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―大人買いとSNSを通じた情報共有や交流で市場を牽引、「推し活」ブームも追い風に―
11月下旬から小売り各社や大手ECで開催された「ブラックフライデーセール」を皮切りに、今年も 年末商戦がスタートした。現在商戦真っ只中だが、物価高が続くなかでの「守りの節約消費」と、ボーナス支給や年末イベントによる「攻めのご褒美・ギフト需要」が同時に顕在化しているといわれている。
こうしたなか、年末年始で1年の売上高の約4割を占めるといわれている 玩具業界も、12月2日に日本玩具協会と東京玩具人形協同組合が今年のクリスマスおもちゃの最新トレンドを発表する「クリスマスおもちゃ」トレンド記者発表会を開催するなど年末商戦にかける意気込みは強い。今年は6月に「ニンテンドースイッチ2」が発売されたことから、ゲーム関連市場への影響も期待されている。
その玩具業界で、ここ数年大きなトレンドの変化が起こっている。「キダルト消費」と呼ばれる消費行動がそれで、現在の玩具市場の牽引役の一つともなっている。そこで今回は「キダルト」をキーワードに注目銘柄を見てみたい。
●少子化でも玩具市場は拡大続く
少子化の進行や市場の成熟の影響で、厳しい時代を迎えている印象を受ける玩具業界だが、市場規模は拡大傾向にある。日本玩具協会が今年6月に発表した2024年度の日本の玩具市場規模は、前年度比7.9%増の1兆992億4300万円となった。玩具市場は23年度に1兆190億9300万円と初めて1兆円を超えたが、24年度はそれを更に上回り4年連続で過去最高を更新した。直近10年間では35.9%も増加したことになる。
同協会によると、カードゲームやハイテク系トレンドトイ、ぬいぐるみ、コレクショントイ、雑貨などが特に伸びが顕著で、これらはいずれもキダルト層や インバウンド層などに人気の商品が揃った商品ジャンルであるという。また、こうした需要はこれまで以上に幅広い商品ジャンルに拡散しつつあることが見て取れるとしている。
●「キダルト消費」とは
市場の拡大に貢献するインバウンド層やキダルト層だが、「インバウンド」に比べて「キダルト」にはなじみのない人が多いのではないだろうか。
「キダルト」とは、「子ども(kid)+大人(adult)」の造語で、子どもの頃に楽しんでいた遊びや玩具に、大人になって再び興味を持ち楽しむ人たちを示す。主に玩具業界で使われている言葉で、これまで、「玩具」というと子どものためのものというイメージだったが、30代から40代の大人になっても、自由に玩具を楽しむ大人たちのことがそう呼ばれている。
一括りにはできないものの、子どもに比べて経済力があることから、いわゆる「大人買い」ができることや、コレクター志向が強いのがキダルトの消費の傾向だ。自分の興味の対象に積極的におカネを使うことから、多少高額になっても手に入れられるほか、単価が安い商品であれば大量に購入できる。また、SNSなどで、積極的に情報共有や交流を行う傾向があるのも特徴で、共通の趣味を持つ人と一緒に楽しむことを重視する人も多い。近年の「推し活」ブームも後押しする。
●日本トイザらスはキダルト専門店を展開
近年では玩具業界もキダルトによる消費を意識しており、国内の展示会やイベントでは、多くの大人向け商品が展示されるようになった。また、メーカー各社は大人が自分のために買いたくなる商品を積極的に展開。販売店では日本トイザらスが37店舗でキダルトコーナーを展開しているほか、キダルト専門店を4店舗展開するなど業界を挙げてキダルト消費の取り込みに力を入れている。
こうした業界の取り組みによる顧客接点の多様化に加えて、消費者のライフステージの変化などで新たに玩具を購入する層も増えるとみられ、今後もキダルト消費は拡大が見込まれる。それに伴い関連銘柄のビジネスチャンスも引き続き拡大が見込まれていることから、関連銘柄に注目したい。
●キダルト消費関連銘柄は
ハピネット <7552> [東証P]は、玩具を中心に映像・音楽ソフト、ビデオゲーム、アミューズメント関連商品の4分野でトップクラスのシェアを誇るエンターテインメント総合商社。玩具市場の中間流通シェアの約3割を占める最大手で、キダルト消費による玩具市場の拡大の恩恵を受けやすい。11月13日に発表した26年3月期上期連結決算は、営業利益が87億1000万円(前年同期比33.5%増)となり、通期計画の営業利益118億円(前期比1.0%増)に対する進捗率は74%に達している。
バンダイナムコホールディングス <7832> [東証P]は、「ガンプラ」(ガンダムシリーズのプラモデル)やアニメキャラクターのフィギュア、復刻版玩具などキダルトも楽しめる商品を幅広く展開している。特に「ONE PIECEカードゲーム」をはじめトレーディングカードゲーム(TCG)は人気で、今年7月には新作の「GUNDAM CARD GAME」を発売し立ち上がりは好調という。11月6日には26年3月期上期決算の発表と同時に通期業績予想の上方修正を発表。連結営業利益を1450億円から1650億円(前期比8.5%減)へ引き上げた。26年1月にはガンプラ45周年に伴う大型商品の発売も予定され注目されている。
タカラトミー <7867> [東証P]は、ハイターゲット(15歳以上)向けホビーレーベル「T-SPARK」を展開するなど大人向け商品の展開に力を入れており、最近でも定番商品の「トミカ」で大人向けプレイセット「tomica+(トミカプラス)」や、「リカちゃん」シリーズに自然で表情豊かなポージングが可能な「フォトジェニックリカ」シリーズを投入するなどキダルトを意識した商品を展開している。このほかにもTCGやキデイランドなどさまざまな分野でキダルト層に向けた施策を展開。26年3月期は、連結売上高は2600億円(前期比3.9%増)と増収を見込むものの、関税影響や映像・人財投資などが重しとなり営業利益は220億円(同11.5%減)を見込む。
サンリオ <8136> [東証P]は、「ハローキティ」「マイメロディ」をはじめ450種類以上のキャラクターを開発し、130の国と地域でキャラクタービジネスを展開している。20年7月に就任した辻朋邦社長のもと、「ハローキティ」への依存度を下げ、多様なキャラクターを育成することでファン層を広げる「複数キャラクター戦略」を推進したことで業績は好調で、26年3月期上期連結営業利益は391億8300万円(前年同期比66.1%増)と、上期として過去最高を更新。通期営業利益予想も673億円から702億円(前期比35.5%増)へ引き上げられた。
円谷フィールズホールディングス <2767> [東証P]は、「ウルトラマン」シリーズで知られる円谷プロなどを傘下に有する。幅広い年代に訴求効果のある「ウルトラマン」はキダルト消費の取り込みに貢献し、24年10月に世界15カ国・地域で発売した「ウルトラマン カードゲーム」は25年3月期のMD(物販)売り上げを前の期の3倍に押し上げるのに寄与した。26年5月には「ウルトラマン カードゲーム」初の世界大会を東京で開催する予定で、更なる盛り上がりも期待されている。26年3月期上期連結決算は営業利益が135億9500万円(前年同期比3.3倍)と大幅増益を達成。これを受けて通期予想の営業利益も160億円から180億円(前期比17.7%増)へ引き上げた。
ブシロード <7803> [東証G]は、「カードファイト!! ヴァンガード」「ヴァイスシュヴァルツ」などを中心とする主力のTCG事業で、今年7月に「ゴジラ カードゲーム」(企画・発売:東宝 <9602> [東証P])の販売を開始した。11月14日に発表した26年6月期第1四半期決算で、TCG事業の単体売上高は前年同期比30.3%増の69億6000万円に拡大。通期業績予想で、連結営業利益は45億円(前期比7.6%減)を見込むが、第1四半期営業利益は16億6800万円(前年同期比3.3倍)であり、通期計画に対する進捗率も37%と順調な滑り出しとなった。
TORICO <7138> [東証G]は、1巻から最終巻まで全巻まとめ買いできるインターネット書店「漫画全巻ドットコム」を運営。また、24年8月には新規事業としてトレーディングカードEC「トレオタ」を開始した。12月5日に26年3月期の連結業績予想を営業損益で500万円の赤字から1億3400万円の赤字(前期2億6000万円の赤字)に下方修正したが、なかでトレーディングカード事業は、単独事業化を目指しサービス規模が拡大フェーズに入ったとしており、今後は、業績への貢献も期待されている。
壽屋 <7809> [東証S]は、プラモデルやフィギュア、キャラクターグッズなどの企画・開発・製造・販売を行っており、特にプラモデルの「メガミデバイス」や「フレームアームズ・ガール」といったシリーズは、カスタマイズ性が高く、幅広い層のファンに人気がある。11月14日に発表した26年6月期第1四半期連結決算で、営業利益は1億4100万円で着地。今期から連結決算に移行したため前年同期との単純比較はできないが、前年同期の単独決算で営業損益は2700万円の赤字だったことから、黒字転換を達成。通期では営業利益17億円を見込む。
このほか、中古トレーディングカードを扱う買取王国 <3181> [東証S]やトップカルチャー <7640> [東証S]、また、前述のTORICOと業務提携関係にあるテイツー <7610> [東証S]、キャラクター商品を手掛けるエスケイジャパン <7608> [東証S]、粧美堂 <7819> [東証S]などにも注目したい。
株探ニュース
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