～ブロック据付作業の無人化技術の確立を目指した取り組み～

　東洋建設株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役 会長執行役員CEO：吉田真也）は、ワイヤーによる玉掛け・玉外しを必要とせずクレーン操作のみで消波ブロック据付作業を行えるブロック把持装置「Atlas Bucket（アトラスバケット）」※1を開発しました。

水中から天端までクレーン操作のみで据付可能
船上の作業員による玉掛けや水中の潜水士による玉外しが不要に
　Atlas Bucketは、起重機船のクレーンワイヤーによる操作のみでバケットシェルを開閉する機械式機構を採用しています。バケットシェルは、2本のノーマルシェルと1本の二股シェルから構成され、合計4本の把持爪により消波ブロックを確実に掴むことができます。この構造により、ワイヤーによる標準的な消波ブロックの玉掛け方法である「斜め吊り※2」の姿勢での確実な把持が可能です。また、二股シェルに付属の傾倒アタッチメントを利用すると、掴んだブロックの重心が自動でズレて反転するので、「チョウチョ吊り※3」の姿勢での把持も可能です。「チョウチョ吊り」は、消波ブロックの多層積みにおいて天端面の据付で用いられる玉掛け方法の１つです。これらの機能により、水中から天端までの全ての据付作業において、船上の作業員による玉掛けや水中の潜水士による玉外しを不要にし、クレーン操作のみで据付が可能となります。

陸上の実証実験では作業効率が30％以上向上（設計基準比）することを確認
　今回、陸上の実証実験では、Atlas Bucketの使用により、ワイヤーによる玉掛け・玉外しを行わずに安全に消波ブロックの据付を行えることが確認されました。実験では、ブロックの落下や破損も無く、従来の玉掛け・玉外しを伴う据付作業に比べて作業効率が30％以上向上（設計基準比）することを確認し、装置の効果が実証されました。

水中作業を可視化するシステムの併用で潜水士の指示を省力化
オペレータは水中のブロック据付状況を自ら把握しながら据付操作が可能に
　当社では、これまで無人化技術の確立に向けて水中作業を可視化するシステムも開発しています。このシステムは、起重機船のGNSSとクレーンデータのほか、水中ソナーの計測データを用いて水中の据付作業状況をデジタルツインでモニタ上に再現します。このシステムとAtlas Backetの併用により、潜水士の指示を省力化し、オペレータが自ら水中の消波ブロック据付状況を把握しながら、据付操作を行うことが可能になります。

　今後もこれらの技術を活用しながら改良や新規開発を進め、全てのブロック据付作業で無人化技術の確立を目指すとともに、国土交通省が掲げる建設現場のオートメーション化に向けた「i-Construction2.0」の実現に取り組んでまいります。

※1：本技術は特許出願中です（特願2023-069571）。
※2：ワイヤー1本で消波ブロックを水平に近い姿勢で吊り上げる、標準的な玉掛け方法。消波ブロックの脚部や胴体部にワイヤーの大廻しを行い、頭部付近でワイヤーを絞り込んで保持しながら吊り上げる。
※3：ワイヤー2本で消波ブロックを逆さまにして吊り上げる、天端面の据付で用いられる玉掛け方法の１つ。消波ブロックの2本の脚部それぞれにワイヤーの大廻しを行い、ブロックの頭部を反転させながら吊り上げる。


Atlas Bucketの把持状況



Atlas Bucketの実証実験状況



Atlas Bucketと水中作業を可視化するシステムを併用した据付状況（参考）