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科研製薬のニュース
*12:01JST 三洋化成 Research Memo(1):高吸水性樹脂事業から撤退して2025年3月期業績はV字回復見込み
■要約
三洋化成工業<4471>は、社是に「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」を掲げるケミカルメーカーである。様々な界面などで活躍するパフォーマンス・ケミカルスを通じて、全従業員が誇りを持ち、働きがいを感じるユニークでグローバルな高収益企業に成長し、社会に貢献することを目指している。
1. 独自技術をベースにした高機能・高付加価値製品の拡販を推進
同社は大手総合化学メーカーとは一線を画したスペシャリティ・ケミカル企業として、潤滑油添加剤や永久帯電防止剤など独自技術をベースにした高機能・高付加価値製品の拡販を推進している。またバイオ・メディカル事業分野への展開では、新規治療材料「シルクエラスチン(R)」について創傷治癒用途で薬事承認申請を行い、2024年10月に科研製薬<4521>と創傷治療材料「シルクエラスチン(R)創傷用シート」の日本国内における独占的販売権に関するライセンス契約を締結した。なお事業環境が悪化していた高吸水性樹脂事業及び中国江蘇省南通市における生産事業については2024年3月に事業撤退を決定した。
2. 2025年3月期中間期は事業撤退による収益性改善で大幅営業増益
2025年3月期第2四半期累計(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%減の77,030百万円、営業利益が同120.5%増の4,453百万円、経常利益が同0.9%増の4,991百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同78.6%減の940百万円だった。売上高は高吸水性樹脂事業などから撤退した影響で減収だが、営業利益は自動車関連や半導体関連を中心に高付加価値製品の需要が回復傾向となったほか、高吸水性樹脂事業などからの撤退による収益性改善で大幅営業増益だった。経常利益は営業外で持分法による投資損益が改善したが、為替差損益が悪化したため前期比横ばいにとどまった。親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期に計上した投資有価証券売却益が剥落したほか、特別損失に高吸水性樹脂事業などからの撤退に伴う事業構造改革費用を計上したため大幅減益だった。
3. 2025年3月期通期も大幅増益(最終黒字転換)でV字回復予想
2025年3月期通期の連結業績予想(2024年9月27日付で各利益を上方修正)は、売上高が前期比9.1%減の145,000百万円、営業利益が同84.2%増の9,000百万円、経常利益が同22.1%増の10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が4,000百万円(前期は特別損失計上で8,501百万円の損失)としている。上期の状況を鑑みて、期初に公表した前回予想に対して、売上高を据え置いたが、各利益を上方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益については特別損失が期初の想定を下回ることも寄与する。前期比では、売上高は高吸水性樹脂事業などからの撤退により減収だが、各利益は潤滑油添加剤や永久帯電防止剤など高付加価値製品の拡販効果や、高吸水性樹脂事業などからの撤退による収益性改善効果により大幅増益(最終黒字転換)予想としている。2024年3月期をボトムとして、2025年3月期以降は収益のV字回復が期待できると弊社では考えている。
4. 2030年のありたい姿と新中期経営計画2025
同社は2022年3月に、2030年のありたい姿に向けた経営方針として「WakuWaku Explosion 2030」を策定し、2023年5月には「新中期経営計画2025 −ありたい姿に向けた変革の加速−」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。重点戦略として、高付加価値製品群(カーボンニュートラルおよびQOL(生活の質)の向上に貢献する注力5製品群=特殊繊維用薬剤、特殊電子部品用薬剤、潤滑油添加剤、永久帯電防止剤、医療・医薬関連)への設備投資と拡販を加速する。また中期成長に向けた戦略として、ブルーオーシャン戦略で独自技術やアライアンスを活用し、遺伝子組み換え技術によって作製された機能性タンパク質「シルクエラスチン(R)」、アグリ・ニュートリションなどの新製品開発・新規事業創出を推進している。
5. 高吸水性樹脂事業からの撤退を評価、高付加価値製品群の拡販に注目
同社は懸案となっていた高吸水性樹脂事業から撤退し、2025年3月期の連結業績はV字回復の見込みとなった。同社の特徴の一つでもあった高吸水性樹脂事業からの撤退を決断し、収益性改善を推進する成長戦略を弊社では高く評価している。今後はスペシャリティ・ケミカル企業として、成長分野であるバイオ・メディカル事業分野やアグリ・ニュートリション分野などにおける新規ビジネス展開の加速によって、同社が新たな成長ステージに入る可能性に期待できる。弊社では今後も、高付加価値製品群の拡販戦略や新製品開発・事業化の進捗状況に注目したいと考えている。
■Key Points
・大手総合化学メーカーとは一線を画したスペシャリティ・ケミカル企業
・2025年3月期中間期は事業撤退による収益性改善で大幅営業増益
・2025年3月期通期も大幅増益(最終黒字転換)でV字回復予想
・高付加価値製品群の拡販や新製品開発・新規事業創出を推進
・高吸水性樹脂事業からの撤退を評価、高付加価値製品群の拡販に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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三洋化成工業<4471>は、社是に「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」を掲げるケミカルメーカーである。様々な界面などで活躍するパフォーマンス・ケミカルスを通じて、全従業員が誇りを持ち、働きがいを感じるユニークでグローバルな高収益企業に成長し、社会に貢献することを目指している。
1. 独自技術をベースにした高機能・高付加価値製品の拡販を推進
同社は大手総合化学メーカーとは一線を画したスペシャリティ・ケミカル企業として、潤滑油添加剤や永久帯電防止剤など独自技術をベースにした高機能・高付加価値製品の拡販を推進している。またバイオ・メディカル事業分野への展開では、新規治療材料「シルクエラスチン(R)」について創傷治癒用途で薬事承認申請を行い、2024年10月に科研製薬<4521>と創傷治療材料「シルクエラスチン(R)創傷用シート」の日本国内における独占的販売権に関するライセンス契約を締結した。なお事業環境が悪化していた高吸水性樹脂事業及び中国江蘇省南通市における生産事業については2024年3月に事業撤退を決定した。
2. 2025年3月期中間期は事業撤退による収益性改善で大幅営業増益
2025年3月期第2四半期累計(中間期)の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%減の77,030百万円、営業利益が同120.5%増の4,453百万円、経常利益が同0.9%増の4,991百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同78.6%減の940百万円だった。売上高は高吸水性樹脂事業などから撤退した影響で減収だが、営業利益は自動車関連や半導体関連を中心に高付加価値製品の需要が回復傾向となったほか、高吸水性樹脂事業などからの撤退による収益性改善で大幅営業増益だった。経常利益は営業外で持分法による投資損益が改善したが、為替差損益が悪化したため前期比横ばいにとどまった。親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期に計上した投資有価証券売却益が剥落したほか、特別損失に高吸水性樹脂事業などからの撤退に伴う事業構造改革費用を計上したため大幅減益だった。
3. 2025年3月期通期も大幅増益(最終黒字転換)でV字回復予想
2025年3月期通期の連結業績予想(2024年9月27日付で各利益を上方修正)は、売上高が前期比9.1%減の145,000百万円、営業利益が同84.2%増の9,000百万円、経常利益が同22.1%増の10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が4,000百万円(前期は特別損失計上で8,501百万円の損失)としている。上期の状況を鑑みて、期初に公表した前回予想に対して、売上高を据え置いたが、各利益を上方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益については特別損失が期初の想定を下回ることも寄与する。前期比では、売上高は高吸水性樹脂事業などからの撤退により減収だが、各利益は潤滑油添加剤や永久帯電防止剤など高付加価値製品の拡販効果や、高吸水性樹脂事業などからの撤退による収益性改善効果により大幅増益(最終黒字転換)予想としている。2024年3月期をボトムとして、2025年3月期以降は収益のV字回復が期待できると弊社では考えている。
4. 2030年のありたい姿と新中期経営計画2025
同社は2022年3月に、2030年のありたい姿に向けた経営方針として「WakuWaku Explosion 2030」を策定し、2023年5月には「新中期経営計画2025 −ありたい姿に向けた変革の加速−」(2024年3月期〜2026年3月期)を策定した。重点戦略として、高付加価値製品群(カーボンニュートラルおよびQOL(生活の質)の向上に貢献する注力5製品群=特殊繊維用薬剤、特殊電子部品用薬剤、潤滑油添加剤、永久帯電防止剤、医療・医薬関連)への設備投資と拡販を加速する。また中期成長に向けた戦略として、ブルーオーシャン戦略で独自技術やアライアンスを活用し、遺伝子組み換え技術によって作製された機能性タンパク質「シルクエラスチン(R)」、アグリ・ニュートリションなどの新製品開発・新規事業創出を推進している。
5. 高吸水性樹脂事業からの撤退を評価、高付加価値製品群の拡販に注目
同社は懸案となっていた高吸水性樹脂事業から撤退し、2025年3月期の連結業績はV字回復の見込みとなった。同社の特徴の一つでもあった高吸水性樹脂事業からの撤退を決断し、収益性改善を推進する成長戦略を弊社では高く評価している。今後はスペシャリティ・ケミカル企業として、成長分野であるバイオ・メディカル事業分野やアグリ・ニュートリション分野などにおける新規ビジネス展開の加速によって、同社が新たな成長ステージに入る可能性に期待できる。弊社では今後も、高付加価値製品群の拡販戦略や新製品開発・事業化の進捗状況に注目したいと考えている。
■Key Points
・大手総合化学メーカーとは一線を画したスペシャリティ・ケミカル企業
・2025年3月期中間期は事業撤退による収益性改善で大幅営業増益
・2025年3月期通期も大幅増益(最終黒字転換)でV字回復予想
・高付加価値製品群の拡販や新製品開発・新規事業創出を推進
・高吸水性樹脂事業からの撤退を評価、高付加価値製品群の拡販に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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