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井関農機のニュース
*12:01JST 井関農 Research Memo(1):プロジェクトZが好進捗、2025年12月期の通期予想を上方修正
■要約
1. 幅広い商品ラインナップを国内外に提供する農業機械専業メーカー
井関農機<6310>は、稲作や畑作に用いられるトラクタやコンバインなど農業機械の総合専業メーカーである。ホビー向けからプロ向けまで幅広い商品をラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系※を構築、また農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題に対して、ロボットやICTなどの先端技術を活用した農業機械の投入も進めている。海外展開も積極的で、売上高は日本国内の約半分の規模に達し、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人など大規模農家に向けて、欧州や北米では景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品の販売やアフターサービスの提供をメインに、仕入商品やOEM製品の販売も行っている。国内では「さなえ」ブランドの田植機が有名で、欧州では乗用草刈機などの景観整備用機械の評価が高い。
※ 機械化一貫体系:育種・育苗~耕うん・畝立て~移植~管理・防除~収穫・調整・運搬といった農業プロセス全体を体系化した機械(群)。安定生産、収穫量増加、品質向上、省人化、時間短縮など生産性向上につながる。
2. 強みの相互作用でシナジーを創出
同社の農業機械市場の国内シェアは第3位と言われ、販売子会社を通じた直販をメインに事業を展開している。海外については、売上高が市場規模に対して大きいといえないことから、同社は成長領域と捉えている。こうした市場において同社は、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携して付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」を強みとし、それぞれの強みの相互作用により大きなシナジーを生んでいる。このため、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域である。
3. 生産拠点の再編や販売会社の統合などプロジェクトZは順調に進捗
同社は2023年11月に、次の100年に向けて「変革」の土台を整えるため、聖域なき事業構造改革に向けて「プロジェクトZ」を発足させた。「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」の3つの短期集中の抜本的構造改革及び経費削減によって強靭な企業体質へ生まれ変わるとともに、欧州を中心とした海外事業及び国内の「大型」「先端」「畑作」「環境」といった成長セグメントに経営資源を集中して成長を加速させる計画だ。2027年12月期までに2023年12月期比で75億円以上の営業利益を積み上げ、営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上の実現を目指すとともに、PBR1倍以上へ引き上げを図る。足元では、生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減など順調に進捗している。
4. 米価上昇を背景に農家の投資意欲が高まり、2025年12月期通期予想を上方修正
2025年12月期中間期の業績は、売上高が100,868百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益が4,356百万円(同97.1%増)と好調だった。大幅な営業増益の主因は、プロジェクトZや2022年以降続けてきた価格改定の効果と米価上昇を背景とした農家の投資意欲の高まりにある。2025年12月期通期の業績については、売上高175,500百万円(前期比4.2%増)、営業利益3,500百万円(同82.3%増)を見込んでいる。中間期業績が好調だったため上方修正したが、下期を中心にプロジェクトZの効果がさらに見込まれるため、やや保守的な予想と言える。2026年12月期については米価が引き続き強めで推移し、加えて構造改革の効果もより大きくなるなど、プロジェクトZの目標へさらに近づいていくと予想される。
■Key Points
・「技術力」や「営農提案・サポート力」などに強みを持つ農業機械の総合専業メーカー
・生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減などプロジェクトZが順調に進捗
・米価水準の高止まりや価格改定効果などにより2025年12月期の通期予想を上方修正。2026年12月期も順調予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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1. 幅広い商品ラインナップを国内外に提供する農業機械専業メーカー
井関農機<6310>は、稲作や畑作に用いられるトラクタやコンバインなど農業機械の総合専業メーカーである。ホビー向けからプロ向けまで幅広い商品をラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系※を構築、また農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題に対して、ロボットやICTなどの先端技術を活用した農業機械の投入も進めている。海外展開も積極的で、売上高は日本国内の約半分の規模に達し、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人など大規模農家に向けて、欧州や北米では景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品の販売やアフターサービスの提供をメインに、仕入商品やOEM製品の販売も行っている。国内では「さなえ」ブランドの田植機が有名で、欧州では乗用草刈機などの景観整備用機械の評価が高い。
※ 機械化一貫体系:育種・育苗~耕うん・畝立て~移植~管理・防除~収穫・調整・運搬といった農業プロセス全体を体系化した機械(群)。安定生産、収穫量増加、品質向上、省人化、時間短縮など生産性向上につながる。
2. 強みの相互作用でシナジーを創出
同社の農業機械市場の国内シェアは第3位と言われ、販売子会社を通じた直販をメインに事業を展開している。海外については、売上高が市場規模に対して大きいといえないことから、同社は成長領域と捉えている。こうした市場において同社は、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携して付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」を強みとし、それぞれの強みの相互作用により大きなシナジーを生んでいる。このため、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域である。
3. 生産拠点の再編や販売会社の統合などプロジェクトZは順調に進捗
同社は2023年11月に、次の100年に向けて「変革」の土台を整えるため、聖域なき事業構造改革に向けて「プロジェクトZ」を発足させた。「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」の3つの短期集中の抜本的構造改革及び経費削減によって強靭な企業体質へ生まれ変わるとともに、欧州を中心とした海外事業及び国内の「大型」「先端」「畑作」「環境」といった成長セグメントに経営資源を集中して成長を加速させる計画だ。2027年12月期までに2023年12月期比で75億円以上の営業利益を積み上げ、営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上の実現を目指すとともに、PBR1倍以上へ引き上げを図る。足元では、生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減など順調に進捗している。
4. 米価上昇を背景に農家の投資意欲が高まり、2025年12月期通期予想を上方修正
2025年12月期中間期の業績は、売上高が100,868百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益が4,356百万円(同97.1%増)と好調だった。大幅な営業増益の主因は、プロジェクトZや2022年以降続けてきた価格改定の効果と米価上昇を背景とした農家の投資意欲の高まりにある。2025年12月期通期の業績については、売上高175,500百万円(前期比4.2%増)、営業利益3,500百万円(同82.3%増)を見込んでいる。中間期業績が好調だったため上方修正したが、下期を中心にプロジェクトZの効果がさらに見込まれるため、やや保守的な予想と言える。2026年12月期については米価が引き続き強めで推移し、加えて構造改革の効果もより大きくなるなど、プロジェクトZの目標へさらに近づいていくと予想される。
■Key Points
・「技術力」や「営農提案・サポート力」などに強みを持つ農業機械の総合専業メーカー
・生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減などプロジェクトZが順調に進捗
・米価水準の高止まりや価格改定効果などにより2025年12月期の通期予想を上方修正。2026年12月期も順調予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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