*14:05JST NCD Research Memo(5):IT関連はプロジェクト管理・品質管理徹底、パーキングシステムはBPR推進
■NCD<4783>の事業概要
7. リスク要因・収益特性と課題・対策
IT関連(システム開発、サポート&サービス)における一般的なリスク要因として、個別案件ごとの採算性によって利益が変動する可能性がある。この対策として同社は、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。また、システム開発は開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービスは継続受託案件の積み上げによって、いずれもストック売上が拡大しているため安定した収益構造となっている。パーキングシステムはコロナ禍で一時的に収益が落ち込んだが、影響一巡後は駐輪場利用回復と管理台数積み上げによって駐輪場利用料収入を中心とするストック売上が主力となっている。さらに収益性向上に向けたBPRも推進している。
■業績動向
2026年3月期中間期は大型案件の反動や一過性費用の影響で減益
1. 2026年3月期中間期連結業績の概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比1.2%増の14,940百万円、営業利益が同24.4%減の1,061百万円、経常利益が同24.8%減の1,073百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同26.8%減の703百万円だった。IT関連における複数の大型案件の終了と一部顧客からの戦略的撤退、パーキングシステムにおける前期の機器販売大型案件の反動などで全体として小幅増収にとどまり、各利益は採算性の高い大型案件の反動や先行投資に伴うコスト増加などで減益だった。
売上総利益は同3.1%減少し、売上総利益率は同0.9ポイント低下して21.1%となった。売上原価の増減項目として、パーキングシステム機器販売の売上減少に伴い材料費が82百万円減少した一方で、人件費が292百万円増加したほか、パーキングシステムのネットワーク回線(FOMA)変更により55百万円の一時的費用が発生した。販管費は同13.2%増加し、販管費率は同1.5ポイント上昇して14.0%となった。販管費の増減項目として、人的資本関連が118百万円増加(人件費等が92百万円増加、教育研修費が26百万円増加)、研究開発費が60百万円増加(自転車IT化事業(仮称)が53百万円増加、次世代駐輪場開発投資が6百万円増加)、システム投資関連が28百万円増加、広告宣伝費が10百万円増加した。この結果、営業利益率は同2.4ポイント低下して7.1%となった。
大型案件の反動やコストの増加で利益率低下
2. セグメント別の動向
システム開発は売上高(外部顧客への売上高)が前年同期比1.4%増の6,255百万円、利益(全社費用等調整前営業利益)が同7.0%減の846百万円だった。増収ながら減益で、利益率は同1.3ポイント低下して13.5%となった。保険会社、金融業、建設業向け等の案件を獲得したが、採算性の高い複数の大型案件が前期末に終了した反動に加え、一部顧客からの戦略的撤退、人件費等の増加が影響した。大型案件終了の影響は売上高が296百万円減少で利益が62百万円減少、戦略的撤退の影響は売上高が287百万円減少で利益が63百万円減少だった。
サポート&サービスは売上高が同3.7%増の4,789百万円、利益が同1.6%増の472百万円だった。小幅に増収増益だったが、利益率は同0.2ポイント低下して9.9%となった。同社単体ベースでは製造業におけるPCセキュリティ運用業務、小売業のサポートデスク、保険会社のネットワーク構築などを受注して堅調だったが、子会社における新規案件取り込み遅れなどが影響した。子会社の利益はNCDテクノロジーが50百万円減少、JCSが35百万円減少した。
なおIT関連の売上高(システム開発とサポート&サービスの合計)の内訳は、ITコンサルが同7.5%減の919百万円、SIサービスが同0.9%減の5,771百万円、パッケージ導入が同102.7%増の859百万円、ITインフラが同3.4%減の2,675百万円、サービスデスクが同5.3%増の818百万円だった。新規獲得案件のトピックスとしては、金融業の顧客に対してクラウド型ワークフローシステム「MAJOR FLOW」を導入し、顧客グループの基盤である「奉行シリーズ」とのシステム連携を実現した。小売業の顧客からはPCや社内システムに関するサポートデスク業務を受注した。また複数の海外現地法人向け業績管理システム構築プロジェクトにおいて要件定義フェーズを受注した。引き続き設計・構築からユーザートレーニング、運用までを包括的に支援する。
パーキングシステムは売上高が同2.3%減の3,875百万円、利益が同11.6%減の834百万円だった。減収減益で、利益率は同2.3ポイント低下して21.5%となった。ストック収益となる自営駐輪場の利用料収入は料金改定も寄与して順調に増加したが、前期の機器販売の高採算大型案件の反動影響(売上高で299百万円減収要因、利益で139百万円減益要因)に加え、精算機に係るネットワーク回線(FOMA)変更の一過性費用(55百万円)や、次世代駐輪場開発投資(6百万円)の発生も影響した。なお売上高の内訳は機器販売が大型案件の反動で同42.6%減の404百万円、自営駐輪場が同11.8%増の1,494百万円、指定管理が同4.3%増の1,097百万円(構成比は指定管理料制が20.4%、利用料金制が79.6%)、受託が同10.3%増の766百万円、その他が同34.9%減の115百万円だった。
財務の健全性を維持
3. 財務の状況
財務面で見ると、2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比209百万円減少して15,885百万円となった。主に仕掛品が107百万円増加した一方で、現金及び預金が136百万円減少、受取手形・売掛金及び契約資産が289百万円減少した。負債合計は同521百万円減少して7,720百万円となった。主に株式報酬引当金(流動負債)が164百万円増加、退職給付に係る負債が211百万円増加した一方で、賞与引当金が同372百万円減少、株式報酬引当金(固定負債)が132百万円減少した。純資産合計は同311百万円増加して8,165百万円となった。主に利益剰余金が400百万円増加した。この結果、自己資本比率は同2.5ポイント上昇して50.9%となった。利益の積み上げで自己資本比率が上昇し、キャッシュ・フローの状況を含めて特に懸念される点は見当たらない。財務の健全性が維持されていると弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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7. リスク要因・収益特性と課題・対策
IT関連(システム開発、サポート&サービス)における一般的なリスク要因として、個別案件ごとの採算性によって利益が変動する可能性がある。この対策として同社は、プロジェクト管理・品質管理を徹底して不採算化防止・採算維持に取り組んでいる。また、システム開発は開発後の保守・運用サービス受託拡大によって、サポート&サービスは継続受託案件の積み上げによって、いずれもストック売上が拡大しているため安定した収益構造となっている。パーキングシステムはコロナ禍で一時的に収益が落ち込んだが、影響一巡後は駐輪場利用回復と管理台数積み上げによって駐輪場利用料収入を中心とするストック売上が主力となっている。さらに収益性向上に向けたBPRも推進している。
■業績動向
2026年3月期中間期は大型案件の反動や一過性費用の影響で減益
1. 2026年3月期中間期連結業績の概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比1.2%増の14,940百万円、営業利益が同24.4%減の1,061百万円、経常利益が同24.8%減の1,073百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同26.8%減の703百万円だった。IT関連における複数の大型案件の終了と一部顧客からの戦略的撤退、パーキングシステムにおける前期の機器販売大型案件の反動などで全体として小幅増収にとどまり、各利益は採算性の高い大型案件の反動や先行投資に伴うコスト増加などで減益だった。
売上総利益は同3.1%減少し、売上総利益率は同0.9ポイント低下して21.1%となった。売上原価の増減項目として、パーキングシステム機器販売の売上減少に伴い材料費が82百万円減少した一方で、人件費が292百万円増加したほか、パーキングシステムのネットワーク回線(FOMA)変更により55百万円の一時的費用が発生した。販管費は同13.2%増加し、販管費率は同1.5ポイント上昇して14.0%となった。販管費の増減項目として、人的資本関連が118百万円増加(人件費等が92百万円増加、教育研修費が26百万円増加)、研究開発費が60百万円増加(自転車IT化事業(仮称)が53百万円増加、次世代駐輪場開発投資が6百万円増加)、システム投資関連が28百万円増加、広告宣伝費が10百万円増加した。この結果、営業利益率は同2.4ポイント低下して7.1%となった。
大型案件の反動やコストの増加で利益率低下
2. セグメント別の動向
システム開発は売上高(外部顧客への売上高)が前年同期比1.4%増の6,255百万円、利益(全社費用等調整前営業利益)が同7.0%減の846百万円だった。増収ながら減益で、利益率は同1.3ポイント低下して13.5%となった。保険会社、金融業、建設業向け等の案件を獲得したが、採算性の高い複数の大型案件が前期末に終了した反動に加え、一部顧客からの戦略的撤退、人件費等の増加が影響した。大型案件終了の影響は売上高が296百万円減少で利益が62百万円減少、戦略的撤退の影響は売上高が287百万円減少で利益が63百万円減少だった。
サポート&サービスは売上高が同3.7%増の4,789百万円、利益が同1.6%増の472百万円だった。小幅に増収増益だったが、利益率は同0.2ポイント低下して9.9%となった。同社単体ベースでは製造業におけるPCセキュリティ運用業務、小売業のサポートデスク、保険会社のネットワーク構築などを受注して堅調だったが、子会社における新規案件取り込み遅れなどが影響した。子会社の利益はNCDテクノロジーが50百万円減少、JCSが35百万円減少した。
なおIT関連の売上高(システム開発とサポート&サービスの合計)の内訳は、ITコンサルが同7.5%減の919百万円、SIサービスが同0.9%減の5,771百万円、パッケージ導入が同102.7%増の859百万円、ITインフラが同3.4%減の2,675百万円、サービスデスクが同5.3%増の818百万円だった。新規獲得案件のトピックスとしては、金融業の顧客に対してクラウド型ワークフローシステム「MAJOR FLOW」を導入し、顧客グループの基盤である「奉行シリーズ」とのシステム連携を実現した。小売業の顧客からはPCや社内システムに関するサポートデスク業務を受注した。また複数の海外現地法人向け業績管理システム構築プロジェクトにおいて要件定義フェーズを受注した。引き続き設計・構築からユーザートレーニング、運用までを包括的に支援する。
パーキングシステムは売上高が同2.3%減の3,875百万円、利益が同11.6%減の834百万円だった。減収減益で、利益率は同2.3ポイント低下して21.5%となった。ストック収益となる自営駐輪場の利用料収入は料金改定も寄与して順調に増加したが、前期の機器販売の高採算大型案件の反動影響(売上高で299百万円減収要因、利益で139百万円減益要因)に加え、精算機に係るネットワーク回線(FOMA)変更の一過性費用(55百万円)や、次世代駐輪場開発投資(6百万円)の発生も影響した。なお売上高の内訳は機器販売が大型案件の反動で同42.6%減の404百万円、自営駐輪場が同11.8%増の1,494百万円、指定管理が同4.3%増の1,097百万円(構成比は指定管理料制が20.4%、利用料金制が79.6%)、受託が同10.3%増の766百万円、その他が同34.9%減の115百万円だった。
財務の健全性を維持
3. 財務の状況
財務面で見ると、2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比209百万円減少して15,885百万円となった。主に仕掛品が107百万円増加した一方で、現金及び預金が136百万円減少、受取手形・売掛金及び契約資産が289百万円減少した。負債合計は同521百万円減少して7,720百万円となった。主に株式報酬引当金(流動負債)が164百万円増加、退職給付に係る負債が211百万円増加した一方で、賞与引当金が同372百万円減少、株式報酬引当金(固定負債)が132百万円減少した。純資産合計は同311百万円増加して8,165百万円となった。主に利益剰余金が400百万円増加した。この結果、自己資本比率は同2.5ポイント上昇して50.9%となった。利益の積み上げで自己資本比率が上昇し、キャッシュ・フローの状況を含めて特に懸念される点は見当たらない。財務の健全性が維持されていると弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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