新年お年玉「AIブームに風雲急、大動乱期を制する珠玉の7銘柄」 <新春特別企画>

配信元:株探
投稿:2026/01/03 09:00

―ハイテク株への資金集中は続くのか、米政治の不確実性横目に日本は積極財政へ舵―

 2026年が幕を開けた。最高値圏に浮上した日本株の展望を描くうえで、目を離すことができないのが、AI ブームの行方である。半導体 やデータセンター 関連株をはじめとするハイテク株に対し、投資マネーの流入が今年も継続するのか、市場では懐疑的な声も少なくはない。米国では中間選挙があり、国内においては高市政権の財政政策とそのインパクトにも注目が集まっている。混沌とするマーケット環境において、投資家の熱視線を集める個別銘柄は何か。飛躍が期待される7銘柄を厳選した。

●年明け早々にFRB次期議長指名へ

 25年はトランプ関税に揺れた1年だった。ディールを巡るニュースが世界中を駆け巡り、米国と各国の貿易協議はいったん手打ちとなった。関税による影響が懸念されながらも、米国景気は腰折れすることなく、個人消費も底堅く推移している。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月以降、3会合連続で政策金利を引き下げ、年明けにも決まるとみられる次期FRB議長はトランプ米大統領の意向をくみ取って利下げに傾斜すると考えられている。

 政府機関の閉鎖をも跳ね返す底堅い経済情勢と利下げによる過剰流動性の供給は、リスク資産の価格を押し上げるにはこの上ない組み合わせとなる。ユーフォリア的な環境が生み出したAIブームのなかで、市場の注目の的となったのがオラクルだ。AIデータセンター関連での利益急拡大の期待から物色されて昨年4月の水準と比較して同社株は9月に一時3倍近く上昇した。だが、巨額投資がリターンに見合うものなのか、AI関連企業の将来の成長シナリオに疑念を呈する声も広がった。オラクルの株価は次第に調整色を強め、デフォルト(債務不履行)リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引で保証料率の急上昇を招く事態に至った。

 米国のAI関連株の波乱は、未上場ながらオープンAIの将来の企業価値にベットするソフトバンクグループ <9984> 株に揺さぶりを掛けている。ソフトバンクGや半導体関連企業の業績を巡る期待値次第で、日経平均株価は上にも下にも振れることとなる。

 オープンAI自体は否定を重ねているものの、上場観測が付きまとっている企業である以上、企業価値に関してウォール街の思惑が渦巻くことは必至だ。テスラ創業者のイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業のスペースXも上場の可能性が指摘されている。そのマスク氏は米共和党への資金支援を再開したと報じられている。11月の中間選挙の動向は米国市場のかく乱要因と考えられており、注目すべき重要なポイントとなっていく。アフター・トランプの世界を市場は描き切れておらず、不確実性が強まれば投資家のリスク許容度を低下させることになるだろう。

●無視できない「17分野」

 国内では高市政権が誕生し、積極財政の御旗に為替・債券市場がおののいている。12月に日銀が政策金利を30年ぶりの高水準となる0.75%に引き上げた後も円高に振れることはなく、長期金利は2%台に突入し27年ぶりの水準まで上昇した。金利高は本来、株価にはマイナスとなる。それでも日本株が高値圏を維持している一因には、財政出動による景気浮揚期待がある。26年度予算の一般会計総額は過去最高だった25年度当初予算を上回る見通しだ。

 その高市政権は11月、17の重点投資対象分野を選定した。経済安全保障の文脈で重要性の高まる「AI・半導体」や「造船 」に加え、「量子」や「デジタル・サイバーセキュリティ 」などに対し官民投資を促進するための政策を推進する姿勢を鮮明にしている。高支持率を満喫する高市首相が安定的な政権運営を続ける限りは、17分野に関連する銘柄は有望な投資対象としてマークされ続けることになるだろう。半導体に関しては、AIデータセンターの新設ラッシュに伴い、メモリー市況が上昇していることが話題となっている。

 半面、高市政権誕生後は日中関係が大きく悪化し、11月の訪日中国人観光客の伸びは大幅に鈍化した。中国景気の先行き不安も渦巻いている。外部環境の不透明感が漂い続けることになれば、AIブームのなかで出遅れた内需関連株のうち、持続的な成長が期待できる銘柄が脚光を浴びる形となりそうだ。

 もっとも、かつてほどの熱狂ぶりとまではいかなくても、AI関連株に対する注目度自体は高い状態が続くと想定される。なかでも自律的な判断をもとに業務を遂行するAIエージェントはさまざまな領域において導入が加速すると期待されている。これらの観点から、26年の東京市場で躍進が期待される7銘柄をセレクトする。

●2026年に躍動期待の「お年玉7銘柄」

キオクシアホールディングス <285A> [東証P]

 東芝の半導体部門を母体とし、NAND型フラッシュメモリー専業でグローバルに存在感を示している。AIブームによるデータセンター投資の活発化を背景に世界的に半導体メモリーの需給がひっ迫しており、市況高の恩恵を享受すると期待される。北上工場の新棟の稼働が始まり、今年前半に出荷を開始する予定。昨年9月から11月にかけて株価は一時約5.7倍と大相場を演じたが、生産能力の拡大とともに業績の更なる成長が見込まれるとあって、再度の新値トライを期待したい。

いよぎんホールディングス <5830> [東証P]

 愛媛県を本拠とする第一地銀の伊予銀行を傘下に持つ。シップファイナンス(船舶融資)で独自の「いよぎんモデル」を確立。国策として造船業再生の取り組みが進むなかで、船主向け以外に造船会社向けの貸し出し拡大を通じた収益貢献が見込まれる。機を捉えた巧みな運用力にも定評があり、外国債券やエヌビディア株の売却による利益の計上も話題となった。日銀の利上げ路線の恩恵を受ける銀行株のなかでも異色の存在といえ、ボラタイルな相場環境が到来した際には業績安定感ゆえ多くの投資家の資金の受け皿となるだろう。

ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> [東証P]

 産業用・自動車用の鉛蓄電池大手。車載リチウムイオン電池に加え、防衛・宇宙分野にも製品を供給する。新車用電池でアンチモン高騰の価格転嫁が進む見通しで、産業用電池では原子力やデータセンターなどの新たな案件が増加。中長期的には防衛向けの大型リチウムイオン電池の採用拡大に期待が膨らむ。13年3月期を底に安定的に業績を拡大しており、AIデータセンターの設置が世界各地で進み、電力網の増強ニーズの増大が見込まれるなかで投資家の再評価の余地は大きい。

トライアルホールディングス <141A> [東証G]

 九州地盤の郊外型ディスカウント店として成長後、西友を買収し株式市場を大きく驚かせた。AIカメラの活用による商品棚の欠品把握や購買行動の解析、顧客体験の向上につながるスマートショッピングカートの導入など「リテールテック」の展開と、ローコストオペレーションに定評があり、流通業界に新たな旋風を巻き起こしている。都市型の小型スマートストアも拡大中。内需グロース株の代表格として引き続き幅広く投資主体のマネーを誘引する展開が期待できる。

ラクス <3923> [東証P]

 「楽楽精算」を始め企業向け クラウドを展開。今期のROE(自己資本利益率)は約50%の見通しで、高クオリティー銘柄として知られる。業況は申し分なく、DXニーズを追い風に26年3月期の売上高は前期比2割増、最終利益は5割増と急成長が継続する計画だ。昨年12月にAIにより経費精算を自動化する新機能のベータ版の提供開始を発表。中小企業向けに加えて大企業向けを深耕し、顧客層の拡大と更なる成長を追求する姿勢を示している。AIエージェントの導入が産業界で進むなかで、同社への注目度の高い状態は今年も続きそうだ。

技術承継機構 <319A> [東証G]

 製造業に属する企業を譲り受け、経営支援を通じて価値を高めて成長を図るビジネスモデルを展開。M&A 実績は設立以降、昨年11月時点で累計17社に上る。後継者不足にあえぎつつも技術力を持つ黒字企業をターゲットとする「シリアルアクワイアラー(連続買収企業)」として小型株ながら独自のプレゼンスを構築。金融機関や公的機関などのネットワークを活用し、新規のM&A案件の開拓を続ける。技術の伝承は製造業での強靱なサプライチェーン形成にとって不可欠な要素だ。大企業のカーブアウト(事業分離・独立)や上場企業に対するTOBといった案件が生まれた際には、成長期待を一段と高める方向に作用するに違いない。

サイバーセキュリティクラウド <4493> [東証G]

 「攻撃遮断くん」をはじめ、ウェブセキュリティー領域に特化したクラウド型の国産プロダクトを提供。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のパートナー企業でもあり、AWSによる日本への積極投資とユーザーの増加は、同社の事業にとってポジティブな影響をもたらす構図だ。サイバーセキュリティー 需要の拡大に歩調を合わせるように収益を拡大させ、25年12月期は2ケタ増益で連続最高益更新を計画。サイバーセキュリティーは高市政権のもとで掲げられた重点投資分野の一つでもあり、国策の追い風を満喫する局面はしばらく続く公算が大きい。




株探ニュース
配信元: 株探

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