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【QAあり】ピーバンドットコム、通期売上高は前期比+8.2%の増収 高ポテンシャルな中堅・大手顧客のクロスセル利用が増加

投稿:2025/05/29 17:00

目次

後藤康進氏(以下、後藤):株式会社ピーバンドットコム代表取締役社長の後藤です。よろしくお願いします。

本日は資料に沿って、2025年3月期の通期決算概要と今後の成長戦略について、そして株主還元についてご説明します。

2025年3月期 通期 損益計算書

通期の決算です。まず売上高は前年同期比8.2パーセント増となりました。当社は上場して以来、成長が横ばいで続いていたことを指摘されてきましたが、2022年度より準備してきた戦略が確実に効き始めており、このまま成長軌道へ乗せていきたいと思っています。

2025年3月期 通期 損益計算書

当期純利益においても前年同期比20.6パーセント増と、こちらもV字回復しています。

サービス別売上推移

売上高の成長要因としては、2022年度から進めていた戦略が奏功しました。具体的にはクロスセルが効いているということです。中でも中堅・大手といったポテンシャルの高いお客さまからのクロスセルでの利用が増えています。

前提として、我々はプリント基板のEC事業を展開している企業であり、いわゆるプリント基板をお作りする製造サービスがメインになります。

その工程の前後にある、基板を製造するための設計や作った基板に部品を実装するサービスといった、付帯サービスと一括でのご利用が増えている状況です。

メインサービス

「そもそもプリント基板とは何?」と、よく投資家のみなさまからも聞かれますが、スライド右上の図がいわゆるプリント基板です。テレビやパソコンなどを分解すると出てくる緑色の板です。これを見て思い出した方もいると思います。

このプリント基板は世の中のほとんどの電子機器の中に含まれており、パソコンやカメラ、お手持ちのスマートフォンにも必ず入っているものです。聞きなじみがないものですが、日々身近に触れているものにプリント基板が使われています。

当期純利益の要因

当期純利益の増加要因です。売上のトップラインを成長させるには、費用としていろいろな先行投資を進めていく必要があります。我々の投資としては、仕組み作りに必要な人員採用、特にSE(システムエンジニア)などの採用が主になります。

近年ではそのSEへの成長投資がかさんで利益を圧迫していましたが、仕組み作りの戦略が効いてきたことでトップラインが伸びています。それが利益回復の大きな要因となっています。

当社は少人数で会社を運営しており、これが我々の強みでもあります。少人数でサービス提供からサービスの仕組みまで自社開発しており、今後の方針としても、成長とのバランスを見ながら少数精鋭での採算性の向上を目指していきたいと考えています。

通期業績サマリ

通期業績サマリです。売上高は21億8,000万円で前年同期比8.2パーセント成長となりました。当期純利益も前年同期比20.6パーセント増の1億1,200万円となっています。

先ほどご説明したとおり、前年までSEへの人材投資がかさんでいたところが、トップラインが着実に伸びたことにより、利益もきちんと伸びたというシンプルな構造です。

トピック

トピックについてご説明します。1つ目がコアスタッフ社との業務提携と、新しい部品調達サービスを開始しました。 

プリント基板の上には半導体や電子部品が必ず実装されるわけですが、その電子部品をネット通販で展開している企業が何社かあります。そのうちの1社であるコアスタッフ社と業務提携を発表しました。彼らとの提携により、我々のサイト上でも半導体や電子部品を買えるようになります。

トピック

2つ目のトピックは、三井物産と北米市場向け基板ECを新規開設しました。三井物産の100パーセント子会社である米国法人のMitsui Plastics(MPI)社と共同で、「PCB Flash」という北米向けのプリント基板通販サイトをリリースしています。

日本の5倍くらいはある、305億ドル規模の北米市場に向け、我々がどれほどの市場シェアを獲得していけるか挑戦しようと思っています。

我々は国内で培った品質管理と製造ノウハウ、Web上で完結するオーダーシステムを作ってきたという自負があります。その強みがどれだけ武器として寄与できるか、我々としても非常にわくわくしています。

トピック

3つ目のトピックは、世界最大級のセラミックスメーカーである日本ガイシ社の超小型・薄型のリチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」と、当社のデモ機開発サービス「gene(ジーン)」とのコラボレーションです。

新しいセンサが世の中にリリースされた時やエンジニアが製品開発する際には、いろいろな部品に対応できるかを評価する必要があります。その評価というのが開発環境においてかなり面倒で工数がかかるため、ある意味でハードルとなっていた部分があります。

それを手軽に試せる環境を提供するのが当社の「gene」というサービスです。その中に今回、日本ガイシ社の「EnerCera」がコラボレーションしたという展開になっています。

これにより、本物の機能をそのまま再現したデモ機を作ることが可能になりました。例えば、展示会などでメーカーがブースで紹介するために使用するといった用途があります。

トピック

4つ目のトピックは、マレーシア科学大学と共同で、AI設計アシスト技術の開発を開始しました。プリント基板を作るためのデータであるガーバーデータと呼ばれるものがあり、実際に基板を製造する前に、実際に作れるかについてデータをチェックします。

その時にソフトウェア上だけではなく、どうしても人の目でチェックする必要がある部分があります。これを今我々のCS(カスタマーサポートセンター)では、お客さまの注文をすべて1件1件確認しています。

これにはかなりリソースが割かれますが、このチェックが我々の強みでもあります。そこでそのノウハウをAIにすべて機械学習させて、チェック作業をアシストするソフトウェアを開発するというのが、マレーシア科学大学との取り組みになります。

最終的にはチェックするだけでなく、プリント基板設計自体の完全自動化を目指していきたいと思っています。

田坂正樹氏(以下、田坂):補足として、マレーシア科学大学との取り組みの背景について私からご説明します。

15年ほど前に、現在マレーシア科学大学の教授となっている学生が、東京工業大学に国費留学生として来日しており、その時に当社にアルバイトに来ていました。

当時から彼はすばらしいプログラムが書けたため、当社のホームページやデータベースなどをすべて手掛けてくれました。今でいうマーケティングのようなことをしてくれました。

3年間ぐらいアルバイトとして働いた後にマレーシア科学大学に戻り、その後は教授になっていました。最近連絡をもらったところ、彼は当社の仕事と同じようなことをマレーシアで手掛けていました。彼のメインは半導体のAI設計ですが、半導体のAI設計もプリント基板の設計も一緒です。

当社にはこれまで約22年間にわたり貯めてきた設計データのアーカイブがあり、「それを使えばこんなソフトウェアができますよ」と言われたのをきっかけに、この共同開発が始まりました。

それこそ国内の大学といろいろやろうとしていたのですが、そのような機会もあって、マレーシア科学大学との共同研究開発というかたちで今、進めています。

質疑応答:サービス展開の詳細について

司会者:「基板のアートワーク設計、部品実装(部品調達含む)まで一気通貫して可能ということでしょうか?」というご質問が届いています。

後藤:基板の(AIによる)アートワーク設計、基板製造、部品実装、部品調達まで含めて、一貫して対応可能です。先ほどもお話ししたとおり、我々のようなeコマース型のサービスは何社か競合が存在しますが、基板設計から部品実装まですべてワンストップで対応できるのは、世界でも我々のサイトだけです。これは本当に大きな強みだと考えています。競合他社でも、AIを活用して基板設計から対応しているところは他にありません。

経営体制

今後の成長戦略についてご説明します。当社では私、後藤がプリント基板にまつわる既存事業を、AIやM&Aなどの新規事業の展開については取締役会長ファウンダーの田坂が担うという「両利きの経営」を実践しています。

田坂:M&Aについては、当社は上場来、出資はあるもののM&Aによる100パーセント子会社化はまだ実施していません。東証基準が厳しく見直されている中で、今までは持たざる経営をしっかりと守ってきましたが、今後は基本的にゼロベースで、他社よりも当社のサービスの優位性を高めていくものであれば、積極的にM&Aしていくことを考えています。毎週会議を行って、さまざまな会社を検討しているところです。

株主還元(増配の実施)

株主還元についてご説明します。株主価値の最大化は、当社の経営の最重要課題と位置づけていますので、株主還元にも積極的に取り組んでいきます。

前年度は、おかげさまで利益が20.6パーセント増加しました。その結果、配当金は1株あたり10円に増配しています。

今後の展開としては、基本的にはROEを高めていくことが、株主価値の向上につながると考えています。まずは当たり前ですが、中期経営計画をしっかりと実現し、収益の継続的な拡大を進めていきます。さらに、利益率10パーセントを達成していきます。

さらに、上場企業として、先ほど田坂が「両利きの経営」を進めているとお話ししましたが、M&Aにも積極的に挑戦していきたいと考えています。

質疑応答:来期以降の成長率について

司会者:「来期以降も同水準の成長率を維持できそうでしょうか?」というご質問です。

後藤:来期の業績予想については、こちらのスライドでご説明しています。

2025年3月期の実績は21億8,000万円で、前年同期比で8.2パーセントの成長でした。2026年3月期の予想は売上高24億円、前年同期比で9.2パーセントの成長、利益面においても10.1パーセントの成長を計画として掲げています。

質疑応答:サービスとクロスセルの効果について

司会者:「具体的にはどのようなサービスに、どのようなクロスセルが効いていますか?」というご質問です。

後藤:成長戦略を3つ掲げているスライドが一番わかりやすいかと思います。現在、大きく3つの戦略を遂行しています。

戦略1は、プリント基板の事業シェアを引き続き拡大していくことです。国内では、中堅・大手の企業から流入していますが、引き続き「仕組み×人」を営業で取っていきたいと考えています。海外では、北米に展開を始めています。

戦略2のクロスセルの拡大については、やはりプリント基板には必ず電子部品が実装されますので、電子部品調達のサービスを開始していきます。コアスタッフ社との提携もこちらに含まれます。

司会者:スライド中央の「GUGENHub(グゲンハブ)」というのは、どのようなサービスなのでしょうか? 

後藤:ものづくりにおいて具現化する際、さまざまな部材が必要となります。電子部品やハーネス、ケースなどの部材の調達が当社のサイト上でできるようになります。

さらに、エンジニア、いわゆるユーザーのみなさまが持っている設計図や製造データなどの資産管理、製品開発のプロジェクト管理までを機能として備えていき、サイト上でものづくりを管理できるようなサービスを立ち上げています。ハード面とソフト面をつなぐハブとなるような将来ビジョンを掲げています。

司会者:スライド右側の「S-GOK(スゴック)」はどのようなサービスなのでしょうか?

後藤:これはクロスセルの最大化です。ものづくりにおいて、最初のアイデア段階から寄り添い、最終的な製品作りまで、お客さまからのお引き合いがあればすべて対応させていただくコンサルティングサービスになります。

戦略3としては、我々のコンサルティングスタッフが対応して、そのような一気通貫のサービスを展開していきたいと考えています。

質疑応答:部品の在庫管理について

司会者:「部品は在庫を抱えることになるのですか?」というご質問です。

後藤:当社が在庫を抱えることは、今の段階では検討していません。基本的には、お客さまの在庫を当社がお預かりするかたちになります。

お客さまの資産としての部品を我々がお預かりし、それを製造に使用して、お客さまに最終的な製品を納品するということです。したがって、お客さまからの預かり在庫になります。基本的に在庫リスクはありません。

質疑応答:納期厳守率について

司会者:「納期厳守率98パーセントはすごいですが、残りの2パーセントは何か事故でもあったのでしょうか?」というご質問です。

田坂:物流の仕組みは出来上がっているのですが、ものづくりなので、製造が遅れてしまうことがあります。不具合品が出て再製造するために遅れてしまうこともあります。

海外で製造しているものが遅れれば、国内で製造したり、飛行機便からバイク便に替えたりして、98パーセントの納期厳守率を達成しています。しかしながら、それでも間に合わない再製造品があったりしますので、それが2パーセントに含まれているということです。

質疑応答:トランプ関税の影響について

司会者:「トランプ関税の影響は受けるのでしょうか?」というご質問です。

後藤:当社のお客さまは、さまざまな製品に分散されていますので、どこかに依存しているということはありません。例えば、輸出産業がメインのお客さまだけではなく、内需でしっかりと成長している企業も複数ございます。そのように考えると、当社への影響はそこまで大きくないのではないかと予想しています。これは当社の強みだと思っています。

質疑応答:定番品製作の伸び率について

司会者:「試作品製作が1つの需要だと思いますが、定番品製作はどのくらい伸びると考えていますか?」というご質問です。

後藤:我々が量産品と言っている部分だと思いますが、製品に使われるものなので、一度作成して製品化したものを定期的にリピートしていくことになります。ここの部分が、ものづくりにおいて成長の柱になってくると思います。

我々がサービスを立ち上げた当初は、顧客規模としては中小規模の産業機器メーカーから小ロットの量産品をご注文いただいていました。現在は、少しずつ市場シェアの開拓ができています。

中堅・大手のお客さまも、まずは試作品から入り込み、小ロットの量産品のご注文があります。一方で、中ロット・大ロットとなると、指標として戦い方が変わってきたりします。試作品を取れているというのは、我々としてはかなりアドバンテージだと考えていますので、そこをきっかけにさまざまな戦略の展開ができるのではないかと考えています。

司会者:ロットというのは、プリント基板の規模が上がっていくということでしょうか?

後藤:ロットというのは、製品を製造する時の台数の目安です。2次製品といわれるようなPCやスマホにおいては、1回のロットが何十万台になったりします。一方、医療機器などの中には、そこまで台数を作らない製品もあります。

産業機器というのは、台数の少ない小ロットの量産品が多いといわれており、そのようなユーザーが当社のサービスをご利用いただいていることが多いです。我々の顧客はさまざまな業種に分散されています。

質疑応答:電子部品の自動調達について

司会者:「電子部品の自動調達に当たって、EOL(End of Life)対応で相当品の候補も自動で選定するのでしょうか?」というご質問です。

後藤:EOLというのは、販売中止になっていく商品です。要するに、その電子部品を使用して製品化してしまうと、次に製造する時にその製品がなくなってしまったら困りますので、エンジニアが情報を知っておく必要があります。

我々としても、部品調達の段階でお客さまにそのようなフィードバックをしています。ソフトウェア的に、画面上で見えるところまではまだ作れていないのですが、積極的にお客さまに情報をお伝えしているところです。

配信元: ログミーファイナンス

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