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【QAあり】アイビス、2Qはサブスク前年同期比+71.3%で高成長を維持、8月にはMac版投入でプロ市場にも本格進出
ibisPaint

神谷栄治氏(以下、神谷):株式会社アイビス代表取締役社長の神谷です。アイビスの2025年第2四半期連結決算説明会を始めます。
当社の主力製品は「ibisPaint」です。こちらは、日本企業発のアプリとして、欧米のアクティブユーザー数で5年連続No.1となっています。
栄枯盛衰が激しい世界のアプリ市場の中で当社がMade in Japanを牽引

日本製アプリの中でアクティブユーザーが多い「ibisPaint」ですが、左の図は欧米での順位を示しています。こちらが1位です。右側は全世界というカテゴリで、日本製アプリでは3位となっています。1位には「LINE」、4位には「PlayStation」のアプリがランクインしていますが、当社のアプリもかなりアクティブユーザーが多いことがわかります。
本資料のサマリ

第2四半期のサマリです。第2四半期連結決算(会計期間:4月から6月)についてですが、売上高や各種利益の進捗率は2分の1弱で、M&Aの影響もありますが、ほぼ計画どおりに推移しています。
モバイルセグメントでは、サブスクリプション売上が前年同期比(YoY)71.3パーセント増と大幅に増加し、利益率も50パーセントを超え、高収益体制が続いています。一方、アプリ広告売上はYoY18.8パーセント減と大幅に減少しました。eCPM(広告単価)が低いままで、底這い傾向が続いています。
ソリューションセグメントの売上高は減少しましたが、セグメント利益はYoYプラス5.6パーセントとなりました。連結の計画については、増収増益での着地を見込んでいます。「ibisPaint」はアプリ広告売上が若干計画を下回っているものの、サブスクリプション売上が上振れしているため、計画達成を見込んでいます。ソリューションセグメントでは、AIを活用して生産性を高める取り組みを進めています。
株式分割についてですが、先日発表したとおり、1対5で分割する予定です。配当については事前に50円と発表していましたが、これを10円、つまり5分の1とするかたちで予定しています。
今年1月末にM&Aで完全子会社化したテクノスピーチについては、第2四半期から損益が連結されました。
成長可能性に関する事項では、成長の主軸を「ibisPaint」のサブスクリプションとしており、2年後にはアプリ課金売上が広告全体の売上を上回る見通しです。現在はサブスクリプション予備軍である200万人(想定売上60億円)を対象に課金率、つまりサブスクリプション率を上げることに注力しています。
また、プロ市場向けとして、「ibisPaint」のMac版が8月中にリリースされる予定となっています。ソリューションセグメントは安定成長を継続しており、AI歌声合成セグメントは中長期の成長基盤を構築中です。こちらはまだチャレンジ段階にある状況です。
FY2025/12 2Q連結決算ハイライト

第2四半期連結決算についてです。売上高は前年の23億4,000万円から23億7,000万円となり、YoY1.3パーセント増となりました。営業利益は5億3,000万円から5億6,000万円に増加し、YoY5.6パーセント増となっています。
営業利益率は23.0パーセントから23.9パーセントに上昇し、YoY4.2パーセント増となりました。また、「ibisPaint」のサブスクリプション売上は2億8,000万円から5億2,000万円へと増加し、YoY79.8パーセント増を達成しています。
表のヘッダーについてですが、前年は単体の実績、今期は連結の実績となっており、ややアンバランスな構成になっています。全体の売上高の成長率が若干鈍化している主な原因としては、「ibisPaint」の広告売上が足りていない点が挙げられます。一方で、サブスクリプション売上は好調に推移しています。
FY2025/12 2Q連結決算業績推移

左が売上のグラフです。前年と比較して微増のレベルとなっています。
利益についてですが、経常利益がYoY3.2パーセント増加し、純利益は0.5パーセント増加という結果になりました。
セグメント別 FY2025/12 2Q連結決算業績推移

セグメント別の売上推移についてです。モバイルセグメントはYoYプラス0.8パーセントで微増となりました。ソリューションセグメントはYoYマイナス0.9パーセントとなっています。新しいセグメントとして「AI歌声合成セグメント」があり、こちらは2,900万円の売上です。その内訳として、「VoiSona」の売上が2,410万円、受託開発の売上が540万円となります。
モバイルセグメントの利益はYoY6.6パーセント増、ソリューションセグメントはYoY46.9パーセント増と、いずれも回復しています。モバイルセグメントの利益率は上昇しています。一方、AI歌声合成セグメントについてはマイナス3,500万円となり、こちらにはのれんの償却が含まれています。M&Aに伴うのれん費用を6年程度で償却しています。
モバイルセグメント FY2025/12 2Q連結決算業績推移

モバイルセグメントの売上内訳です。アプリ広告売上はYoYマイナス18.8パーセントとなり、減少しています。
中の数字を見ると、3億5,100万円や3億5,400万円といった水準で、底這いが続いています。サブスクの売上はYoY71.3パーセント増と好調です。
広告についてですが、SSPのAIアルゴリズムなどの要因や、景況感、アプリ広告市場の市況など、コントロールできない要因により変動が発生しています。過去数年を見ても良い年と悪い年がある状況で、この波は今後も続くと考えています。
モバイルセグメントの売上高、売上総利益、売上総利益率は右のグラフのとおり横ばい傾向です。一方で、当セグメントでは開発人員を増員しており、これにより意図的に売上総利益率が低下する結果となっています。
ソリューションセグメント FY2025/12 2Q連結決算業績推移

ソリューションセグメントの売上内訳です。IT技術者派遣はYoY0.9パーセント減、受託開発はYoY13.8パーセント減となりました。ここの山から見ると下がっていますが、四半期ごとに見ると下がっていたものが反転しています。
右のグラフの利益についてですが、2023年頃にかなり積極的に人材採用への投資を行った結果、売上は大きく伸びましたが、その分利益率が下がりました。その後、一服するような時期があり、急激な投資の反動から人員が減少したり、売上が減少したりする影響が見られ、このような推移となっています。
FY2025/12 2Q 主要な費用項目

広告宣伝費についてですが、主に「ibisPaint」に関連しています。2024年の計画で広告を半減させると発表し、その計画どおり少ない運用を継続しています。一方、右側の人材開発投資に関しては、順調に増加しています。
FY2025/12 2Q 営業利益増減分析

営業利益の増減分析についてですが、主な要因は広告宣伝費の減少です。
FY2025/12 2Q 事業KPI

KPIについてです。モバイル事業部のDAUはYoYで3パーセント増加しており、順調に微増している状況です。
サブスクリプションの契約数はYoY77.5パーセント増と、非常に順調に推移しています。ソリューションセグメントにおいては、2023年度にITエンジニアの採用は、アクセルを踏み、増員に力を入れましたが、急ぎ過ぎた影響で案件ミスマッチなどがあり、一時的に減少しました。しかし、グラフの一番右端に示しているとおり、微増しており、底打ちから反転が始まっていると見受けられます。
FY2025/12 2Q 設備投資額等及びドル円為替レート推移

設備投資、減価償却費、研究開発費、為替については省略します。
FY2025/12 2Q 連結業績予想に対する進捗度

売上と各種利益の進捗率は、47パーセント、48パーセント、46パーセントとやや50パーセントを下回っています。ただし、計画段階から第2四半期までよりも第4四半期に向けて後半の売上が多くなる予定であったため、計画どおりと言えます。期末の着地予想も変更はなく、ギリギリ達成できる見込みであると考えています。
2Qトピックス

第2四半期のトピックスです。まず1つ目は、教育機関向けの「ibisPaint Edu」のAndroid版がリリースされました。中学校、小学校、高校などで導入いただいています。学校で「ibisPaint」を知ってもらい、使いこなしていただき、家庭で購入してもらったり、卒業後に大きくなってから購入してもらったりできるよう、種まきをして取り組んでいます。
2つ目ですが、ベクターレイヤー機能がメジャーバージョンアップしました。このすべての機能はプレミアム会員向けであり、契約数の増加につながっています。
3つ目ですが、新サービスとしてAI議事録サービスを開始しました。自動で議事録を作成できるもので、こちらは「ibisStorage」とセットで販売しています。
FY2025/12連結計画 ハイライト

2025年の連結計画についてです。単体と連結の比較になりますので、若干不自然な点がありますが、このような表になっています。
売上高は46億2,000万円から今期50億2,000万円と、8.6パーセント増となりました。営業利益は11億5,000万円から11億7,000万円で、1.8パーセント増です。一方、営業利益率は25.0パーセントから23.4パーセントとなり、6.3パーセント減少しました。また、「ibisPaint」のサブスクリプションは6億8,000万円から11億1,000万円と、62.2パーセント増加しています。
全体の計画としては、売上成長率の目標を2桁、可能であれば15パーセントまで伸ばしたいと考えていましたが、広告売上の減少により1桁成長にとどまっています。
営業利益率についてですが、微減となっています。ただし、これはM&Aに伴うのれん代などが含まれており、投資による減少が要因です。
営業利益率を非常に高く保ちながら売上成長がゆっくり進むよりも、多少営業利益率を下げても、3年後、5年後に売上が50億円から70億円、さらに100億円へと成長を目指すほうが魅力的だと考えています。
FY2025/12連結計画 全社業績推移

計画の売上推移についてです。グラフのとおりですが、利益もあまり変わっていないものの、利益率が少し下がっています。
FY2025/12連結計画 セグメント別業績推移

セグメント別の売上推移についてご説明します。モバイルセグメントは7.1パーセント増加し、ソリューションセグメントは4.7パーセント増加しました。また、AI歌声合成セグメントの売上は1億1,900万円です。
次に利益ですが、モバイルセグメントは7.8パーセント増加し、ソリューションセグメントは3.6パーセント増加しました。AI歌声合成セグメントは7,400万円の赤字となっています。こちらにはのれん償却額が含まれています。
FY2025/12連結計画 セグメント区分別売上高

モバイルセグメントの売上の内訳です。計画では、広告売上はYoYマイナス11.8パーセント減、サブスクリプション売上はYoYプラス62.2パーセント増でしたが、実際には広告売上はさらに下がり、サブスクリプション売上はさらに増加している状況です。
ソリューションセグメントについてですが、計画時点ではIT技術者派遣がYoYマイナス2.4パーセント減、受託開発がYoYプラス24.7パーセント増でした。ソリューションセグメントでは、受託比率を上げる取り組みを数年前から進めてきています。
FY2025/12連結計画 セグメント別費用内訳

費用の内訳です。モバイルセグメントでは増員と広告費の減少があります。ソリューションセグメントではエンジニアの増員が少し見られます。
FY2025/12連結計画 事業KPIの推移

計画のKPIについてですが、「ibisPaint」のDAUはほぼ変わらない状態です。サブスクリプション契約数はYoYプラス47パーセントとなり、ソリューションセグメントのエンジニア数は微減していますが、実態としては少し反転が始まったように感じられます。
FY2025/12連結計画 株主還元

10月1日には、1対5の株式分割を実施します。去年の配当は40円、今期は50円を予定していましたが、株式分割後では10円に換算されます。
この配当金額だけで見るとYoYプラス25パーセントとなり、配当性向は20パーセントから25パーセントを想定しています。今後も利益成長に応じた株主還元を検討していきます。
MISSION ・ VISION ・ VALUE -1

成長可能性に関する事項についてお話しします。初めての方もいらっしゃるかもしれませんので、会社全体についてご説明します。
当社のミッションは「モバイル無双で世界中に"ワォ!"を創り続ける」、ビジョンは「Boost Japanese Tech to the World」であり、「アイビスは世界でのMade in Japanのプレゼンスを上げていく」を掲げています。
MISSION ・ VISION ・ VALUE -2

バリューとしては、「高い技術を持つエキスパート集団」「スピーディな意思決定と実行」、そして「継続的なチャレンジ」を掲げています。
会社概要

会社は2000年5月に設立され、現在第25期を迎えています。従業員数は352名で、そのうち8割がエンジニアです。
主な沿革と代表略歴

私は1973年に名古屋で生まれ、現在52歳です。名古屋工業大学工学部電気情報工学科を卒業し、エンジニア畑の出身です。そして、26歳の時に創業しました。
事業概要

事業は3つありますが、昨年末時点での売上構成比は、モバイル事業部が56パーセント、ソリューション事業部が43パーセントとなっています。
売上高推移

スライドのグラフは、創業以来の売上推移を示しています。緑色の部分がソリューション事業で、これが祖業となっています。この緑色の部分は順調に右肩上がりで推移しています。真ん中あたり、今から14年ほど前に「ibisPaint」をリリースし、そこから自社製品を展開してきましたが、直近約4年で急成長し、上場を果たしたという状況です。
モバイルペイントアプリ「ibisPaint」とは【モバイル事業】

「ibisPaint」の特徴は、無料で利用できる高機能なペイントアプリという点です。また、スマホユーザーが非常に多く、中高生、特にスマホを最初に購入してもらった中学1年生など、少しでも絵に興味がある人は、「ibisPaint」を選んでくださっていることが多いです。さらに、プロ向けの利用も視野に入れ、Windows版を2022年にリリースしました。
ibisPaintのAI戦略【モバイル事業部】

「ibisPaint」のAI機能については、2017年頃から作っており、これまでさまざまなAI機能をリリースしてきました。現在もAIの新機能を研究開発中です。
ibisPaintの特徴【モバイル事業】

基本機能は無料となっています。海外ユーザーが多い投稿サイトを運営しており、コミュニティ型になっています。また、Z世代に人気がある点も特徴です。
売上構成【モバイル事業】

ビジネスモデルについてです。売上構成として、サブスクリプション、売切型、アプリ広告がありますが、現在、広告収入が全体の63パーセントを占めています。また、上場の2、3年前からサブスクリプションの強化に取り組んでおり、課金売上を50パーセント以上にすることを直近の目標として力を注いでいます。
収益モデル【モバイル事業】

アクティブユーザーが多いことが特徴で、3,925万人がいます。そのうち一部の方が買切で課金し、さらにその一部がサブスクリプションを契約しています。現在、サブスクリプション契約者数は30万人です。
ibisPaint各種データ推移【モバイル事業】

左側は累計ダウンロード数の推移を示したグラフです。2018年頃から急激に伸び始め、直近では4億8,000万ダウンロードを達成しています。
右側のグラフで背景の緑色の部分がMAUの推移を表しており、非常に重要なポイントです。2021年頃から多少鈍化しているものの、順調に右肩上がりで増加しています。
一方、薄い緑色の折れ線は売切型販売数の推移を表しています。直近では右肩下がりとなっていますが、これはサブスクリプションに注力していることが理由です。一番濃い緑の折れ線がサブスクリプション契約数の推移を示していますが、こちらは年々成長率が上がっている点がポイントです。
Z世代からの高い支持【モバイル事業】

ユーザー属性としては、若年層や女性が多いことが特徴です。また、モバイルペイントアプリ市場ではシェア90パーセントと、非常に強いアプリとなっています。
グローバル展開①【モバイル事業】

海外比率が高い点も特徴です。累計ダウンロード数の93.3パーセントが海外からであり、昨年の累計売上高の海外比率は73.9パーセントとなっています。また、国に偏りがあるわけではなく、世界中からダウンロードされています。具体的には、ブラジル、アメリカ、EU、ロシア、インドネシア、日本、タイ、中国、インド、フィリピンなどです。
売上構成と特長【ソリューション事業】

ソリューション事業の売上については、受託が26.2パーセント、IT技術者派遣が73.8パーセントです。直近では、受託の比率を上げることに注力しています。
テクノスピーチ会社概要【AI歌声合成事業】

1月末にM&Aを実施したテクノスピーチですが、こちらは技術の会社です。代表取締役2名は名古屋工業大学出身です。徳田さんは、教授であり音声合成AIの権威です。
売上構成と特長【AI歌声合成事業】

売上構成についてです。「VoiSona」という自社製品が83.7パーセント、受託が16.3パーセントとなっています。
VoiSonaについて【AI歌声合成事業】

「VoiSona」についてですが、「Windows」「Mac」「iOS」などで利用可能です。鍵盤があり、打ち込みをして歌詞を入力すると、AIを用いたバーチャルシンガーが歌ってくれる仕組みとなっています。主に作曲をする方が利用するアプリです。
成長戦略概要(中長期の売上拡大イメージ)

成長戦略についてです。スライドの左側が創業時です。緑の部分がソリューション事業を示しています。
肌色の部分は「ibisPaint」の広告モデルを示しています。広告モデルはやや鈍化しており、現状は横ばい傾向にあります。現在が2025年ですが、ここからはサブスクリプションを強化していく方針です。
また、AI歌声合成事業が新たに加わりました。小さく記載されていますが、その他M&Aも含めて、全体的なイメージはこのようなかたちとなっています。
全社売上のCAGRで10パーセントの成長を目指していきたいと考えています。
成長の展望①【モバイル事業/収益基盤の拡大】

成長の展望についてですが、「ibisPaint」のサブスクリプションを強化していく予定です。まず、サブスク予備軍を200万人と定義しており、現在は30万3,000人のユーザーがいます。現在の課金率は、MAUに対して0.77パーセントとなっています。
緑の線は広告での1人当たりの売上を示しており、サブスクの場合はこの金額が14.7倍となり、顧客からの売上単価が上がるため、サブスクリプションに移行を進めていきたいと考えています。
また、濃いオレンジ色の線はサブスク課金率を示しており、この率が年々上昇していることから強化を図っています。今後は5パーセント程度を目指したいと考えています。
成長の展望②【モバイル事業/収益基盤の拡大】

プロマーケットにおけるWindows版の売上推移です。オレンジがサブスクリプション、緑が売切型を示しています。売切型はあまり伸びていませんが、サブスクリプションは順調に成長しています。また、プロマーケットにおいて、今月にMac版のリリースを予定しています。
成長の展望③【モバイル事業/収益基盤の拡大】

AI歌声合成と「ibisPaint」があり、クリエイター向けの構造となっています。
成長の展望⑤【AI歌声合成事業/成長ブースト】

シナジーという点では、「ibisPaint」のチームが海外展開を進めており、世界のアクティブユーザー比率が90パーセント以上となっています。また、「YouTube」のチャンネル登録者数が300万人に達しており、そのようなノウハウを活用しながら、スマートフォン向けのアプリや作曲機能などを世界中に展開したいと考えています。
(子会社化前の業績との比較となりますが)第2四半期の売上はYoY1.3パーセント増となり、成長していない状況ではありますが、第1四半期ではYoYでマイナスだったため、回復し反転傾向にあるといえます。
まとめです。
今期についてですが、広告単価が低迷しており、成長が鈍化しています。広告に関しては、良い年と悪い年があり、その波を避けることが難しい状況です。原因を分析するためにさまざまな調査をし、時間を費やしていますが、解決が困難なこともあり、はっきりとした原因が見つからないこともあります。
一方、重要視しているDAUやMAUは緩やかではありますが右肩上がりとなっており、「ibisPaint」の事業自体には大きな問題はないと考えています。
また、新たな脅威が現れている等についても、大きな懸念材料とはなっていません。これまでどおりのビジネスモデルを継続することで、確実に売上は伸びていくと見ています。
次に、「ibisPaint」の強みですが、他社に比べて圧倒的にアクティブユーザーが多い点が挙げられます。この強みを活かし、サブスクリプションモデルへの転換を積極的に推進しています。
サブスクリプションモデルについてです。結果は好調で、広告売上の計画未達分をカバーしています。広告モデルからサブスクリプションモデルへの転換は順調に進み、サブスクリプション売上も大きく成長しています。
また、グループ全体の売上に占めるサブスクリプション売上の影響は年々拡大しています。資料には、モバイルセグメントの広告売上を課金売上が2年以内に超える見通しが示されていますが、実際にはさらに前倒しできるペースで進んでいると考えています。
株価については、広告売上の不足により一時的に下がっていますが、サブスクリプションの成長が本質であることをご理解いただければ、改善していくと考えています。昨年の秋頃、当社の株価は最高値を記録しましたが、まずはその水準に向けて改善を目指していきたいと思います。
今年は初の試みとして、M&Aによるテクノスピーチの事例がありました。私自身、「ボカロミュージック」を日々聴くなど音楽が好きで、テクノスピーチの取締役としても参画していますが、非常に興味深いビジネスだと思っています。現状は赤字ですが、1年後には単月黒字化を実現できればよいと考えています。
日々、ミュージックビデオを作成できるアプリを開発したいと考えていましたが、本日、ちょうど日本経済新聞の電子版に取材記事が掲載されました。
「アイビス」で検索し、「ニュース」を選択すると一番上に表示されます。取材で「ミュージックビデオを作りたい」とお答えしたところ、このような記事になりました。認知度も上がってきていると感じています。投資家のみなさまからの認知も増え、アイビスを知っていただくことに貢献できればと思います。
私は学生の頃から日々使っているソフトウェアがMicrosoftやAppleなどの海外製であることを悔しいと思っており、海外で売れるものを作りたいという思いで開発を続けてきました。
少しでも外貨を稼ぎ、国益につながればと思っています。また、3年や5年といった長期的な視点で、投資家のみなさまには応援いただければ幸いです。ありがとうございました。
質疑応答:広告売上の現地通貨ベースでの計画進捗について
司会者:「広告売上はある程度回復する前提のはずですが、横ばいです。現地通貨ベースでは計画どおりなのか、やや弱いのか教えてください」というご質問です。
神谷:おっしゃるとおり、ドルベースでの為替の影響を除くと、実質的には計画に対して若干下振れしており、やや弱かったと考えています。
質疑応答:プロマーケット開拓の期間と目標シェアについて
司会者:「プロマーケットの開拓について、以前の個人投資家向けセミナーで、『ibisPaint』はプロ向けのソフトとしてはやや機能が不足しているというお話をうかがいました。今後のプロマーケットへの開拓に向けて、どのくらいの期間をかけて、何パーセントぐらいのシェアを目指しているのでしょうか?」というご質問です。
神谷:おっしゃるとおりです。プロ向けのマーケットとしては機能が足りません。
会社名を挙げてもよいかと思いますが、最大手はAdobeです。「Adobe Photoshop」は40年前から存在し、多くの機能が搭載されています。従業員数もおそらく何万人規模と考えられます。機能量で追いつくのは難しいです。
どのくらいの期間をかけるかという点については、これまでも開発に14年を費やして機能を拡充してきました。スマートフォンアプリとしては十分な機能量といえますが、PC向けとしてはまだ不足しています。今後10年から20年かけてユーザーの要望に応じたとしても、どこまでも機能は多いほうがよいと言われると思います。そのため、期間については回答が難しいところがあります。
売上のシェアに関しては、分母を何にするかによって異なりますが、「Adobe Photoshop」や「Adobe Illustrator」などAdobeを含めると、1兆円以上の売上があるため、シェアで何パーセントかを明確に言える状況ではありません。我々はまだ非常に小さい規模であり、シェアを語るのは難しい状況にあります。
マンモス企業を相手にしても、比較対象として適切ではない場合もあります。近いところでは、日本の同業他社であるセルシスが上場しており、売上が公開されていることから、当社もその売上を超えるよう努力したいと考えています。
質疑応答:サブスクリプションのブラウザ課金の導入について
司会者:「サブスクリプションの課金方法についてですが、「Google Play」や「App Store」から手数料を取られる関係で、最近ではブラウザでの課金を促すサービスも増えていると聞きます。『ibisPaint』では、そのようなブラウザ課金を進めないのでしょうか?」というご質問です。
神谷:当社では3年前から「ibisアカウント」というアカウントシステムを運用しており、そのシステムには決済機能も付随しています。この仕組みを基に、「ibisPaint」での外部決済に対応するための準備を進めています。
現在、「ibisアカウント」を用いた決済機能は「ibisStorage」や「ibisScribe」で運用していますが、まだ国内円建ての対応にとどまっています。世界対応の開発を進めています。
質疑応答:外部決済対応に関する方針と現状について
司会者:「数ヶ月前にアメリカの裁判所で、『App Store』での外部決済が認められる判決が出ました。今後『ibisPaint』は外部決済に対応するのでしょうか? また、現状『ibisPaint』はどこの国も外部決済に対応していないのでしょうか?」というご質問です。
神谷:法律的にできるようになったのは、おそらくEUとアメリカです。前者の質問は先ほどと同じ内容のため回答は割愛します。後者の質問ですが、「ibisPaint」は現在、どの国も外部決済には対応していない状況です。
質疑応答:テクノスピーチ社が全社業績へ与える影響について
司会者:「子会社であるテクノスピーチ社の業績について質問です。テクノスピーチ社の製品『VoiSona 雨衣』および技術提供したゲーム、社員コストが今後の業績に与える影響について教えてください」というご質問です。
神谷:業績への影響はそれほど大きくはないと考えています。会社全体で見ると、テクノスピーチの売上は全体の約2パーセントです。子会社内でうまく進んだ施策や商取引があった場合でも、全体では1パーセントにも満たない状況です。
「VoiSona 雨衣」に関してですが、P/Lの連結対象となるのは第2四半期からとお伝えしましたが、連結前に主な売上が立っているというのもあり、影響が少ないというのもあります。
一方で、「お返事まだカナ? おじさん構文!」という楽曲が大ヒットしており、ボカロPの吉本おじさんが作曲したものです。この楽曲は「TikTok」や「Instagram」で多数の動画が投稿されており、こうした流れで「VoiSona 雨衣」を使用した新しい楽曲が今後もボカロPから発表されると、非常に興味深い展開になるのではないかと期待しています。
また、「シャインポスト」についてもボイスが提供されていることから、ゲームのファンの方々が購入してくださる可能性があり、こちらも期待しています。
質疑応答:テクノスピーチ社と全社の通期計画達成可能性について
司会者:「テクノスピーチ社についてですが、『VoiSona 雨衣』が完売した第2四半期のこの着地では、通期計画を達成できるとは到底思えません。いかがでしょうか?」というご質問です。
神谷:グループ全体で通期50億円の計画を掲げている中、テクノスピーチ自体はそのおよそ2パーセントの規模です。そのため、テクノスピーチの売上そのものがグループ全体に大きな影響を与えるものではないと考えています。
売上の進捗率は47パーセント、利益は48パーセントと、どちらも50パーセントを下回っています。ただし、当初の計画では期末に向けて売上が右肩上がりに推移する予定です。そのため、進捗率が50パーセントを下回っているものの、期末までに計画を達成できる見込みはあると考えています。ギリギリではありますが、達成可能ではないかと思っています。
質疑応答:直近の株価上昇について
司会者:「最近の株価上昇は非常に喜ばしいことです。御社の堅実な成長戦略や将来性が期待されている表れではないかと考えています。直近の株価の動きについて、社長からコメントをいただけますでしょうか?」というご質問です。
神谷:今年は売上成長が一桁の成長にとどまり、非常に厳しい状況を想定していましたが、サブスクは引き続き伸びています。このことをみなさまにお伝えしたいと考えていました。直近の株価も上昇しているのを見てよかったと喜んでいます。
質疑応答:中長期における目指す姿について
司会者:「AI歌声合成事業の買収について、よくわかりました。『ibisPaint』とのクロスセルも期待できます。5年後、10年後の御社の目指す姿をお聞かせください」というご質問です。
神谷:クリエイターエコノミーという言葉があります。クリエイター自身がさまざまな活動を通じてビジネスをしたいという思いがありますが、イラストを描く、動画を作る、音楽を作るといった活動がコラボレーションして、日本で新たな文化が生まれるのはすばらしいことだと思います。そのような文化を世界中に展開できたらおもしろいと思っており、そこに力を入れています。
質疑応答:株式分割の意図について
司会者:「株式分割の意図は何でしょうか?」というご質問です。
神谷:東証は、売買単位として10万円以下で購入できることが望ましいと推奨していました。分割することで株価が600円、700円ほどになるため行うことにしました。また、NISAや少額で投資を行う人が増えていることから、学生でも購入できるようにする目的もあります。
質疑応答:株式分割のタイミングについて
司会者:「このタイミングで株式分割を行った理由を教えてください。株価は1年以上前から3,000円以上を維持しており、もっと早く分割することも可能だったのではないかと思います」というご質問です。
神谷:ご指摘のとおり、分割のタイミングについては少し遅かったという自覚があります。また、株主のみなさまからのご意見やアドバイスも意思決定に影響を与えたと認識しています。
質疑応答:第2四半期ならびに今後の施策について
質問者:前回の5月21日の決算説明会にも参加しました。有言実行でサブスクリプションがしっかり伸びている点がすばらしいと思います。現在の状況であれば、ガイダンスの11億1,000万円も達成可能ではないかと個人的には思っています。
この第2四半期では、広告宣伝費を抑えながらもしっかりと成長を遂げられた背景には、どのような施策があったのでしょうか? また、ガイダンスの11億1,000万円に向けて今後どのような施策を検討されているのか教えていただけますか?
私はユーザーではなく、どのような取り組みをされているのか具体的に把握できていません。よって、株主として知りたいため、ぜひご教示いただければと思います。
神谷:11億1,000万円は超えると考えています。施策についてですが、1つはサブスク機能の追加があります。今回はベクターレイヤーに関する機能をいくつか追加しました。このベクターレイヤーは非常に便利で、比較的ベテランやプロ向けの機能ですが、好評を得ています。
また、社内では「課金誘導」と呼んでいますが、無料ユーザーが3,900万人いるため、そのユーザーに向けてアプリ起動後の画面で「このような機能があります」「便利ですので使ってみませんか?」といったかたちで、サブスク加入を促す自社広告を表示しています。
この自社広告については、どのような見せ方をするのか、キャッチコピーをどう工夫するか、ボタンのラベルをどうするかといった点を検討し、課金率の上下を見ながらさまざまなパターンを試しています。
また、どの機能が好まれて課金されたのかなどの分析を続けています。こうした成果が出ていると考えており、今後もこのような取り組みを続けていく予定です。
質疑応答:広告収益の回復の可能性について
質問者:広告については、前期第3四半期で大きく下落して以降、不調が続いていると認識しています。今期の6月以降に回復するというお話を、御社からうかがった記憶があります。
実際、良くなる兆しは表れているのでしょうか? また、DAUやダウンロード数が増加している中で、広告が今後も増えない可能性も考慮するべきでしょうか? その点についての見解をお聞かせいただけると幸いです。
神谷:回復の兆しが見えているはずでしたが、依然として「底這い」状態が続いており、水平飛行を保っているのが現状です。この先、回復しない可能性があるかどうかについては、正直なところまったく予測がつきません。市況自体には波があると考えていますが、特にメインとなる「Google広告」などのAIアルゴリズムがどのように変化するかが鍵となります。
Googleが変更を加えているのか、それとも加えていないのかがまったくわからず、この先も不透明な部分があるため、なんとも言えません。申し訳ありません。
質疑応答:応援広告の導入について
質問者:広告収入が現在不調ですが、それに対する対策案があります。近年、多くの企業が応援広告事業を展開していますが、「ibisPaint」内でも個人がアニメやキャラクターの応援広告を出せる仕組みを導入してはどうでしょうか?
気軽に安価に広告を出せるように、例えば最初は1,000円以下で広告を出せるようにしてみてはと考えています。自分で作成した推したいキャラクターの応援広告を出し、その広告のリンク先に個人のSNSアカウントなどを表示する仕組みを取り入れるのも良いと思います。
ただし、キャラクターについては版権の問題があるため、著作権が絡む場合は版権元と収益を折半する仕組みにすればよいと考えています。
この応援広告事業には3つのメリットがあります。1つ目は、誰かに絵を見てもらうことで、絵を描くモチベーションが上がり、「ibisPaint」の利用時間を増加させられる点です。2つ目は、広告による不快感が低く、クリック率が高くなる点です。3つ目は、広告収入が安定し、広告単価を大きく上げられる可能性がある点です。
質問は2点あります。1つ目は応援広告システムの開発費用と開発期間がどのくらいかかるのかということです。2つ目は、応援広告事業についてどのようにお考えなのか、教えていただきたいということです。どうぞよろしくお願いします。
神谷:ありがとうございます。とても興味深く拝聴しました。「応援広告」という言葉自体は初めて耳にしました。勉強します。
「ニコニコ動画」などでも、スポンサーが付いたり、一部の裕福な方々が多額の資金を提供したりしていると聞いたことがあります。とてもおもしろい仕組みですね。
ご質問の期間や金額についてですが、まず広告に関して支払いのシステムを考える必要があります。広告出稿者が支払うという部分ですが、アプリストアの課金システムを利用すれば簡単に済みます。
ただし、一般的には外部のWebサイトから広告費を支払う、あるいはクレジットカードで支払うことになると思いますが、その場合はコストが高くなる傾向があります。
また、広告システムの場合、出稿依頼があった際にクリエイティブやリンク先が問題ないか確認するための審査を必ず行う必要があります。リンク先の画像が二次創作である場合、二次創作元の原作者から許可が得られているかなどの確認が求められ、手が回らない場合もあり、なかなか大変だと感じています。ただし、SNSのリンク程度であれば、あまり問題はないように思います。
質問者:「ibisPaint」自体にアカウントがありますが、そのリンクを載せることは可能ですか?
神谷:当社の「ibisPaint」に投稿されている作品は一応すべてチェックし、不適切な作品を削除しています。ただし、二次創作といった場合には、判断が難しい部分もあると言わざるを得ません。
二次創作については、版権所有者に寄りますが、売上が大きくなければお互い暗黙の了解で済むという感覚がある世界です。しかし、二次創作のものは避けたほうがよい可能性もあるため、慎重に検討が必要です。
また、投資規模としては1,000万円から2,000万円程度で、期間としては1年間ほどになるかもしれません。アイデア自体は非常に興味深いと感じたため、検討を進めます。
社内では、さまざまなアイデアを実現するために必要な工数や期間、その結果として期待される売上を具体的に見積もった案を数多く準備しています。
したがって、どれが一番優先かを常にミーティングで検討しているため、必ずしもすぐに実現できるとは限りませんが、とてもおもしろいアイデアだと思いました。
質問者:社内ではこれまで、応援広告事業などのアイデアが出たことはありますか?
神谷:応援広告というかたちでは出ていません。法人が自主的に広告を行うシステムを作るのはどうかという案はありました。現在は問い合わせがあった時に対応するレベルですが、純広告は行っています。また、それを自動化し、Webサイトで申し込めるようにしようという案もあります。
それから、パトロンシステムのようなもの、例えば作者を応援するためのファンからの課金を支援する案など、いろいろありました。ただ、直接的な応援広告の提案はなかったため、とてもおもしろいと思います。
質疑応答:今年のアプリ広告市場の状況と業界全体の傾向について
司会者:「アプリ広告として、今年は悪い年ということでしょうか? また、他社の状況としても今年は悪い年と言えるのでしょうか?」というご質問です。
神谷:直近2ヶ月から3ヶ月のことですが、「Google広告」のシステムで類似アプリの単価を確認できる機能が追加されました。過去のデータがわからないため、昨年と比べて競合が下がっているのかは把握できませんが、直近では類似アプリに比べて良いタイミングや悪いタイミングの両方の状況があります。
直接の回答としては、昨年や一昨年と比較した場合の競合アプリの市況や単価についてはわからない、というのが答えです。ただ、今後はその情報が得られるようになったことで、業界全体が下がっているのかどうかも見えるようになると考えています。
質疑応答:売上計画への自信とサブスクリプションの影響について
司会者:「以前は広告売上が横ばいだと計画達成はやや難しいとお話しされていました。しかし、先ほどは売上計画に自信を示されていました。これは、サブスクが想定より良いという理解でよいでしょうか?」というご質問です。
神谷:おっしゃるとおりです。
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