています。

質疑応答:M&Aの進捗状況について

司会者:「M&Aについてです。先ほどの資料とご説明では、あまり進展していないようにも聞こえましたが、もう少し実情を教えていただけますか?」というご質問です。

安達:ご指摘いただいたように、今のところ大きく進展している案件や進捗について具体的にお示しできるものはありません。ただし案件数自体は相当数いただいています。

その中には、既存事業とのシナジーやエリアでの優位性を活かした展開が可能なもの、また新規領域での取り組みについてお声がけいただいている会社もあります。これらの案件が、当社や当社グループとしてどれだけのシナジーを生み出せるかを慎重に検討しています。

現時点でお示しできる部分がなく、進捗が見えにくいというのはご指摘のとおりであり、その認識は私も持っています。ただし慎重に検討を進めている状況ですので、ご報告できるタイミングがありましたら、速やかにご報告します。

質疑応答:採用活動が順調な理由について

司会者:「建設作業員の確保が困難な中、御社の現場社員の採用が順調である理由についてご説明いただけますか?」というご質問です。 

安達:人事部では通年を通して採用活動にしっかりと向き合っています。新卒採用・中途採用それぞれに専門の人材を人事課に配置しており、グループ全体を含めて日々、全国で説明会や採用面接を開催しています。

また、当社の福利厚生や教育制度が整っていることも要因の1つと考えています。さらに入社後のミスマッチを防ぐため、教育制度の充実・拡充にも力を入れて取り組んでいます。

かつては、先輩社員が現場で背中を見せて教えることが主流でしたが、現在は、教える側も「どのようにコミュニケーションをとり、どのように育てていくか」を考え、スピード感を持って取り組み、一人前にして現場に送り出す姿勢を重視しています。このように、教える側と教えられる側の思いが一致してきていることも、1つの要因になっていると考えています。

質疑応答:配当性向の上昇について

司会者:「最終利益が減少したことにより、配当性向は結果的に大幅に上昇しています。御社としては配当性向をさらに高めていくお考えはあるのでしょうか?」というご質問です。

安達:おっしゃるとおり、今期は最終利益が減少したことにより、配当性向が上昇したことが大きな要因だと思います。

しかしながら最終利益にかかわらず、配当性向を30パーセント以上で維持するという水準については、確固たる考えを持っています。

質疑応答:西日本エリアにおける売上について

司会者:「西日本エリアの強化については、従前より中期経営計画や説明会などで触れられていらっしゃいます。2025年6月期の西日本エリアでの売上はどのくらいでしたでしょうか? 差し支えがない範囲で具体的な数字を教えていただけたらありがたいです」というご質問です。 

安達:西日本においては、大阪、島根、松山の営業所3拠点で展開を図っています。その中で、2025年6月期の西日本エリア合算の売上は10億円程度となっています。

質疑応答:自己株式取得について

司会者:「自己株式取得は検討していますか?」というご質問です。 

安達:現時点では、実施に向けて具体的に検討を進めている状況ではありませんが、中期経営計画の中で少し触れているとおり、株主還元という1つの選択肢として捉えています。

質疑応答:中期経営計画の最終年度目標について

司会者:「今回の決算短信上の2026年6月期業績予想は、中期経営計画で掲げた数値が未達ということになっていますが、中期経営計画の最終年度である2027年6月度の数値は達成できるとお考えですか?」というご質問です。

安達:ご指摘のとおり、2026年6月期の業績予想は中期経営計画の数字を下回っています。説明でもお伝えしましたが、2025年6月期の実績を踏まえ、現在の高速道路リニューアル工事の進捗状況や、その他の公共・民間セクターの動向を考慮しつつ、2026年6月期の計画を策定しています。 

一方、中期経営計画の最終年度である2027年6月期の数値目標については変更せず、確実に達成を目指して進めていきたいと考えています。

配信元: ログミーファイナンス

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