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【QAあり】キャリアリンク、事業ポートフォリオの変革を推進 地方自治体エリアや業務領域の拡大に向けて積極投資、M&Aも視野に
2025年3月期 通期業績ハイライト

成澤素明氏:2025年3月期決算説明会を開催します。キャリアリンク代表取締役社長の成澤です。よろしくお願いします。
まずは2025年3月期の通期業績ハイライトからご報告します。当期においても、主力のBPO関連事業を中心に、各事業を積極的に推進してきました。その結果、2025年3月期の連結売上高は404億円となりました。
主力のBPO関連事業では、引き続き政令指定都市や中核都市を中心に新規取引先の開拓と併せて、地方自治体窓口業務や経済対策関連案件などの受注拡大に取り組みました。
しかし、マイナンバー交付施策や大型の福利厚生案件の終了・縮小に加え、想定した売上総利益が確保できないと見込まれる案件については、応札を見送った影響などにより、減収となっています。一方で、製造系人材サービス事業は、既存取引先からの受注量の増加及び、新規取引先の拡大により、好調に推移しました。
利益面では、登録者募集費などの経費の節減に取り組みましたが、収益性の高い案件の終了や規模縮小などによる売上総利益率の低下に加え、次年度以降を見据えた体制強化に取り組んだことなどから、営業利益は27億円となりました。
スライド下段の表をご覧ください。売上高は403億9,700万円で前年同期比92.3パーセント、営業利益は26億9,300万円で前年同期比82.1パーセントでした。経常利益は27億円で前年同期比82.3パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は18億2,900万円で、前年同期比83.1パーセントとなっています。
2025年3月期 通期業績ハイライト

セグメント別にご説明します。事務系人材サービス事業においては、売上高が325億8,200万円で、前年同期比88.8パーセント、セグメント利益は23億9,800万円で、前年同期比80.5パーセントとなりました。
製造系人材サービス事業においては、売上高が75億3,100万円で、前年同期比110.5パーセント、セグメント利益は2億5,600万円で、前年同期比100.6パーセントでした。
その他事業については、売上高が2億8,300万円で、前年同期比97.9パーセント、セグメント利益は3,800万円で、前年同期比86.9パーセントとなっています。
事務系人材サービス事業

事務系人材サービス事業について事業部門別にご説明します。
BPO関連事業部門は、取引のある地方自治体数が195自治体へ拡大し、窓口業務や各種審査業務、総務関連業務などの長期案件を中心に、新規取引先開拓の推進に取り組みました。民間企業においては、大手BPO事業者の受注が堅調に推移しています。一方で、マイナンバー関連や大型の福利厚生案件の終了・縮小が影響しました。
CRM関連事業部門では、大手テレマーケティング事業者などから中規模の新規コールセンター業務案件を複数受注し、新規取引の拡大を実現しました。一方で、前期に受注した大型コールセンター業務案件及び金融機関からのスポット案件の終了・規模縮小が影響しています。
一般事務事業部門では、地方自治体からの経済対策案件や地方自治体関連公益法人からの幅広い業務領域での新規取引の実現、金融機関からの新NISA関連事務案件の受注などが好調に推移しました。一方で、地方自治体向けのマイナンバー新規交付業務の一巡に加え、金融機関向けのスポット案件の終了などが影響しています。
各事業部門別の売上高については、スライド右側の棒グラフに記載のとおりです。
事務系人材サービス事業

KPIの推移について、実績をご報告します。まずは中核人材数及びBPO案件数の推移です。
社員の新規採用を抑制した一方で、業務構築や情報システムの分野で高い専門性を持つ人材の採用は継続しました。加えて、前期までに採用した既存要員の育成・教育に注力した結果、中核人材は2025年3月期通期の平均で386名の在籍となりました。2026年3月期も同水準を維持する計画としています。
また、2025年3月期通期のBPO案件数は211件となりました。
事務系人材サービス事業

地方自治体BPO案件数のうち、長期案件数の増加についてご説明します。地方自治体BPO案件においては、12ヶ月以上の契約期間となる長期の案件比率が増加傾向にあります。2025年3月期の実績は、前期末比54パーセント増となりました。
また、民間BPO案件の売上高の推移については、取り組みを強化した結果、大手BPO事業者をはじめとする新規案件の獲得が堅調に推移しました。しかし、大型案件の終了や規模の縮小等により、売上高は前年と同水準となっています。
製造系人材サービス事業及びその他

製造系人材サービス事業は増収増益となりました。食品加工部門においては、既存取引先からの堅調な案件受注に加えて、業務用食材事業者などとの新規取引を開始しています。また、製造加工部門においては、住宅設備製造などの業種での受注が増加しました。
一方で、営業利益は、今後の業容拡大に向けた人員増強への取り組みにより、人件費・採用費が増加したことから、前年と同水準となりました。
その他事業には自動車管理事業があります。こちらも売上高は前年と同水準である一方、2024年4月1日に施行された時間外労働の上限規制に対応すべく、人員の増強を実施したことから、減益となりました。
2025年3月期 損益状況

2025年3月期の損益状況については、今ご説明したとおりです。一覧はこちらのスライドをご覧ください。
2025年3月期 財務状況

財務状況についてご報告します。流動資産は182億8,800万円で、前期末比11億2,200万円減、固定資産は15億8,900万円で、前期末比2億900万円減となり、資産合計は198億7,800万円で、前期末比13億3,100万円減となっています。
流動負債は43億5,300万円で、前期末比15億1,200万円減、固定負債は6億1,200万円で、前期末比2億5,600万円減となり、負債合計は49億6,500万円で、前期末比17億6,800万円減となっています。
その結果、純資産合計は149億1,200万円で、前期末比4億3,700万円増、負債純資産合計は198億7,800万円で、前期末比13億3,100万円減となりました。それぞれの科目の主な増減要因は、スライド右側の欄に記載のとおりです。
2025年3月期 CF状況

キャッシュフローについてです。営業活動によるキャッシュフローが27億1,000万円、投資活動によるキャッシュフローがマイナス1億2,900万円で、これらを合わせたフリー・キャッシュフローは25億8,000万円となりました。
財務活動によるキャッシュフローはマイナス17億8,500万円で、その結果、現金及び現金同等物の増減額は7億9,500万円でした。現金及び現金同等物の期首残高が99億2,800万円でしたので、現金及び現金同等物の期末残高は107億2,400万円となります。
主な増減内容は、スライド右側の欄に記載のとおりです。
2026年3月期 通期業績予想

2026年3月期の通期業績予想をご報告します。2026年3月期においては、持続的成長と長期的な収益改善を最優先に計画を立案しています。これまでの継続的な地方自治体への取り組み等の施策が奏功し、売上高は増加に転じる見込みです。
持続的成長と長期的な収益改善に向けて、株主価値・株主還元を維持できる利益を確保しつつも、積極的に投資を行っていく計画として、小幅の増益を計画しています。
売上高は前年同期比5.3パーセント増の425億4,500万円、営業利益は前年同期比0.5パーセント増の27億600万円、経常利益は前年同期比0.1パーセント増の27億300万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比1パーセント増の18億4,800万円を見込んでいます。
セグメント別の売上高については、事務系人材サービス事業は前年同期比4.8パーセント増の341億6,000万円、製造系人材サービス事業は前年同期比7.9パーセント増の81億2,900万円を計画しています。その他事業についてはスライドに記載のとおりです。
2026年3月期の営業戦略と業績予想

事務系人材サービス事業については、地方自治体に対し、取引先開拓の推進及び業務領域の拡大、複数年度に跨る長期案件受注の比率向上に重点的に取り組みます。
また、各地方自治体との取引基盤の強化に向けて、専門家人材の招へい、DX化推進等による業務領域拡大への態勢強化、顧客満足度と業務改善・品質向上に向けた運用体制の強化を進めていきます。民間企業に対しても、新規取引先の開拓及び業務領域の拡大、さらに新規業務の開発を並行して推進します。
製造系人材サービス事業においては、食品加工部門では各取引先からの受注が増加基調にあり、製造加工部門においても住宅設備製造などを中心に幅広い業務で受注が増加基調です。そのような中で、営業拠点の増設により、新規取引先の開拓を積極的に推進します。
2026年3月期業績予想の前提に係る補足説明

2026年3月期業績予想の前提に係る補足についてご説明します。通期業績予想値に対する上期業績予想値の割合は、スライドのグラフに示しているとおりです。
期首から稼働中の複数のBPO案件について、売上高を稼働期間にわたって認識する一方で、利益面については、案件立ち上げ時の初期費用の計上が上期に集中することにより、下期偏重となる計画です。
中期経営計画

中期経営計画をご説明します。2028年3月期までの中期経営計画を立案しました。
本中期経営計画の期間内は、中長期でのさらなる業容拡大に向けた積極的な投資による多種多様な「トライ&エラー」が想定されます。したがって、これまでの立案根拠を再検討し、オーガニックな積み上げ成長を根拠に立案しました。
2028年3月期の計画を最終年度とする3年間の年平均成長率は、売上高は5パーセント、営業利益は4パーセント前後の推移を見込んでいます。
3ヶ年計画については、スライドに記載のとおりです。
中期経営計画

セグメント別の売上高計画です。3年間の売上高の年平均成長率は、事務系人材サービス事業でプラス5パーセント、製造系人材サービス事業でプラス6パーセントを目指します。内容はスライドに記載のとおりです。
中期経営計画補足

中期経営計画の補足として、2020年2月期業績からの年平均成長率をご説明します。2020年2月期から当事業年度中期経営計画の3年目である2028年3月期までの年平均成長率は、10.5パーセントです。業界平均の年平均成長率9.6パーセントの数値と同水準での成長を計画しています。
2020年2月期から2028年3月期までの売上実績及び計画値の推移を棒グラフで示しています。参考として、BPO案件数及び地方自治体取引数の推移を併記していますので、比較してご確認ください。
成長戦略

成長戦略です。2028年3月期に向けて、事業ポートフォリオの変革、成長基盤の再構築を推進します。中期経営計画期間において、引き続き、中長期的な持続的成長に向けた投資を積極的に推進します。
成長投資を果敢に実行することで、2028年3月期に向けた事業ポートフォリオの変革と成長基盤の再構築を推進し、中長期でのさらなる飛躍を目指していきます。
中期経営戦略と重点施策については、スライド右側をご覧ください。1つ目は、「業績基盤の拡大」です。地方自治体のエリアと、業務領域の拡大、長期案件受注の推進に取り組みます。さらに、新規事業の開発、業務領域の拡大など、民間BPOの取り組みを強化します。
2点目は、「持続的成長への積極投資」です。業務領域拡大への態勢強化として、DX化の推進、専門家人材の招へいなどを積極的に取り組んでいきます。また、顧客満足度の向上、業務改善・品質向上に向けたBPO案件の運用体制の強化を図っていきます。
3点目は、「インオーガニック成長」です。M&Aや事業アライアンスへの投資について検討し、しっかりと推進していきたいと考えています。
株主還元

株主還元についてご説明します。安定配当の基本方針のもと、2026年3月期末配当は1株120円を予定しています。従来どおり、適正で安定した配当を継続実施していくことを基本方針としています。
2026年3月期末の配当予想は120円、配当性向予想は77.1パーセントとします。本資料掲載の中期計画においても、ベースラインの利益確保が見込めますので、中期経営計画期間においても120円を維持する予定です。
株主還元(株主優待)

株主還元(株主優待)についての取り組みは、従来どおりで変更はありません。内容はスライドに記載のとおりです。
今回の決算説明は以上です。資料の末尾に参考資料を記載していますので、そちらも参考にご覧いただければと思います。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答(要旨)①
Q:東証から要請されている「株価を意識した経営」について、貴社の考えを教えてください。
A:1つには、適切な株主還元を行うことを考えており、その内容については、本日の資料23ページから24ページに記載しています。次に企業価値向上については、同じく本日の資料31ページから32ページに目標としているROEの他、PBR、PER等の指標を記載し、この達成を目指したいと考えています。
質疑応答(要旨)②
Q:東証から投資単位引き下げについて発表がありましたが、貴社は株式分割など検討されますか?
A:東証からは、詳細な説明等が行われていないため、具体的に東証から指針等が公表されたら、それに基づいて対応を考えたいと存じますが、まずは、当社よりも株価の高い企業がどのように行動されるのかを参考にさせていただくことになるかと存じます。
質疑応答(要旨)③
Q:中期経営計画の3年間の中で、累進配当制度の導入や増配の可能性はありますか?
A:増配等については、可能性としてはゼロではありませんが、まず、現時点においては、中期経営計画の目標数値を達成することを第一に考えています。
質疑応答(要旨)④
Q:今期のスポット比率について、教えてください。
A:現状では長期契約案件を伸ばすことを目的としていますので、特段開示はしていませんが、2025年3月期のスポット案件比率は、僅少でした。
質疑応答(要旨)⑤
Q:地方自治体のリピート率について教えてください。
A:おおよそ8割程度の自治体が、継続して次の契約、もしくは、複数の案件につながっています。
質疑応答(要旨)⑥
Q:「新規業務開発」「新規事業開発」とは具体的にどのようなものに着手されているのか、もしくは、検討しているのか教えてください。
A:「新規業務開発」とは、既存の事務系人材サービス事業、製造系人材サービス事業から派生した業務開発を指します。具体的な例として、製造系人材サービス事業における請負業務などが挙げられます。
一方、「新規事業開発」とは、事務系人材サービス事業、製造系人材サービス事業を出発点として、当社が従来取り扱っていない新規分野への進出を指します。
質疑応答(要旨)⑦
Q:中期経営計画で営業利益率は、前期6.7パーセントをさらに下回って6.4パーセントで、9パーセント台以上への回復は難しいのでしょうか? 長期的に利益率を2022年3月期並みに戻すことは検討されていますか?
A:今回、発表した中期経営計画では、持続的成長の基礎を構築することを主目的としており、持続的成長の基礎構築には、多様な新規事業開発・新規業務開発、DX化推進などの体制構築・強化等が必要であり、その遂行には、積極的な投資が必要ですので、人件費、経費の増加が見込まれます。
この結果、営業利益以下については、微増する計画としています。また、現状の当社経営資源から考えると積極的な投資を行いつつ売上高の成長を追求した場合、中期経営計画期間の成長率は年平均5パーセント程度、営業利益率は横ばいが妥当であると考えています。
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