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*09:37JST アツギ:ASEAN生産シフトでコスト競争力を強化、今期は黒字転換へ
アツギ<3529>は、ストッキング・タイツなどのレッグウェアを主力とする繊維メーカーであり、企画・開発から製造・物流・販売まで一貫したバリューチェーンを持つ。主要子会社にレッグウェア・インナーウェア製造のレナウンインクス、中国生産子会社、国内物流子会社、介護用品販売・グループホーム運営会社など計8社を有する。繊維事業に加えて不動産、介護、太陽光発電の売電など多様な事業を展開しており、繊維市況に左右されないストック収益としてグループ収益を下支えしている。
同社の事業は「繊維」「不動産」「その他」に区分され、このうち繊維事業が売上の94%を占める。レッグウェアではNB(自社ブランド)に加え、小売向けPB(プライベートブランド)の供給を行い、価格帯別に広い顧客層をカバーする。インナーウェアはキャラクターライセンスの強化やOEM取引の拡大が牽引しており、D2C(自社EC)売上は数年で2、3億円規模から8億円規模に成長した。不動産事業は旧工場等の賃貸が中心で、利益率が高く安定収益を生み出す。
2026年3月期第2四半期(累計)の連結業績は、売上高101.7億円(前年同期比1.4%減)、営業損失3.5億円(前年同期は4.5億円の損失)、減収ながら損失幅は縮小した。主力の繊維事業は売上9.50億円(同2.3%減)と伸び悩んだが、特にストッキングは物価高による節約志向、パンツスタイルの一般化、カジュアル化といった構造的逆風が続いており、レッグウェア単独では市場縮小の影響が大きい。対照的にインナーウェアは売上46.4億円(同4.8%増)と堅調で、D2C・OEM拡大が採算改善に寄与した。非繊維セグメントは、不動産が売上3.54億円(同26.7%増)、営業利益2.78億円(同30%増)と高収益を維持している。
今期の通期見通しは、売上高230.0億円(前期比5.1%増)、営業利益1.0億円の黒字転換と、構造改革の効果を前提に増収・黒字化を計画する。上期時点で売上進捗率44%、利益は赤字だが、同社は「秋冬商戦の寄与が大きい3Q・4Qで取り戻す」としており、気温の早期低下や価格改定の浸透、PB商品の見直しが追い風となる。利益面では、原材料・物流費・人件費の高止まりが続く一方、生産のASEANシフトや自動化投資による原価低減が中計の中核施策となっており、今後2~3年で利益押し上げ効果が顕在化する見通しだ。
同社はストッキング分野での高いブランド認知と国内生産技術を強みに一定の地位を維持する。一方で市場縮小は不可避であり、高付加価値商品の比率拡大、インナーウェア・D2Cの育成による安定収益確保が差別化のポイントとなる。特に同社は製造から物流までの一貫体制をグループ内に保持しており、供給安定性と品質管理で優位性を持つ。また、自己資本比率79%と業界でも屈指の財務基盤を有し、今後の設備投資やDX投資の余力が大きい。
中期経営計画(2025-2027年度)では、2028年3月期に売上高273.0億円、営業利益10.0億円を掲げる。成長戦略の柱は「レッグウェア・インナーウェアの高付加価値化」、「生産体制の再構築と原価低減」、「D2C・EC拡大」、「ヘルスケア・メディカル分野への参入」の4点だ。特に生産再編では3年間で21億円の設備投資を行い、そのうち14億円を自動化に充てる。中国比で人件費が約3分の1とされるASEANシフトは、中長期的なコスト競争力強化の要となる。ヘルスケア分野では、2023年に一般医療機器製造販売業の許可を取得し、医療分野への展開を見据えた高付加価値商品の開発を進めている。既存のレッグウェア・インナーウェアに次ぐ新たな収益源として成長余地が期待される。
株主還元については、収益悪化を受け2021年3月期以降は無配としている。現状は構造改革を優先し、復配は黒字化と再成長の見通しが確実になった段階で検討するとしている。株主優待は自社ECの割引で、ファン株主の育成を目的とした実務的な内容となっている。
総じて同社は、レッグウェア市場の縮小という構造的課題に直面しつつも、インナーウェア・D2C・不動産・介護など複数の収益源を組み合わせる「ポートフォリオ経営」で安定成長を図っている。財務基盤は極めて強固であり、中計による自動化・ASEANシフトが進めば、2027年度の「営業利益10億円」という収益ブレークポイント到達に現実味が出てくる。短期的には黒字転換の確度と秋冬商戦の結果が焦点となるが、中長期では高付加価値領域とヘルスケア分野が成長ドライバーとして注目される。
<NH>
同社の事業は「繊維」「不動産」「その他」に区分され、このうち繊維事業が売上の94%を占める。レッグウェアではNB(自社ブランド)に加え、小売向けPB(プライベートブランド)の供給を行い、価格帯別に広い顧客層をカバーする。インナーウェアはキャラクターライセンスの強化やOEM取引の拡大が牽引しており、D2C(自社EC)売上は数年で2、3億円規模から8億円規模に成長した。不動産事業は旧工場等の賃貸が中心で、利益率が高く安定収益を生み出す。
2026年3月期第2四半期(累計)の連結業績は、売上高101.7億円(前年同期比1.4%減)、営業損失3.5億円(前年同期は4.5億円の損失)、減収ながら損失幅は縮小した。主力の繊維事業は売上9.50億円(同2.3%減)と伸び悩んだが、特にストッキングは物価高による節約志向、パンツスタイルの一般化、カジュアル化といった構造的逆風が続いており、レッグウェア単独では市場縮小の影響が大きい。対照的にインナーウェアは売上46.4億円(同4.8%増)と堅調で、D2C・OEM拡大が採算改善に寄与した。非繊維セグメントは、不動産が売上3.54億円(同26.7%増)、営業利益2.78億円(同30%増)と高収益を維持している。
今期の通期見通しは、売上高230.0億円(前期比5.1%増)、営業利益1.0億円の黒字転換と、構造改革の効果を前提に増収・黒字化を計画する。上期時点で売上進捗率44%、利益は赤字だが、同社は「秋冬商戦の寄与が大きい3Q・4Qで取り戻す」としており、気温の早期低下や価格改定の浸透、PB商品の見直しが追い風となる。利益面では、原材料・物流費・人件費の高止まりが続く一方、生産のASEANシフトや自動化投資による原価低減が中計の中核施策となっており、今後2~3年で利益押し上げ効果が顕在化する見通しだ。
同社はストッキング分野での高いブランド認知と国内生産技術を強みに一定の地位を維持する。一方で市場縮小は不可避であり、高付加価値商品の比率拡大、インナーウェア・D2Cの育成による安定収益確保が差別化のポイントとなる。特に同社は製造から物流までの一貫体制をグループ内に保持しており、供給安定性と品質管理で優位性を持つ。また、自己資本比率79%と業界でも屈指の財務基盤を有し、今後の設備投資やDX投資の余力が大きい。
中期経営計画(2025-2027年度)では、2028年3月期に売上高273.0億円、営業利益10.0億円を掲げる。成長戦略の柱は「レッグウェア・インナーウェアの高付加価値化」、「生産体制の再構築と原価低減」、「D2C・EC拡大」、「ヘルスケア・メディカル分野への参入」の4点だ。特に生産再編では3年間で21億円の設備投資を行い、そのうち14億円を自動化に充てる。中国比で人件費が約3分の1とされるASEANシフトは、中長期的なコスト競争力強化の要となる。ヘルスケア分野では、2023年に一般医療機器製造販売業の許可を取得し、医療分野への展開を見据えた高付加価値商品の開発を進めている。既存のレッグウェア・インナーウェアに次ぐ新たな収益源として成長余地が期待される。
株主還元については、収益悪化を受け2021年3月期以降は無配としている。現状は構造改革を優先し、復配は黒字化と再成長の見通しが確実になった段階で検討するとしている。株主優待は自社ECの割引で、ファン株主の育成を目的とした実務的な内容となっている。
総じて同社は、レッグウェア市場の縮小という構造的課題に直面しつつも、インナーウェア・D2C・不動産・介護など複数の収益源を組み合わせる「ポートフォリオ経営」で安定成長を図っている。財務基盤は極めて強固であり、中計による自動化・ASEANシフトが進めば、2027年度の「営業利益10億円」という収益ブレークポイント到達に現実味が出てくる。短期的には黒字転換の確度と秋冬商戦の結果が焦点となるが、中長期では高付加価値領域とヘルスケア分野が成長ドライバーとして注目される。
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