NCD Research Memo(4):パーキングシステムは電磁ロック式駐輪場で国内最大級

配信元:フィスコ
投稿:2025/12/16 14:04
*14:04JST NCD Research Memo(4):パーキングシステムは電磁ロック式駐輪場で国内最大級 ■事業概要

5. パーキングシステム
NCD<4783>のパーキングシステムは、電磁ロック式の駐輪機器販売及び駐輪場管理運営を主力としている。ITを活用することで駐輪場の管理運営業務を省力化・効率化するだけでなく、放置自転車等の駐輪問題をなくし、交通混雑緩和対策、土地有効活用、地域・街づくり、CO2排出量削減による地球環境改善などにも貢献するビジネスである。当初は電磁ロック式駐輪機器や料金精算機の売り切りが中心だったが、培ってきたIT技術を生かして遠隔操作による駐輪場の無人管理を実現し、管理人常駐の月極が主流だった駐輪場業界でコイン駐輪場(時間貸無人駐輪場)のパイオニアとして事業を拡大した。現在は時間貸駐輪場「EcoStation21」及び月極駐輪場「ECOPOOL」を首都圏の駅周辺や商業施設を中心に、関西・中部・九州地区にも展開(関西と中部はパートナー企業に運営委託)している。なお「ECOPOOL」は同社が2013年に独自開発した日本初のWeb月極駐輪場であり、駐輪場検索から契約までWebで完結するため駐輪場スタッフの常駐が不要になり、駐輪場の管理コスト削減を実現する。

売上分類は機器販売、管理運営、その他(自転車関連商品販売等)としている。管理運営の区分としては、商業施設等の民間企業との契約に基づいて自社で管理運営する自営駐輪場、自治体からの指定管理者として管理運営する指定管理(指定管理料制と利用料金制)、鉄道会社や自治体等が運営する駐輪場を管理受託する受託がある。パーキングシステムの2026年3月期中間期の業務分類別売上高構成比は機器販売が10.4%、自営駐輪場が38.5%、指定管理が28.3%、受託が19.7%、その他(EC事業等)が3.0%で、指定管理の内訳は指定管理料制が20.4%、利用料金制が79.6%だった。またフロー・ストック別に見ると、フロー(駐輪機器販売、EC事業等)が13%、ストック(駐輪場利用料収入・管理運営等)が86%だった。機器販売は大型案件によって変動するが、自営駐輪場の利用料収入が拡大してストック型のビジネスモデルとなっている。

放置自転車の削減に貢献できるため、全国の自治体、鉄道会社、商業施設などに幅広く支持され、同社の電磁ロック式駐輪場設置台数は国内最大級を誇っている。2025年10月1日現在で同社グループの管理現場数は2,106ヶ所、駐輪場管理台数は562,213台となった。このうち「ECOPOOL」の管理現場数は386ヶ所、管理台数は130,327台となり、特に「ECOPOOL」の導入が急拡大している。

大型案件の事例としては、自治体向けで2022年4月に4自治体(新宿区、板橋区、品川区、川崎市)の駐輪場管理運営事業者に選定され、合計246ヶ所・約58,000台の駐輪場管理運営を開始した。2025年4月には海老名市において3,138台の駐輪場管理運営を開始した。同年10月には戸田市において指定管理者に選定(2期目、2026年4月より10,020台の駐輪場管理運営を開始)された。また商業施設向けでは、同年6月に北綾瀬駅土地区画整理事業で開業した「三井ショッピングパーク ららテラス北綾瀬」に駐輪機器(631台)の納入・施工を実施、同年9月に金町駅北口再開発事業で開業した「CROSS KANAMACHI」に駐輪機器(1,030台)の納入・施工を実施した。

なお同社はパーキングシステムの一段の収益力向上に向けたBPRを推進している。具体的には、工事等周辺業務の内製化(駐輪機器設置工事・周辺工事をNCDプロスに集約)のほか、キャッシュレス決済の導入、利用料金体系の適正化(料金改定)や低採算の指定管理案件からの撤退、新たな販路開拓(ゼネコン・デベロッパー・設計事務所等)などを推進している。2025年3月には、駐輪場巡回業務の効率化や同業務を通じて収集した情報のさらなる利活用を目的に、駐輪場巡回管理システム(駐輪場スタッフ用スマートフォンアプリ)を開発・活用開始するなど、駐輪場管理運営のDXを推進している。


IT関連、パーキングシステムとも拡大基調

6. セグメント別推移
2025年3月期のセグメント別売上高(外部顧客への売上高)はシステム開発が12,699百万円(売上構成比42.2%)、サポート&サービスが9,409百万円(同31.3%)、パーキングシステムが7,975百万円(同26.5%)だった。過去5期(2021年3月期~2025年3月期)において各事業とも拡大基調である。パーキングシステムは2021年3月期にコロナ禍の影響を受けたが、2024年3月期にはコロナ禍前を上回る水準に回復した。売上構成比はシステム開発が約4割、サポート&サービスが約3割、パーキングシステムが約3割で推移している。

2025年3月期のセグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)はシステム開発が1,867百万円(利益構成比39.8%)、サポート&サービスが1,029百万円(同21.9%)、パーキングシステムが1,786百万円(同38.1%)となり、各事業とも拡大基調である。特にパーキングシステムの利益が拡大し、構成比も上昇している。セグメント別利益率はシステム開発が14.7%、サポート&サービスが10.9%、パーキングシステムが22.4%だった。システム開発は個別案件の採算によって変動する可能性があるものの10%台前半、サポート&サービスは10%近辺で推移している。パーキングシステムはコロナ禍一巡後の利用回復や設置台数増加による売上高拡大に加え、工事等周辺業務の内製化、自営駐輪場を中心とする料金改定、低採算の指定管理案件からの撤退など、収益構造改革に向けた取り組みの成果で2025年3月期には20%台に上昇した。

なお2026年3月期中間期については後述するように、各セグメントとも売上高の伸び悩みとコストの増加で利益率が低下した。ただし前期の大型案件の反動や一過性費用の発生が主因であり、トレンドとしては各セグメントとも拡大基調に変化はないと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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